憂国のモリアーティ 13 三好 輝 (著), 竹内 良輔 (著), コナン・ドイル (企画・原案)
シャーロック・ホームズの帰還 (「恐喝王ミルバートン(「犯人は二人」)」収録。) アーサー・コナン・ドイル
犯人は二人
犯人は二人
- 「犯人は二人」(はんにんはふたり、"The Adventure of Charles Augustus Milverton")
- イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編小説。
- シャーロック・ホームズシリーズの一つで、56ある短編小説のうち31番目に発表された作品。
- イギリスの『ストランド・マガジン』1904年4月号、アメリカの『コリアーズ・ウィークリー』1904年3月26日号に発表。1905年発行の第3短編集『シャーロック・ホームズの帰還』(The Return of Sherlock Holmes)に収録された。
- 「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」「恐喝王ミルバートン」「毒ヘビ紳士」とも。
- あらすじ
ロンドン一の恐喝王(本人は“代理業”を自称―名刺より)チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンとシャーロック・ホームズとの対決を描く。
結婚を控えたとある令嬢から依頼を受けたホームズは、令嬢が昔田舎の貧乏貴族に書き送ったというラブレターをネタに、高額での書簡買取を要求して来た恐喝王ミルヴァートンと交渉する。令嬢に支払い可能な金額でと提案するホームズに対し、ミルヴァートンは支払わなかった結果その人物がどうなったか、という「前例」が次の仕事の成功につながるのだと主張し、全く埒が明かない。決心したホームズはワトスンを連れて、夜闇に紛れてミルヴァートン邸に忍び込み、恐喝の材料となる手紙を盗み出そうとするのであった。
ミルヴァートン邸に侵入することに成功したホームズとワトスンだったが、この日は夜中にミルヴァートンが人と会う約束をしていたため、彼はまだ起きていた。ホームズとワトスンは咄嗟にカーテンの陰に隠れ、ミルヴァートンと彼を訪ねて来た女性とのやりとりを傍観する。女性はかつてミルヴァートンの恐喝で破滅させられた被害者で、来訪の目的は復讐だった。彼女は小型の拳銃でミルヴァートンに一撃、また一撃と次々に報復の弾丸を撃ち込み、この恐ろしくも愚かな恐喝王をついに殺害してしまう。
一部始終を目撃した2人は女性が去った後、金庫の中にしまい込まれていた様々な書簡や書類が再び世に出て人を苦しめることがないよう、次々にそれらを火中に投げ込み処分した上で屋敷を後にするが、異変に気づいた屋敷の者が逃げる2人に追いすがる。
- ベーカー街221Bのホームズの下宿を訪れた犯罪者はジェームズ・モリアーティ教授を初め数多いが、ホームズがなすすべもなく見送るしかなかったのは、ワトスンが記録している限りでは、ミルヴァートンただ一人である。そして、最終的にこの悪漢を滅ぼし事件を終結させたのも、ホームズの知力や法の裁きではなく、復讐者が捨て身で放った銃弾である。ホームズが最も精彩を欠く作品の一つであり、高度の情報戦略を駆使する恐喝王ミルヴァートンに対して、ホームズも不法侵入などの強硬策で応じるしかなかった。このことについてはホームズも後悔しており、記録には残さないようワトスンに頼んでいるが、逆にワトスンは書き留めてしまった。
- ワトスンが髭をたくわえていることが、本作で初めて明言される。また、足に古傷のあるはずのワトスンが、ミルヴァートン邸から逃れる際にかなりの速度で走っている描写のあることから、シャーロキアンの多くはかなり後年の事件であろうと推測している。
- シャーロック・ホームズの活躍の場を現代のニューヨークに移したドラマ『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』のシーズン1第20話「ブラックメール(原題:Dead Man's Switch)」は、この原作をモチーフにしたエピソードである。現代に舞台を移したことから手紙は電子メールや動画、金庫はノートパソコンに置き換えられるなどしているが、作中における恐喝犯の名前も「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」であり、ホームズがミルヴァートンの家に脅迫の物証を奪うために侵入して隠れ、彼が殺害される現場を目撃する点は同じである。ただし、この話ではミルヴァートンの殺害犯は脅迫に使用されていたノートパソコンを持ち去ってしまったため、ホームズとワトソンは殺人犯とノートパソコンを追い掛けることになる。
- 四つの署名事件
- アグラの財宝