74 士陽(しよう)
- すらりとした様子のいい30前の男
- 沙門の君の弟
75 木犀(もくせい)の木陰で嫂(あによめ)の嬰(えい)と密会する士陽(しよう)
- 璋(しょう)は嬰(えい)に注意したが、嬰(えい)と士陽(しよう)の『たわいない戯れ』を屋敷内のそこここで繰り広げた。
- 噂は広まったが、夫は気にしていなかった。危惧して苦言を呈する璋(しょう)を煩わしがり、嬰(えい)は別の侍女をそばび置くようになった。
76 嬰(えい)の別にそばに置くようになった侍女
- 年若い、濁りのない目をした侍女で、嬰(えい)のわがままもよく聞いた。
76 <嬰(えい)の燃えるような目でときおり璋(しょう)を見つめている理由とは?
80 穀(こく)
- 沙文の君
- 沙来からの使者(沙来領主に赤子が生まれた知らせにきた)を、拝礼のしかたがなっていないと斬った
85 展は左軍の佐で戦にでる
90 従者が鶚(みさご)を矢で射た
- 嬰(えい)は士陽(しよう)に手をひかれ、お金でやとった従者2人をつれて、沙文から船で逃げた
92 領主一族はことごとく死んだ。
92 穀(こく)は落電死
- 亡骸はひどいありさま
92 璋(しょう)の父も落電死
- 亡骸は傷らしい傷もなく、表情もやすらかだった
92 展(てん)は無事に帰って来た
92 朝廷の主だった卿(けい)がほとんど落電や火にまかれて死んでいて、復興の舵取りは困難を極めた
93 新しい領主は由
- まだ赤子、乳母として若い女、累が残った
95 海棠(かいどう)の花の下
展(てん)目線
97 展(てん)
97 璋(しょう)
98 嬰(えい)
- 沙文の『海神の娘』
99 穀(こく)
- 沙文の君
- 歴代の領主に輪をかけて、好戦的な男
- 血の気が多く、臣下への好悪の感情が激しい
- 令尹(れいい)(宰相)は、穀(こく)にとって『気に入らぬ者』であるが、父の代からの臣下なので一目おいていた。
104 令尹(れいい)の奥方
- 璋(しょう)の母親
104 展は、令尹の奥方から、美しい玉壁(ぎょくへき)を送られた。碧(みどり)の玉に鳥の姿を掘り込んだ逸品。
- 遺言に、もしものことがあれば、展に渡すよう言付けられていたと、令尹(れいい)の奥方
104 【🔎】壁(へき)
104 戦争が終わってから春までのことは、展はほとんど覚えていない
- 沙文の復興の日々を費やす
- 宣託によって突然現れた領主はまだ幼く、判断は展がやらねばならなかった。
- 生き残った士大夫のなかで、展が最も高位で、もともと令尹の後継ぎだったから
104 由(ゆう)
- 幼い領主
- 福をもたらす子供
- 通常よりはるかに早く緑は芽吹き、大漁がつづいて民は飢えることもなく、天候にも恵まれた。
105 春になり、そこここに花が咲き乱れるころ、展は璋を娶った。
106 海棠(かいどう)の思い出
- 良鴇(りょうほう)家の海棠の花の下で、展が璋を見初めた
106 【🔎】海棠(かいどう)
106 累(るい)
- 幼い領主由(ゆう)の世話をしている媼(おうな):実際には若い
106 由(ゆう)の世話をする侍女の手配を乞われ、璋が引き受けた
- 1っか月ほどたって、璋は由(ゆう)は累(るい)の本当の子供ではと気づき、展(てん)に打ち明けると、展は累と海神(わたつみ)との子だという仮説をたてるが、腑に落ちない璋だった。
110 凌霄花(のうぜんかずら)の橙(だいだい)花が咲いている。
- 季節は夏から秋
- 由(ゆう)と展の出会い
- かくれんぼう中の由(ゆう)が池に落ちる。女の声が「浅浅(せんせん)」と呼ぶと、同時に池の中から鯰(なまず)のような大魚が飛び出し跳ねた。由(ゆう)の下にもぐり体を押し上げて助けた。
110 【🔎】凌霄花(のうぜんかずら)
111 浅浅(せんせん)
- 累(るい)の鳥
- 茶褐色の小鳥
- 鷦鷯(みそさざい)
- 鯰のような大漁
116 由(ゆう)は沙来の君の遺児ではと気づく展と璋
- 思いつめて夜眠れなくなる展
*
126 沙来からの移民問題
- 朝議を繰り返し、沙来の希望者を鉱山で働かせる
- 悶着(もんちゃく)がおこる
132 慶成(けいせい)
- 通婚案を出した青年
- 親が士大夫(したいふ)の子息
- 花陀(かだ)で商売を学んだ変わり者
- 1人目になろうと手を挙げた
133 夙弓(しゅくきゅう)
- 沙来の取りまとめ役
- 40過ぎの男で娘が2人いる。
- 長女は相手が決まっているが、下の娘なら融和政策のために通婚させてもいいといってくれたが、墓の人が反対している。
- 思慮深い、聡明な人だった
134 央(おう)
- 夙弓(しゅくきゅう)の下の娘
- 16歳
- 芯のしっかりした物怖じしない娘
144 通婚は成立し、春、夙央(しゅくおう)は慶成(けいせい)のもとへ嫁いだ。
146 鈍色(にびいろ)に輝く
149 慶成(けいせい)
- 腕の文身(いれずみ)は、鱗(うろこ)のような文様。上腕部から手の甲にかけて丁寧に入れられた文身(いれずみ)は、月光を浴びると鈍色に輝いた。
- 沙文の民だが、花陀(かだ)で育ち、商売を学んだ。
- 声を荒げることもなく、物腰はやわらかく、穏やかだが、にこやかではなく、表情は読みにくい。どこか薄気味悪い男と思って、夙央(しゅくおう)は警戒心がとけなかった。
149 【🔎】鈍色(にびいろ)
149 夙央(しゅくおう)
- 慶成(けいせい)の妻
- 寝所ではじめて慶成(けいせい)の文身(いれずみ)を見て美しいと思った。
- 央の叔母(父の妹)が文身(いれずみ)を入れる針師
- 央の手には、牙の文様の文身(いれずみ):魚の牙を模した三角を連ねた文様が入っているが、痛さに耐えきれず途中で途切れている。
- 文身(いれずみ)を入れたのは12歳のとき
153 甯(ねい)
- 侍女
- 花陀(かだ)出身の35、6歳の女性
- 慶成(けいせい)の従者をしている男と夫婦で、夫も花陀(かだ)出身
- あっけらかんとした気のいい女
- 慶成(けいせい)のことを『坊ちゃん』と呼ぶ。外では『旦那様』。
154 慶成(けいせい)が花陀(かだ)で育った理由
- 両親が亡くなり、花陀(かだ)の親戚に引き取られた
- 母方の伯父さんの家で、そこに甯(ねい)も務めていた。
154 慶成(けいせい)を引き取った花陀の伯父さん
- 引き取った伯父さんは、ごうつくばり。根っからの悪い人ではなかったが、けちだから、坊ちゃんがかわいそうだったと甯(ねい)。苦労した。
- お金はあった、裕福な海商だったから
- 後継ぎがいなかったから、慶成(けいせい)を後継ぎに据えて、一から商いを仕込んだ
- あるとき海に出たっきり帰らなくて、奥様が慶成(けいせい)には後を継がせず、自分の弟に継がせると言い出したので、慶成(けいせい)は沙文にもどった。
156 厨房のふくよかな女
- 50くらい
- 料理人
- 粥に虫、食事がさめている
- 沙文の人
164 嫁いでから半年
- 従弟の庚(こう)が、沙来の集落に住む顔見知りの男が、買い物つでに連れて来た。
164 庚(こう)
- 夙央(しゅくおう)の従弟
- 針師の叔母の息子
- 今年で8歳
- わんぱくで口達者な少年
169 竃(そう)じいちゃん
- 夙央(しゅくおう)と庚(こう)の沙来の見知った老爺
- 痩せ細り、腰も曲がっているが、野菜を育てるのがうまい
177 牙儈(がかい)
- 仲介役の商人
- 店と作り手をつなぐ役目
- 沙文にもいるが、沙来の者を仲介してくれる牙儈がいない
184 牙儈(がかい)に興味をもった夙央(しゅくおう)が学べるように、慶成(けいせい)が市の成果商の組合長に預けられ学んだ
【💕】186L9~16
189 柳緑花紅(りゅうりょくかこう)
189 【🔎】柳緑花紅(りゅうりょくかこう)
191 海若(かいじゃく)
191 霊子(れいし)
191 新たな花嫁に加護を
- 海若(かいじゃく)が滅ぼした沙来の生き残りの少女が、沙文の領主へ嫁ぐ
- いくつもの乳白色の玉:海上に漂う朝靄(あさもや)を集めて、閉じ込めたような玉。海若(かいじゃく)の力が籠った玉。
- 媼(おうな)に頼んで、耳飾りにでもしてもらおう
- これが嫁ぐ『海神(わたつみ)の娘』を守ってくれる
*
192 由(ゆう)
- 母親を知らない
- どこで生まれて、両親が誰であるかもわからない。噂では海神(わたつみ)の息子だと言われる
- 養育してくれたのは累(るい)
192 傳役(もりやく、ふやく)
192 傳(ふ)
193 鴇牙展(ほうがてん)
- 沙文の令尹(れいい)(宰相)
- 由(ゆう)にとっては、傳役(もりやく、ふやく)より怖い存在で、苦手だが、真面目で沙文のことを誰よりもよく考えているとわかっている
- 由(ゆう)が正論で諭すので、誤るほかがなくなるタイプ
193 良鴇璋(しょうほうしょう)
- 鴇牙展(ほうがてん)の嫁
- 展に諌(いさ)められたあとは、必ず由(ゆう)を慰めてくれるやさしい人
- 屋敷を主に取り仕切っている侍女
193 浅浅(せんせん)
- 累の相棒
- 鷦鷯(みそさざい)
- 美しくさえずる鳥
193 累(るい)
- 由(ゆう)を養育してくれた
- 由(ゆう)は累(るい)の美しい声が誰よりも好きだった
- 由(ゆう)が16のときに死んだ
195 明くる年、『海神(わたつみ)の娘』嫁入りの宣託が伝えられた
- 由(ゆう)17歳。早い嫁取り
198 英(えい)
- 由(ゆう)の『海神(わたつみ)の花嫁』
- 17歳
- 白く小さな顔で、小作りな彫りの深い顔立ち、黒目が大きく濡れたようにきらめいている。睫毛が濃く、くるりと上を向いて、まばたきするとまぶたに影が落ちた。薄い耳朶(じだ)に玉を連ねた耳飾りをつけている。
- 出身地は沙来、ふた親とも、小さい時に死んだので、名前の「英」の意味を知らない
- 慎重に言葉を選ぶタイプ
- まばたきをする癖
201 英(えい)の耳飾り
- 巫女王がくれたもの
- 『海神(わたつみ)の花嫁』では、英(えい)が初めてで、海神(わたつみ)に作らせたもの
208 絃(げん)
- 英(えい)の侍女
- 沙来出身
- 沙来のことは、ほとんど覚えていない少女
- 陽気で軽薄
209 石竹(せきちく)
209 紫蘭(しらん)
213 英(えい)の巫女王の島での生活
- 物心ついた時は、媼(おうな)に育てられていた
- 巫女王の島で『海神(わたつみ)の娘』たちに囲まれ日々を過ごしていた
- 男といえば水手の役目を担うだ蛇古(だこ)族ぐらいで、彼らも島に住んでいるわけでない
- 島に住む女たちは、麻を績(う)み、衣を織り、藍で染めた
- 年齢がばらばらで、英が最年少だったころから、もの静かな、手のかからぬ子供だったと媼(おうな)が言って居
*
215 【🔎】瑕疵(かし)
215 寒(かん)氏
- ひと月ほど前、60歳で死んだ沙文の豪農。
- 彼にはひとり娘がいて、婿をとって稼業を任せていた。その婿は、沙来の出身だった。
216 寒会(かんかい)
- 無くなった豪農寒(かん)氏の弟
- 別の土地で農家を営んでいる
- 寒氏の死後、娘とその婿の譲り受けた土地の所有を主張しはじめた。
216 寒会(かんかい)が、寒氏の死後、娘とその婿の譲り受けた土地の所有を主張しはじめた理由
- 娘はその婿のもとに嫁入ったのだから、別家の人間になっている。寒氏の土地は寒一族所有に帰すべきだという主張
216 寒会(かんかい)の件が朝議で取りざたされている理由
- 本来なら朝議で話す内容ではない
- 卿のひとりと寒会が姻戚関係にあり、ほかの何人かの卿とも知己であったため。
- さらに無関係の卿までも寒会を支持する事態になっているのは、娘婿が沙来の出身だから。
*
221 州最(しゅうさい)
- 朝議でたった一人の沙来の出身の卿
222 秋海棠(しゅうかいどう)、秋明菊(しゅうめいぎく)、鵯花(ひよどりばな)、杜鵑草(ほととぎす)、由(ゆう)と英(えい)の秋の庭
222 【🔎】秋海棠(しゅうかいどう)
222 【🔎】秋明菊(しゅうめいぎく)
222 【🔎】鵯花(ひよどりばな)
222 【🔎】杜鵑草(ほととぎす)
223 由の好きな季節の庭と花
- 春の庭
- 木瓜(ぼけ、もっか)の赤い花は好き
223 【🔎】
- 木瓜(ぼけ、もっか)
224 滔滔(とうとう)
- 冴えた青い翼を持つ、大瑠璃(おおるり)
- 英(えい)の鳥
- 海神(わたつみ)の使い
224 滔滔(とうとう)の向こうに海神(わたつみ)がいて、つぶさに観察されているとおもうと、由(ゆう)は滔滔(とうとう)が怖かった
*
230 逢(ほう)と繁(はん)
- 侍女
- 2人とも、英(えい)や絃(げん)同じ年ごろ
231 【🔎】木瓜の実
233 申胥(しんしょ)
- 絃(げん)の嫂(あによめ)の兄
- 沙文の寒(かん)氏の娘と結婚した。寒氏が亡くなってから、叔父に土地を寄越せと責められた件
- わが君が正しい判断をしてくれたので、英が木瓜の実に興味をもったので、木瓜酒を届けてくれた
*
236 寒会(かんかい)が申胥(しんしょ)に殺された
- 領主の判断がおりたものの、寒氏は不服として、役人や卿に陳述していたが、覆ることがないので、雇ったごろつきを率いて姪(めい)とその婿・申胥(しんしょ)を襲った。寒会(かんかい)は姪を略奪して申胥(しんしょ)を殺すつもりだったが、逆上した申胥(しんしょ)に返り討ちに遭い、刺し殺された。
- 申胥(しんしょ)は捕縛されている
239 夙(しゅく)氏
- 沙来の長
- 沙来の者たちからの人望が厚く、沙文の者たちからも一目置かれている
- 慶成(けいせい)の妻は、夙(しゅく)氏の下の娘
239 申胥(しんしょ)の処罰
- 人を殺めた者は、死罪と決まっていると、由(ゆう)から聞いて、安堵する展(てん)
*
256 剣を持って、由(ゆう)を殺そうとした卿が、雷雲もないのに、落雷にうたれてしぬ。神罰。
257 一羽の鳥が由(ゆう)を先導している
- 浅浅(せんせん)
- 累(るい)の鳥
- 累が死ぬとともにどこかに消えてしまった
- 海神(わたつみ)の使い部
- 鷦鷯(みそさざい)の鳴き声がきこえる
- 由(ゆう)の肩に暖かいぬくもり
262 庚(こう)
- 慶成(けいせい)の妻、夙央(しゅくおう)の従弟
- 夙弓(しゅくきゅう)は伯父になる
263 夙弓(しゅくきゅう)は、下の娘の夙央(しゅくおう)と慶成(けいせい)との最初の通婚をときふせるために、赤ちゃんの由(ゆう)を抱いた累(るい)と出会っている
- 浅浅(せんせん)のことも知っている
*
273 絃(げん)が逃げて、申胥(しんしょ)を逃そうと、城内の牢屋に忍び込もうとしたが、捕らわれ、笄(こうがい)で喉をついて死んでしまった
280 彷徨う英を浅浅(せんせん)と滔滔(とうとう)が導いて由(ゆう)を英(えい)のそばまでつれてきてくれた
*
280 霊子(れいし)の手が干からびたように痩せ細り、白く乾いてひび割れた鱗に覆われていた。
280 海若(かいじゃく)の鱗に戻っていた娘の魂を、むりやり引き剥がしてよびもどした霊子(れいし)
- 霊子(れいし)の行動が理解できない海若(かいじゃく)
- 霊子(れいし)は、累の魂を呼び戻し、浅浅(せんせん)に乗せて沙文まで、沙文の領主と『海神(わたつみ)の娘』のために送り届けたので、霊子(れいし)の体が朽ちるところだった
282 海若(かいじゃく)の力をわけ、霊子(れいし)の体をなおす
- 心では拒否する霊子(れいし)だがとうにあきらめている
- 海若(かいじゃく)の力を分け与えられるとび、人ではなくなっていく。人の記憶も、感情も、おぼろげに、遠くなる。
- 領ではなく、大事な人々ではなく、海若(かいじゃく)を選んだときに霊子(れいし)の運命は決まっていた。海若が霊子を見出したのだとしても、選んだのは霊子。
- ひとでなしの道を受け入れなければいけない
*
282 木瓜の花が咲いている
- 春
283 この春、庚(こう)が卿のひとりになった。