Corona Borealis

*読書*

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はじめまして。

ようこそいらっしゃいました。

本棚 イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫) (日本語) 文庫 – 1963/3/20 ソルジェニーツィン (著), 木村浩 (翻訳)

 

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I found a book that I want to read.

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イワン・デニーソヴィチの一日

(新潮文庫) (日本語) 文庫 – 1963/3/20

ソルジェニーツィン (著)

木村浩 (翻訳)

 

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本と作家のリスト
 

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plain収容所群島 アレクサンドル・ソルジェニーツィン

  • 小説

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plain収容所(ラーゲリ)から来た遺書 辺見じゅん

  • ノンフィクション

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plainグラーグ ソ連集中収容所の歴史 アン・アプルボーム、川上洸・訳 白水社

  • ノンフィクション

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plainラーゲリ強制収容所)註解事典

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plainイヴァン雷帝 (中公文庫) (日本語) 文庫 – 1987/1/1

アンリ トロワイヤ   (著), 工藤 庸子 (翻訳)

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plain面白いほどよくわかるスラヴ神話: スラスラ読めて一気にわかる神々の物語 (神話が好きになるポケット文庫シリーズ) Kindle

ミスペディア編集部   (著), 高安正明 (著), 坂井悠基 (編集)

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plain新版 ロシアの神話 (日本語) 単行本 – 1993/10/1

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plain『静かなドン』 ミハイル・ショーロホフ

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映像リスト

f:id:coronaborealis:20170710085409g:plainイワン雷帝

イワン雷帝 [DVD]

イワン雷帝 [DVD]

  • 発売日: 2009/03/19
  • メディア: DVD
 

 ニコライ・チェルカーソフ (出演), セラフィマ・ビルマン (出演), セルゲイ・エイゼンシュテイン (監督)

 

静かなドン 

静かなドン ミハイル・ショーロホフ原作 [DVD]

静かなドン ミハイル・ショーロホフ原作 [DVD]

  • 発売日: 2018/06/29
  • メディア: DVD
 

 エフゲニー・トカチューク (出演), ポリーナ・チェルニショワ (出演), セルゲイ・ウルスリャック (監督)

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memo

イワン・デニーソヴィチの一日

ラーゲリ

午前5時起床。

 <場>ソ連 強制収容所 ラーゲル本部 第9バラック

  • 極寒の地。
  • 窓ガラスに氷が凍てつき、天井と壁の隙間には氷柱。
  • バラックの中も極寒。

当番が天秤で糞桶を担ぎ出す。

  • 8ヴェトロ(約100ℓ)の糞桶。
  • 不具者のする、楽な仕事ということになっている。

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)

ベッド

  • ノコ屑をあっさくしてつめたマットレス
  • 南京虫がすくった上下ベッドに200人も寝てる。

強制収容所の内職稼ぎ

  • 他の奴のために古い裏地で手袋のカバーを縫う。
  • 金持ちの仲間に、はだしで靴のまわりをうろつかないよう、直接ベッドのところまで乾いたフェルトの長靴を持っていく。
  • 倉庫で、そのへんを掃除するとか、物を運ぶとか。
  • 食堂で飯皿を机の上から集め、洗い場へ運ぶ仕事。(飯にありつけるが、志願者が多い。)・・・飯皿に何か残っていると、我慢しきれずに皿を嘗め回してしまう。

<人>クジョーミン班長

  • シューホフの最初の班長
  • 1943年、その時すでに12年もラーゲルで暮らしていた古狼。

1943年

最初の班長クジョーミンの忠告

強制収容所ラーゲル本部でくたばっていく奴

  • 他人の飯皿をなめる奴。
  • 医務室をあてにする奴。
  • 仲間を密告しにいく奴。

第75班乾燥台から長靴の束を取り出す。

  • 今日はシューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の第104班も長靴を乾かす番。

<人>第104班 班長

  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、本部の生産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけ命令受領にいく。
  • 今日は、新しい苛酷な《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場へ第104班を移されないように、話をつけにいく。(ベーコン半キロを賄賂に作業主任にもっていく、それでもだめなら1キロ。)

産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけ命令受領。

今日は運命が決せられる日。

  • 本部では、シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)たちの第104班を今の工場建設工事から新しい《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場へ変えようとしている。

《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場

  • 風をさえぎる一本の木もない、雪に覆われた崖っぷち。
  • 仕事をする前に、まず第一に穴を掘り、杭をうち、シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)たちの第104班が逃亡しないように、有刺鉄線を張らないといけない。建築はそのあと。
  • 小屋もない。
  • 焚き火もおこせない。
  • 苛酷な現場。

<人>第104班 副班長

  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、今からパンを受け取りに行く。

<人>イワン

  • 今日の看守。
  • 1.5人力。
  • 痩せでのっぽ黒目の軍曹。
  • おっかないが、看守の中で一番話がわかる奴。(営巣にぶちこまない、監督官のところにひきたてないから。)

<人>アリョーシュカ

  • バプテスト信者。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の上段のベッドの隣人。
  • お祈りを呟く。

<人>ブイノフスキイ

  • 元海軍中佐。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の下段のベッド。

<人>糞桶を2つ担ぎ出す年寄りの当番たち

  • 湯を獲りに行く番をめぐってけんかがはじまる。

<人>第20班の電気溶接工

  • 長靴を投げて、喧嘩を仲裁。

<人>隣の班の副班長

  • ワシーリ・フョードリッチに食糧受領の時ごまかされてると話す。(900gのパンが4本だったのに3本になった。)

赤軍水兵

外気温

  • 絶対零下30度

<人>タターリン

  • 痩せてる。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)を無理やり起こした人。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)に三昼夜の労働営倉を申し付けた。(労働営倉とは、昼間は一般囚人と同様、作業に出、夜は営倉に監禁されるもの。)・・・起床の鐘で起きなかったから。
  • 隊長。
  • 青い襟章のついた古めかしい毛皮外套を着こんでいる。

労働営倉とは、昼間は一般囚人と同様、作業に出、夜は営倉に監禁されるもの。

  • 準営倉。
  • 温かい食事も貰えるし、本当の営倉と違い働かされる。

<場>外

  • 酷寒(マローズ)
  • 大型探照燈が2台、遠い隅の望楼の上から、ラーゲルの構外を十文字に照らしていた。
  • 構外にも構内にもいたるところに灯火。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)とタターリン隊長は監獄(プール)をかこむ高い木柵に沿って歩く。
  • 囚人たちの襲撃からパン焼場を護っている有刺鉄線。
  • ラーゲル本部を通り過ぎたとこに、1本のレールが太い針金で棒杭につるしてあり、もう一つの棒杭にはあまり低温を記録しないように、風除けをつけた温度計が氷柱に覆われてぶらさがっている。(今朝は零下40度にんっていない。)

酷寒(マローズ)

  • マロースは「寒波」を意味する。
  • мороз
  • 本書では、酷寒と訳されている。

監獄(プール)

  • ラーゲル内の石像監獄

もう一つの棒杭にはあまり低温を記録しないように、風除けをつけた温度計が氷柱に覆われてぶらさがっている。

  • 零下41度を示していれば、作業に追い立てられずにすむことになっている。

<場>本部の建物 看守室

  • 営倉免除のかわりに、看守室の床掃除。
  • 看守室の床掃除は、構外作業に出ない特別囚の仕事。(本部勤務の当番のする仕事。)・・・楽な方の仕事ということ。
  • 看守室にはペーチカがあり、二人の看守がシャーシカをしてる。

 シャーシカ

  • チェッカーのこと

チェッカー

  • ボードゲームのチェッカー(checkers
  • 相手のを飛び越えて取り合うゲーム。
  • 世界的にはドラフツ(draughts)の名で呼ばれており、日本語では西洋とも呼ばれる。
  • 世界各国に存在し、ボードの大きさは国によって異なる。
  • 著名なものは、国際ドラフツとイギリス式ドラフツである。なお、「チェッカー」と言った場合は通常イギリス式ドラフツのことを指す。色違いの丸い駒を使用する。駒の色は特に決まっていないが、通常は「黒、赤、白」の3色の中から2色が使われる。

<場>看守室の外 井戸端へ

  • 産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけていく、5、6人の班長たちが温度計のある棒杭に群がっていた。・・・27.5度
  • シェーホフの班長チューリンは、そこにいなかった。

<人>班長の中で若手の一人

<場>看守室

  • 看守タターリン隊長はいなくなっていた。
  • 4人の看守が集まって、1月のキビの配給がどれくらいあるかについて話し合っていた。

4人の看守が集まって、1月のキビの配給がどれくらいあるかについて話し合っていた。

  • 部落の食糧事情は悪かった。
  • 看守たちは、配給券を使い果たしていたが、部落のものとは別に、食糧を割り引いて貰っていた。

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし。
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。

履物事情

  • 朝のうちからフェルトの長靴をしめらすのはなんとしてもさけたかった。・・・裸足で床掃除。
  • バラックに取って返しても、履き替える靴はない。
  • 一冬、全くフェルトの長靴なしで歩きまわる経験をしたことがある。
  • 皮の編上靴が全く無く、やくざなサンダルや Ч・T・З(チエー・テー・ゼー)と称する自動車の古タイヤから作ったゴム靴しかないこともあった。
  • シューホフは10月にゆったりした上靴をもらった。
  • 12月にも運よくフェルトの長靴が手に入ったが、経理の悪魔に取り上げられた。(8年間のラーゲル生活の中で、一番残念なこと。)
  • 長靴の胴にはさんでおく、スプーン。(肌身離さず、持っている。)

編上靴

  • 靴の上面をひもで編み上げて締める深靴。レースブーツ。

Ч・T・З(チエー・テー・ゼー)

  • チェリャビンクス・トラクター工場の略。

チェリャビンクス

 <場>食堂

  • 看守の目が触れないように。(隊列を離れて一人でいるものは、ただちに営倉へいれることと、ラーゲル所長の厳しい命令があるから。)
  • 今日は珍しく、珍しく行列も群衆もいない。
  • 席の取り合い。
  • 小骨は机の上に吐き出す。小骨が机にたまると、新しい班が来る前に誰かが掃きのけ床へ落とす。(床にじか吐きするのは行儀が悪いことになっている。)
  • 帽子をかぶったまま食事をしない。

<食>朝食

  • 野菜汁(パランター)
  • マガーラの粥(カーシャ) 味も素っ気もない、腹も一杯にならない代物。キビみたいに見える、黄色い草の葉っぱ。穀物の代わりにこれを配給することを思いついたのは中国人。
  • 黒くなったキャベツ、腐った小魚。
  • 野菜汁(パランター)の実は来る日も来る日もかわらなかった。(冬の間にどんな野菜が蓄えられたかにより偏る。)
  • 小魚は殆ど骨ばかり。煮崩れてる。
  • パンなし バラックに寄らなかったので、食糧配給を受け取らなかったから。

<人>フェチュコーフ

  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)と同班。
  • シューホフの朝食の番をしてくれていた。
  • フェチュコーフはシューホフより最下等の班員の一人。

肌身離さず、持っているスプーン

  • シェーホフと一緒に北方のラーゲルを転々としたもの。
  • このスプーンは、シェーホフが自分で砂の鋳型を作り、アルミ線をとかして造ったもので、《ウスチ=イジマ1944》と刻まれていた。

 ラーゲルの囚人たちが自分のために生きている時間

  • 朝飯の10分
  • 昼飯の5分
  • 晩飯の5分

 ラーゲルの囚人たちが一番お腹を減らす時期

  • 6月 野菜が全て底をつくから。
  • 一番ひどいのは7月 鍋の中にイラクサをきざみこむ始末。

イラクサ

空はあいかわらずくらかったし、・・・

  • 朝だけど暗い。

<人>フラモイ(びっこ)の助手

  • 第六不具者バラックへ朝飯を知らせにいった。

<人>フラモイ(びっこ)

  • 食堂当番

第六不具者バラック

  • ここの連中は、作業へは出ない。
  • 文化教育室の方へ髭を生やした年寄りの絵描きが、「番号」を書くために絵具と筆を取りに行く。

看守にであったら、五分前から帽子を脱ぎ、二歩行き過ぎてから帽子をかぶること。

  •  先ごろバラックに出た命令
  • 看守によって言いがかりをつける者とそんな命令を全然意に返さない者がいる。
  • いいがかりをつけて楽しむ看守。(営巣に送られた者もいる。)

<場>医務室

  • もうすぐ医務室の所で、第七バラックの、のっぽのラトビア人との約束を思い出す。(今朝作業前に、自家製のタバコをコップに2杯買いにいくと約束した。)残念。
  • 医務室の廊下はきれい。壁も白いエナメル。調度もみんな白。
  • 診察室のドアはしまっていた。(医者はまだ寝てる。)
  • 当直室に若い見習い医師のニコライ・ヴドヴーシキンがいた。
  • 朝は休診。夜に診察する。作業免除者の名簿はすでに生産計画部に提出したあと。
  • 時計はない。(囚人には時計を見せない決まり。)

<人>第七バラック のっぽのラトビア

  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)は今朝作業前に、自家製のタバコをコップに2杯買いにいくと約束した相手。
  • 昨晩、差し入れの小包をうけとったから。この機をのがすと、新しい小包が届くまで、一か月も待たないといけない。
  • 質のいタバコが届く。

<人>ニコライ・ヴドヴーシキン (コーリャ(ニコライの愛称))

  • 若い見習い医師
  • 当直室で内職の仕事(長詩の清書。)をしていた。
  • 毎朝2名の人間しか作業免除する権限しかもっていない。すでに2名免除したあと。
  • ステパン・グリゴーリッチのすすめで、ラーゲルへ。
  • 文学部の学生で、実は2年生の時逮捕された偽の見習い医師。
  • ステパン・グリゴーリッチはコーリャに自由の身では書くことのできないことを書かせようとしていた。

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし。
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。

<人>ステパン・グリゴーリッチ

  • 新顔の医者。
  • 入院しても休んでいられない規則。(独特の規則をひっさげて乗り込んできた。)
  • 病気には仕事をするのが一番の薬。というのが持論。

 <場>第九バラック

  • 第104班
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)、医務室に残れなくて駆け込む。

<人>パウロ

  • 第104班 副班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、今からパンを受け取りに行く。
  • 何か計算していた。
  • 西部ウクライナ出身。(しっかりと相手を父称呼びし、丁寧な「あなた」言葉を使う。)➡イワン・デニーソヴィチと呼ぶ。
  • 配給のパンと小さな砂糖をシューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)に渡してくれる。(パンの分量)

<人>アリョーシュカ

  • バプテスト信者。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の上段のベッドの隣人。
  • お祈りを呟く。
  • 上段ベッドでシューホフと隣同士。
  • いつもこざっぱりと身ぎれい。
  • 福音書の半分が書き写されている手帳。

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし。
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)

西部ウクライナ

<人>チューリン

  • 第104班 班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、本部の生産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけ命令受領にいく。
  • 今日は、新しい苛酷な《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場へ第104班を移されないように、話をつけにいく。(ベーコン半キロを賄賂に作業主任にもっていく、それでもだめなら1キロ。)
  • ラーゲル生活19年の男。

<人>第20班の班長

  • 第104班 班長を見習って号令をかける。

<場>外へ

  • 辺りはまだ暗い。東の空が幾分緑がかってあかるもだしてきた。
  • 朝の作業へ。
  • 零下27℃
  • 身体検査をうける。
  • 画(え)かきに服の番号を看守に見えるように書き直してもらう。

<人>作業副主任

  • 第104班 班長チューリンは、この男を怖れていた。
  • ベーコン1㎏は届いているようで、今日も第104班はいつもの作業隊にいれたれた。

<人>パンテレーエフ

  • 第104班
  • 今朝は病欠。
  • 保安部の奴から残された。また誰かを密告する気。

 <人>白ひげをはやしたじいさん 画(え)かき

  • お偉方のために画をただで描いてやっている。
  • 囚人たちが作業へ出動する前、番号書きをする。

<人>ツェーザリ・マルコヴィッチ

  • 第104班
  • 煙草をすっている。(パイプでなく巻たばこ)
  • ありとあらゆる民族の血が混じっていた。
  • 映画監督だった。
  • 第一作も取り終えずにぶちこまれた。
  • 黒いこいひげ。(そり落とさないのは身分証明書がそうなっているから。)
  • ネルシャツ・・・身体検査で見つかる。

<人>山犬のフェチュコーフ

  • ツェーザリのタバコを狙ってる。(吸いさし。)

<人>ヴォルコヴォイ中尉

  • 本部の監督官
  • シャツのボタンまではずして身体検査させる。
  • ラーゲル所長も怖れている。
  • ヴォルコヴォイ・・・ロシア語でウォルク(狼)の形容詞。
  • 浅黒い面長な顔、眉をひそめて目にもとまらぬ早さで歩き回る狼のよう。
  • 最初の頃は鞭を持っていたが、最近は持っていない。
  • 囚人はソビエト人ではない。

<人>ラーゲル所長

<人>ブイノフスキイ

  • 元海軍中佐。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の下段のベッド。
  • チョッキか胸あて・・・身体検査で見つかる。
  • ラーゲルに来てまだ3か月。
  • 十昼夜の重営倉を命じられる。(監獄へ。)

刑法第九条違反

  • 囚人はソビエト人ではないから、違反していない。

君たち(ヴォルコヴォイ中尉たち)はコムニストでない

コムニスト

  • 旧ソ連共産党中央委員会の理論・政治雑誌。1923年11月19日の全連邦共産党ボリシェビキ)中央委員会組織局の決定に基づいて、24年4月5日に第1号を『ボリシェビク』の名で発刊、52年11月に『コムニスト』と改称した。マルクス・レーニン主義の宣伝とその創造的発展、共産主義建設を目ざす党の路線の実現のための啓発活動を編集方針とした。年18回刊。発行部数は最盛時100万を超えたが、91年8月の共産党解体後に廃刊された。

<場>暖発電(テツツ)

  • 暖房発電所
  • 現場
  • 両手を背中にくまされて、現場まで歩かされる。

囚人たちの護送兵

軍犬

囚人は五列縦隊

  • 縦隊をみだすと逃亡とみなして発砲される。

<場>木工所

  • 囚人部隊が建てた。

<場>住宅街

  • 囚人部隊が建てた。
  • 住んでいるのは民間人。

<場>荒野

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし。
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)
  • 年があけて1951年、シューホフは年2通の手紙を書く権利をもらった。(ウスチ=イジマのランゲールでは別規則で、手紙を出したい奴はいつでもだせる。)
  • 1941年6月23日シューホフは家(テムゲニョヴォ村)を出た。
  • 家の者も年に2回手紙をよこす。
  • あと2年は収容予定。
  • 40年の星霜をへて。・・・40歳。
  • 賄賂をやったりとったりしたことがない。(ランゲールでもしったことがない。)
  • 市民権はく奪の身。
  • 腕に覚えがある職人だった。

<場>ウスチ=イジマのランゲール

  • バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔の収容所
  • 1943年にシューホフがいた収容所。

<場>テムゲニョヴォ村

  • 1941年ポロムニャの教会へ朝のお祈りに行ってきた連中が、ポロムニャの郵便局がラジオのニュースを聞いて、「戦争がはじまったよ」と教えてくれた。
  • 戦争になるまでシェーホフの村、テムゲニョヴォ村にはラジオが」なかった。
  • 今はどの家にも有線ラジオがついている。
  • 大工仕事で名の売れている地方。
  • 最近はコルホーズも出稼ぎもせず、絨毯染めが主流の職業。
  • 男性はひと月だけコルホーズを手伝うだけ。コルホーズは女性が切り盛りしている。

<人>アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン

  • 第104班 班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、本部の生産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけ命令受領にいく。
  • 今日は、新しい苛酷な《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場へ第104班を移されないように、話をつけにいく。(ベーコン半キロを賄賂に作業主任にもっていく、それでもだめなら1キロ。)
  • ラーゲル生活19年の男。

<人>キルガス

コルホーズ

  • コルホーズロシア語колхоз英語kolkhoz

  • ソビエト連邦集団農場のことである。

  • 全て国有だったソフホーズと違い、半官半民で協同組合に近い。ロシア語の «коллективное хозяйство»コレクティーヴノエ・ハジャイストヴァ の略で「共同経営」「集団農場」といった意味である。農業に限らず、漁業コルホーズ林業コルホーズなどもある。

  • 国有地を無料で使用して耕作を行った。主な農機具・家畜等は共有。労働者は組合員としてコルホーズで農作業を行い賃金を得る。生産物は政府に売却する。組合組織による経営であった。各個人の住宅に付属した小規模農地で野菜の栽培、家畜の飼育が可能で、個人で生産した生産物は自由な販売を認められていた。

<人>ザハール・ワシーリッチ

<人>チホーン

  • 84歳になるコルホーズの男の働き手。(シェーホフの村、テムゲニョヴォ村)
  • 大工

<人>シューホフ(イワンデニーソヴィチ・シューホフ)の妻

  • 1941年に別れたきり。
  • 亭主のイワンが帰ってきたら染め職人になってほしいと思っている。(割のいい商売だから。)
  • 貧乏暮らしをしている。
  • 子供たちを実業学校へいかせたい。

星霜をへて

  • 《星は1年に天を1周し、霜は毎年降るところから。古くは「せいぞう」》としつき。歳月。「星霜ここに幾十年」「幾星霜を経る」

<場>作業現場

  • すべての望楼に護送兵が立哨。
  • 詰所には民間人の守衛が、板切れやセメントの持ち出しを見張るため一晩中つめていた。
  • 有刺鉄線の向こうに作業現場。そのはるかかなたに鉄条網。

<人>アリョーシュカ

  • バプテスト信者。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の上段のベッドの隣人。
  • お祈りを呟く。
  • 上段ベッドでシューホフと隣同士。
  • いつもこざっぱりと身ぎれい。
  • 福音書の半分が書き写されている手帳。
  • 鉄条網の向こうの朝日を見てほほえむ。
  • 日曜日になると、バプテスト信者はみんな集まって、お互いにおしゃべりしている。

<人>アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン

  • 第104班 班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、本部の生産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけ命令受領にいく。
  • 今日は、新しい苛酷な《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場へ第104班を移されないように、話をつけにいく。(ベーコン半キロを賄賂に作業主任にもっていく、それでもだめなら1キロ。)
  • ラーゲル生活19年の男。
  • 肩幅ががっちりとした体格で大柄。
  • 冗談を言って班員を笑わせたりはしないが、食事の面倒はよく見てくれる。
  • 二度目の刑期で、中央ラーゲル局出身なので、ラーゲルのことなら何でも知っている。
  • シェーホフは同じ班ではなかったが、彼のことをウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。
  • 天然痘のため大きなあばただらけ。

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし。
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)
  • 年があけて1951年、シューホフは年2通の手紙を書く権利をもらった。(ウスチ=イジマのランゲールでは別規則で、手紙を出したい奴はいつでもだせる。)
  • 1941年6月23日シューホフは家(テムゲニョヴォ村)を出た。
  • 家の者も年に2回手紙をよこす。
  • あと2年は収容予定。
  • 40年の星霜をへて。・・・40歳。
  • 賄賂をやったりとったりしたことがない。(ランゲールでもしったことがない。)
  • 市民権はく奪の身。
  • 腕に覚えがある職人だった。
  • 同じ班ではなかったが、アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長をウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。(信頼している。)

<場>ウスチ=イジマのランゲール

  • バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔の収容所
  • 1943年にシューホフがいた収容所。
  • 一般ラーゲル。

<場>徒刑ラーゲル

  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われた。

<人>護送隊長

<人>点検係

<人>現場監督

<人>班長たち

  • 囚人。

<人>職長(デール)

  • 同じ囚人くせに、仲間の者たちを犬より酷くこき使う卑劣漢。

<時>朝8時5分

  • 移動発電所の汽笛がなったから。

<人>パウロ

  • 第104班 副班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、今からパンを受け取りに行く。
  • 何か計算していた。
  • 西部ウクライナ出身。(しっかりと相手を父称呼びし、丁寧な「あなた」言葉を使う。)➡イワン・デニーソヴィチと呼ぶ。
  • 配給のパンと小さな砂糖をシューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)に渡してくれる。(パンの分量)
  • アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長に言われて一緒に事務所へ。

<人>ツェーザリ・マルコヴィッチ

  • 第104班
  • 煙草をすっている。(パイプでなく巻たばこ)
  • ありとあらゆる民族の血が混じっていた。
  • 映画監督だった。
  • 第一作も取り終えずにぶちこまれた。
  • 黒いこいひげ。(そり落とさないのは身分証明書がそうなっているから。)
  • ネルシャツ・・・身体検査で見つかる。
  • 金持ちで、月に二度差し入れの小包を受け取り、しかるべきところへ袖の下をつかっていた。だからノルマ計算係の助手として事務所の中で働くことができた。

<場>作業現場 構内

  • 組み立て住宅のパネル材が雪をかぶり
  • 建てかけの石造倉庫の基礎工事のあたりに、ハンドルの折れた土堀機械
  • あちこちに鉄桶や屑鉄の山
  • 掘りかけの溝や壕(ほり)
  • いたるところに穴があいていた。
  • 自動車修理工場の屋根には支え棒
  • 小高いところに二階ができかけてる暖発電の建物
  • 望楼には6人の見張り兵
  • 事務所の辺りに人が群がっていた。(囚人の束の間の自由のひととき。)

<人>エストニア人・・・ふたり

  • そっくり
  • いつも一緒にいる。
  • 一人は沿岸地方の猟師、もう一人はソビエト政権ができたとき、まだ小さな子供で両親に連れられてスエーデンへ行ったのだというが、成人してから自分の意志で帰国し、エストニアの大学を卒業した。
  • シューホフの会ったかぎりではエストニア人に悪いやつはいない。

<人>山犬のフェチュコーフ

  • ツェーザリのタバコを狙ってる。(吸いさし。)
  • 自由の身であった時分には、3人の子持ちだったが、収容されてからは子供達が離れていき奥さんも再婚してしまった。・・・だからどこからも差し入れがない。
  • 煙草の吸殻を拾い集めてきてほぐし、1枚の紙に集めていた。(ブイノフスキイに梅毒がうつると注意される。)

<人>ブイノフスキイ

  • 元海軍中佐。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の下段のベッド。
  • チョッキか胸あて・・・身体検査で見つかる。
  • ラーゲルに来てまだ3か月。
  • 十昼夜の重営倉を命じられる。(監獄へ。)
  • 差し入れの小包が届かない。
  • もと艦長級なので、命令口調。

<人>センカ・クレフシン

  • おとなしい哀れな男。
  • 少し耳がとおい。・・・片耳を41年(独ソ開戦の年)にやられていた。
  • ドイツに捕虜になったが脱走し、また捕まって、ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)へ放り込まれた。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)では奇跡的に命拾いした。
  • カッとなってはおしまい、といのが口癖。
  • 狭いタラップの手すりを取った人。

41年(独ソ開戦の年)

<人>アリョーシュカ

  • バプテスト信者。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の上段のベッドの隣人。
  • お祈りを呟く。
  • 上段ベッドでシューホフと隣同士。
  • いつもこざっぱりと身ぎれい。
  • 福音書の半分が書き写されている手帳。
  • 鉄条網の向こうの朝日を見てほほえむ。
  • 日曜日になると、バプテスト信者はみんな集まって、お互いにおしゃべりしている。
  • 作業現場でもお祈りをしている。

<人>キルガス

大吹雪(プラーン)

  • この地方に特有の大吹雪(プラーン)
  • 粉雪。
  • 作業中止になる。
  • バラックの外へ一歩出るのも危険になる。
  • バラックから食堂へいくのも縄伝いでないと遭難する。
  • バラックの錠が閉ざされてしまい、石炭もなく寒さに震える。
  • ラーゲルへの粉の輸送が止まり、パンがなくなる。
  • 大吹雪(プラーン)の吹く期間は休暇扱いになり、その後日曜もなく労働させられる。
  • だが囚人たちは大吹雪(プラーン)を待ちこがれている。

近くから大型の撹拌槽(かくはんそう)を暖発電へ運ぶ仕事。

<人>ゴプチック

  • 子豚のようにバラ色の肌をしたまだ16歳の小僧。

暖発電現場

  • 今日の作業
  • 昨年の秋、建てかけて中断したもの。

雪原で機械室の窓を塞ぐ仕事。

  • シューホフ
  • キルガス
  • 二人とも職人。(大工と石工)

<人>ヨハン・キルガス

  • ラトビア
  • 赤ら顔の肥ったラトビア
  • 大吹雪(プラーン)がこないと溜息。
  • キルガスは大工職人。
  • シューホフのことをワーニャ(イワンの愛称)で呼ぶ。お互い相手のことを職人として尊敬していた。
  • ラトビア人だが、ロシア語は母国語と同様に話す。・・・村の隣にロシア正教の非改革派の部落があったので、小さいころから覚えた。
  • 屋根ぶき用の厚紙を一巻隠していた。
  • ラーゲル暮らしはまだ2年だが、よく心得ていた。
  • 冗談なしで話をしたことがないので、班の誰からも好かれていた。
  • ランゲールじゅうのラトビア人からとても頼りにされていた。
  • 差し入れの小包は、月に二度。ランゲールの住人とも思えぬ色艶をしていた。
  • キルガスの欠点は煙草を吸わないことだとシューホフは思っている。(小包に煙草がないから。)

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)
  • 年があけて1951年、シューホフは年2通の手紙を書く権利をもらった。(ウスチ=イジマのランゲールでは別規則で、手紙を出したい奴はいつでもだせる。)
  • 1941年6月23日シューホフは家(テムゲニョヴォ村)を出た。
  • 家の者も年に2回手紙をよこす。
  • あと2年は収容予定。
  • 40年の星霜をへて。・・・40歳。
  • 賄賂をやったりとったりしたことがない。(ランゲールでもしったことがない。)
  • 市民権はく奪の身。
  • 腕に覚えがある職人だった。
  • 同じ班ではなかったが、アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長をウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。(信頼している。)
  • シューホフは石工職人。
  • キルガスの名前もヨハン(ロシア語のイワン)だったので、シューホフもキルガスのことをワーニャと愛称で呼んだ。お互い相手の職人として尊敬していた。
  • イワン・デニーソヴィッチはコプチックのことを可愛がっていた。(自分の息子は小さい時に死んでしまい、今家には大きな娘が2人いる。)

ラトビア

ラトビア共和国

ラトビアの位置

<人>シューホフの顔見知りのビヤトカ(ウラルの一地方)人

  • 第82班
  • 酷寒(マローズ)でカチカチに凍ってつるはしで歯が立たない氷に穴掘りをさせられている。途方にくれているのでシューホフがアドバイスする。

<人>シクロパテンコ

  • 職長(デール)
  • 同じ囚人くせに、仲間の者たちを犬より酷くこき使う卑劣漢。
  • のっぽ。
  • もとはただの囚人だが、今じゃ組立住宅が荒らされないように監視する役目。

<人>山犬のフェチュコーフ

  • ツェーザリのタバコを狙ってる。(吸いさし。)
  • 自由の身であった時分には、3人の子持ちだったが、収容されてからは子供達が離れていき奥さんも再婚してしまった。・・・だからどこからも差し入れがない。
  • 煙草の吸殻を拾い集めてきてほぐし、1枚の紙に集めていた。(ブイノフスキイに梅毒がうつると注意される。)
  • 昔はどこかの役所で大したエラ物だったらしい。車を乗り回していた。
  • ブイノフスキイ元海軍中佐が来た頃は公然と敵意をむき出していたが、中佐に思い知らされてからはおとなしくなった。

<人>ゴプチック

  • 子豚のようにバラ色の肌をしたまだ16歳の小僧。
  • 電線用の新品のアルミ線をどこからかかっぱらってきて、イワンにスプーンの作り方を教えてくれとせがんだ。
  • イワン・デニーソヴィッチはコプチックのことを可愛がっていた。
  • 森の中に隠れていたベンデル派の連中(ウクライナ民族主義グループ)へ牛乳を運んだかどで収容所におくられた。
  • 刑期も大人なみ。
  • 仔牛のように可愛くて誰にでも人懐こいが抜け目ないところは一人前。
  • 差し入れの小包がくると、自分一人じめにして、時には真夜中に食べている。

ゴプチックが見つけていたアルミの電線

  • スプーンにする分だけ切断して隅っこにかくした。
  • ペーチカの煙突をつるために探し出した。針金がわり。

ペーチカをシェーホフが修理

撹拌槽(かくはんそう)をヨハン・キルガスが修理

<人>パウロ

  • 第104班 副班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、今からパンを受け取りに行く。
  • 何か計算していた。
  • 西部ウクライナ出身。(しっかりと相手を父称呼びし、丁寧な「あなた」言葉を使う。)➡イワン・デニーソヴィチと呼ぶ。
  • 配給のパンと小さな砂糖をシューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)に渡してくれる。(パンの分量)
  • アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長に言われて一緒に事務所へ。
  • ペーチカのそばでみんながさぼらないよう見張ってる。

<人>アリョーシュカ

  • バプテスト信者。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の上段のベッドの隣人。
  • お祈りを呟く。
  • 上段ベッドでシューホフと隣同士。
  • いつもこざっぱりと身ぎれい。
  • 福音書の半分が書き写されている手帳。
  • 鉄条網の向こうの朝日を見てほほえむ。
  • 日曜日になると、バプテスト信者はみんな集まって、お互いにおしゃべりしている。
  • 作業現場でもお祈りをしている。
  • ペーチカ用の石炭を運んできた。

・・・「でもな、お布令がでてからは、太陽が一番高くなるのは一時なのさ」

  • ソ連では1930年から一年中夏時間を採用している。

ロシア時間

<人>ヨハン・キルガス

  • ラトビア
  • 赤ら顔の肥ったラトビア
  • 大吹雪(プラーン)がこないと溜息。
  • キルガスは大工職人。
  • シューホフのことをワーニャ(イワンの愛称)で呼ぶ。お互い相手のことを職人として尊敬していた。
  • ラトビア人だが、ロシア語は母国語と同様に話す。・・・村の隣にロシア正教の非改革派の部落があったので、小さいころから覚えた。
  • 屋根ぶき用の厚紙を一巻隠していた。
  • ラーゲル暮らしはまだ2年だが、よく心得ていた。
  • 冗談なしで話をしたことがないので、班の誰からも好かれていた。
  • ランゲールじゅうのラトビア人からとても頼りにされていた。
  • 差し入れの小包は、月に二度。ランゲールの住人とも思えぬ色艶をしていた。
  • キルガスの欠点は煙草を吸わないことだとシューホフは思っている。(小包に煙草がないから。)
  • 25年の刑期。

流刑

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)
  • 年があけて1951年、シューホフは年2通の手紙を書く権利をもらった。(ウスチ=イジマのランゲールでは別規則で、手紙を出したい奴はいつでもだせる。)
  • 1941年6月23日シューホフは家(テムゲニョヴォ村)を出た。
  • 家の者も年に2回手紙をよこす。
  • あと2年は収容予定。
  • 40年の星霜をへて。・・・40歳。
  • 賄賂をやったりとったりしたことがない。(ランゲールでもしったことがない。)
  • 市民権はく奪の身。
  • 腕に覚えがある職人だった。
  • 同じ班ではなかったが、アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長をウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。(信頼している。)
  • シューホフは石工職人。
  • キルガスの名前もヨハン(ロシア語のイワン)だったので、シューホフもキルガスのことをワーニャと愛称で呼んだ。お互い相手の職人として尊敬していた。
  • イワン・デニーソヴィッチはコプチックのことを可愛がっていた。(自分の息子は小さい時に死んでしまい、今家には大きな娘が2人いる。)
  • 書類によると、シューホフの罪は祖国への裏切りということになっている。(そう自白してしまった。)・・・自分は祖国を裏切るために、捕虜となり、ドイツ諜報部の任務を遂行して帰還を許された者である、と。
  • ラーゲル暮らし8年のうち、北方のラーゲルで過ごした7年。

<人>センカ・クレフシン

  • おとなしい哀れな男。
  • 少し耳がとおい。・・・片耳を41年(独ソ開戦の年)にやられていた。
  • ドイツに捕虜になったが脱走し、また捕まって、ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)へ放り込まれた。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)では奇跡的に命拾いした。
  • カッとなってはおしまい、といのが口癖。
  • 狭いタラップの手すりを取った人。
  • 我慢強いたちで、いつも口数が少ない。人の話も聞かなければ、自分からもめったに話の仲間いりしない。だから、彼の経歴も殆ど知られていない。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)に放りこまれて、そこの地下組織のメンバーとなり、暴動をおこすために武器を持ち込んだ。その時ドイツ兵に後手にして吊るされ、棍棒でなぐられた。

・・・「殺られたのは人間じゃなくて、密告者(犬)じゃねぇか!」

ラーゲル内部での何か新しい動きが始まろうとしていた。

  • 二人の札付きの密告者が起床時に、ベッドの上で斬殺された。
  • その後、さらにもう一人、罪もない囚人がやられたが、寝場所を間違えたらしい。
  • 密告者の一人は、自分からおエラ方へ申し出て監獄(プール)へ逃げ込み、独房の中でかくまってもらう始末だった。

(時)正午

  • 移動発電所の汽笛が鳴り渡った。
  • 昼休み。
  • もうとうの昔に食堂へいって、行列していなければいけない時間。
  • 作業現場には11の班が来てるが、食堂へは一度に二班以上入れない。

<時>今は1月

<場>作業原場の食堂

  • 班長が姿を見せないなで、パウロ班長とシューホフとゴプチックで向かう。
  • ちっぽけな堀立小屋
  • ただのペーチカのまわりに板をかこい、隙間風を防ぐために、錆びついたブリキ板を打ち付けた代物。
  • コックと衛生指導員の二人で管理していた。

<人>作業原場の食堂のコック

  • コックは作業原場全体の1プード(約16.4㎏)より少し欠ける量の穀物袋を自分でかつがず、3㎞の道のりを自分のやとった当番(囚人)にかつがせてくる。
  • 自分の肩を痛めずに、囚人の分け前をピンはねして、自分で当番を雇った方いいから。
  • 水や薪を運んだり、ペーチカをたいたりするのも、コックが自分でするわけでない。(一般囚人が一食分余計にもらえれば喜んでする。)
  • 料理するだけ。

食事の時は食堂の外へ出てはいけない決まり。

  • 飯皿もラーゲルから持参する。(作業現場に置いておくと、夜中に民間人が持っていってしまうから。)
  • 全部で50枚以下をその場で洗って廻す。(飯皿の運搬者にも、一食分おまけがつく。)
  • 飯皿を食堂から持ち出されぬように、さらにもう一人、当番が入口で見張っているが、飯皿は持ち出されてしまうので、見廻りをして汚れた皿を集め、炊事場に返却する役目が必要。彼らにも一食分おまけがつく。

<人>作業現場の食堂の衛生指導員

  • これっぽちも用がない。
  • 粥(カーシャ)ができると、まず第一に衛生指導員へ運んでいく。あとは食べ放題。次にコックが食べ放題。最後に当番班長(一日交替)が、囚人たちに食わせても大丈夫か吟味するといったふうに試食する。この当番班長には二食分ふるまわれる。そのあと汽笛がなり、班長たちが順番に窓口へやってきて、コックから飯皿をうけとる。

<食>昼食

  • 燕麦の粥(カーシャ)
  • とびきり上等。
  • そうめったにない。
  • シューホフはコックから粥を多くかすめとった

<人>ツェーザリ・マルコヴィッチ

  • 第104班
  • 煙草をすっている。(パイプでなく巻たばこ)
  • ありとあらゆる民族の血が混じっていた。
  • 映画監督だった。
  • 第一作も取り終えずにぶちこまれた。
  • 黒いこいひげ。(そり落とさないのは身分証明書がそうなっているから。)
  • ネルシャツ・・・身体検査で見つかる。
  • 金持ちで、月に二度差し入れの小包を受け取り、しかるべきところへ袖の下をつかっていた。だからノルマ計算係の助手として事務所の中で働くことができた。
  • 事務所にいるツェーザリは、気位が高くて、作業原場でもラーゲルでも、自分のほうから決して食堂へいかなかった。

<人>ブイノフスキイ

  • 元海軍中佐。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の下段のベッド。
  • チョッキか胸あて・・・身体検査で見つかる。
  • ラーゲルに来てまだ3か月。
  • 十昼夜の重営倉を命じられる。(監獄へ。)
  • 差し入れの小包が届かない。
  • もと艦長級なので、命令口調。
  • 食堂では、尊大なな口をきく海軍士官から尻の思い小心な一囚人に早変わりするのだ。尻の重さだけが、この先25年の監獄暮らしに耐え抜く力をつけてくれる。
  • まだラーゲル暮らしが間もないので、生きるすべを学べていない。
  • パブロ副班長にかすめとった粥をもらった。

<事務所>

  • シューホフは事務所にいるツェーザリ・マルコヴィッチに粥をもっていく。
  • 丸太小屋。
  • 暖炉に薪を惜しみなく使っている。
  • 火の番は伝令の役もつとめている老人の当番。
  • ツェーザリ・マルコヴィッチはペーチカのそばで煙草をふかしていた。
  • 事務所は二階。
  • 奥が現場監督の部屋。
  • 現場監督のところで会議。

<人>火の番は伝令の役もつとめている老人の当番

<人>シクロパテンコ

  • Б(べー)219番・・・囚人出身
  • 長身
  • 組立住宅の資材がごまかされないように事務所の窓から見張っている。

<人>会計係が二人

  • 囚人出身
  • 事務所のペーチカの上でパンを焼いている。

<人>20年組の一人

  • X(ハー)123番
  • すじばった老人。

イワン雷帝

イワン雷帝

  • イワン雷帝』(イワンらいてい 原題:Иван Грозный

  • 1944年から1946年にかけて制作されたソ連映画

  • セルゲイ・エイゼンシュテイン監督。

  • “イワン雷帝”ことイヴァン4世の生涯を描いた作品。全3部構成で制作される予定であったが、第1部は時の権力者ヨシフ・スターリンから高く評価されたものの、第2部はスターリンを暗に批判した内容であったため上映禁止となり、第3部は完成されなかった。第2部のラスト数分がカラー映像になっている。

  • あらすじ 第1部(1944年)16世紀半ば、帝位に就いたイワンはロシアを強力な統一国家にすべく邁進するが、それを快く思わない伯母のエフロシニアは、彼の愛する妃アナスタシアを毒殺してしまう。悲嘆にくれたイワンは退位して田舎に引きこもるが、民衆の熱い要請を受けて、再び帝位に返り咲く。第2部(1946年)民衆の熱い要請を受けて再び帝位に返り咲いたイワンであったが、宮廷内では依然としてエフロシニアを中心とする反イワン派の抵抗を受けていた。イワンはこの状況を打開すべく大粛清を決行する。
  • エイゼンシュテイン1928年モスクワで行なわれた2代目市川左團次歌舞伎初の海外公演を観劇し、大いに感銘を受けた。その影響から、第1部ではクローズアップ・ショットで主人公に見得を切らせるという、歌舞伎的な様式の演出を用いている。

<人>ツェーザリ・マルコヴィッチ

  • 第104班
  • 煙草をすっている。(パイプでなく巻たばこ)
  • ありとあらゆる民族の血が混じっていた。
  • 映画監督だった。
  • 第一作も取り終えずにぶちこまれた。
  • 黒いこいひげ。(そり落とさないのは身分証明書がそうなっているから。)
  • ネルシャツ・・・身体検査で見つかる。
  • 金持ちで、月に二度差し入れの小包を受け取り、しかるべきところへ袖の下をつかっていた。だからノルマ計算係の助手として事務所の中で働くことができた。
  • 事務所にいるツェーザリは、気位が高くて、作業原場でもラーゲルでも、自分のほうから決して食堂へいかなかった。
  • 事務所で『イワン雷帝』の映画の話をしていた。

ロシア・インテリゲンツィア

インテリゲンツィア

  • 19世紀ロシアでの青年知識人層
  • 19世紀のロシアで、ツァーリズムに対する批判が強まる中、貴族や豊かな階層の出身者の「知識人」で、西欧社会の進歩思想や、社会主義思想に共鳴し、ロシアの後進性を克服し、社会改革を行う必要を説く人々が現れた。1830年のゲルツェンやベリンスキーなどが先駆的な人物である。ツルゲーネフの『父と子』などの作品はインテリゲンツィアの苦悩を描いている。
  • 19世紀後半になると、彼らはツァーリ政府の弾圧を受けて政治活動の限界を感じるようになり、アナーキズムの影響も受けて、人民の中にはいって運動を進めるべきであるというナロードニキの主張を持つようになる。しかし、ミールというロシアの伝統的農村共同体は強固な保守思想を持ち、彼らを受容しなかったため、次第に行き詰まる。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』などでよく知られるようになるドストエフスキーは一時その運動に加わり、流刑となっている。
  • ロシア語で知識人階級を意味した言葉
    歴史的には特に,1860年代からロシア社会の後進性の克服をめざして,政府弾圧にもかかわらず言論活動を展開した知識人階級をさして用いる。後進性克服の思想と方法をめぐり,西欧派とスラヴ派,さらにナロードニキアナーキスト・ニヒリスト・マルクス主義派などに分かれた。

・・・班長のパーセンテージがうまくいったのさ。

  • 『うまくいったのさ。』とは、この先5日間、配給が割増しになるという意味。
  • ラーゲルでは5日に一度おエラ方がピンはねをすため、正味は5日ではなく4日間。

<人>アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン

  • 第104班 班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、本部の生産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけ命令受領にいく。
  • 今日は、新しい苛酷な《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場へ第104班を移されないように、話をつけにいく。(ベーコン半キロを賄賂に作業主任にもっていく、それでもだめなら1キロ。)
  • ラーゲル生活19年の男。
  • 肩幅ががっちりとした体格で大柄。
  • 冗談を言って班員を笑わせたりはしないが、食事の面倒はよく見てくれる。
  • 二度目の刑期で、中央ラーゲル局出身なので、ラーゲルのことなら何でも知っている。
  • シェーホフは同じ班ではなかったが、彼のことをウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。
  • 天然痘のため大きなあばただらけ。
  • 無駄口をたたかない人。
  • 帽子をぬいで食事するタイプ。
  • 白髪まじりの頭。
  • 父親はカーメニの富農(クラーク)。逃げ出して赤軍になったが連隊長に追い出された。(22歳で家出して2年め頃。)
  • 1938年(前年1937年とともに大粛清のあった年。)にコトラス(北方アルハンゲリスクの町)のラーゲルで昔の小隊長(10年刑期)に会い、彼を追い出した連隊長も政治委員(コミサール)も、1937年銃殺されたと聞いた。
  • 赤軍を追い出された後、レニングラードの女学生が隠してくれてウラジオストック~モスクワ間の汽車でノヴォシビルスク(西部シベリアの都市)まで無賃乗車した話が面白い。その後6人いた娘の一人に、ペチョーラ河(北方アルハンゲリスクの河)のそばで恩返しした。(1935年キーロフ事件の大量検挙でやられて、重労働ですっかりやつれていたのを裁縫工場へまわしてあげた。)・・・夜家に帰えったがその晩すぐ小さい弟を一人連れて暖かい地方のフルイゼ(中央アジアの都市)へ着き、弟を浮浪人に売った。

赤軍

労働者・農民赤軍
Красная армия
Red Army flag.svg
赤軍の軍旗
創設 1918年1月28日 - 1946年2月25日

大粛清

ロシア アルハンゲリスク

アルハンゲリスク州の位置

<人>エストニア人・・・ふたり

  • そっくり
  • いつも一緒にいる。
  • 一人は沿岸地方の猟師、もう一人はソビエト政権ができたとき、まだ小さな子供で両親に連れられてスエーデンへ行ったのだというが、成人してから自分の意志で帰国し、エストニアの大学を卒業した。
  • シューホフの会ったかぎりではエストニア人に悪いやつはいない。

<人>エイノ

  • エストニア
  • 沿岸地方の猟師
  • もう一人のエストニア人と仲がいい。いつも一緒。何でも半分こ。
  • もう一人のエストニア人と相談して、シューホフに煙草の葉を一巻分分けてくれた。

<人>もう一人のエストニア

  • 猟師だったエイノといつも一緒。
  • ソビエト政権ができたとき、まだ小さな子供で両親に連れられてスエーデンへ行ったのだというが、成人してから自分の意志で帰国し、エストニアの大学を卒業した。

キーロフ事件

  • スターリンの右腕といわれていたキーロフが1934年末レニングラードで暗殺され、犯人追及のため大量検挙が行われた。しかし、現在ではこの暗殺自体がスターリンによる謀略ではなかったかと考えられている。

 ラーゲルの班

  • おエラ方の命令なら、たとえ作業時間でも腰をあげないが、班長の命令とあれば、たとえ休憩時間でも、さっさと仕事にとりかかる。
  • 班長がみんなを養ってるから。
  • 班長は決してむだ働きはさせないから。

<人>ヨハン・キルガス

  • ラトビア
  • 赤ら顔の肥ったラトビア
  • 大吹雪(プラーン)がこないと溜息。
  • キルガスは大工職人。
  • シューホフのことをワーニャ(イワンの愛称)で呼ぶ。お互い相手のことを職人として尊敬していた。
  • ラトビア人だが、ロシア語は母国語と同様に話す。・・・村の隣にロシア正教の非改革派の部落があったので、小さいころから覚えた。
  • 屋根ぶき用の厚紙を一巻隠していた。
  • ラーゲル暮らしはまだ2年だが、よく心得ていた。
  • 冗談なしで話をしたことがないので、班の誰からも好かれていた。
  • ランゲールじゅうのラトビア人からとても頼りにされていた。
  • 差し入れの小包は、月に二度。ランゲールの住人とも思えぬ色艶をしていた。
  • キルガスの欠点は煙草を吸わないことだとシューホフは思っている。(小包に煙草がないから。)
  • 25年の刑期。
  • 禿げ頭
  • 差し入れの小包で暮らしている。(裕福なので、配給のことなど気にしない。)

<人>パウロ

  • 第104班 副班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、今からパンを受け取りに行く。
  • 何か計算していた。
  • 西部ウクライナ出身。(しっかりと相手を父称呼びし、丁寧な「あなた」言葉を使う。)➡イワン・デニーソヴィチと呼ぶ。
  • 配給のパンと小さな砂糖をシューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)に渡してくれる。(パンの分量)
  • アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長に言われて一緒に事務所へ。
  • ペーチカのそばでみんながさぼらないよう見張ってる。
  • 若々しい元気一杯の若者で、まだラーゲルの色にも染まらず、ウクライナガルーシキ(団子の一種)で丸々太った好青年。
  • 森に隠れて狙撃をしたり、敵地区に夜襲をかけたこともある人。

ガルーシキ(団子の一種)

  • 写真を見たところ団子というよりラビオリや餃子ににているかも。

・・・一番でかいシャベルはどれだい?」・・・

  • ショベルでもスコップでもなくシャベルと訳されているので、訳者の木村浩さんは関西方面の生まれだと思ったけれど、東京生まれとと本の表紙カバーの折り返しに紹介されていました。

シャベル、スコップ

  • シャベル英語shovel英語発音/ˈʃʌvəl/)またはショベル
  • 土砂、石炭、砂利、などの粗い粉状の素材を持ち上げて移動させるための道具であり、柄と柄の先端に取り付けられたスプーン状の幅広の刃からなる。
  • 漢字では円匙と書き、「えんし」または「えんぴ(本来は誤読だが旧日本軍自衛隊を中心に呼称される)」と読む。
  • 方言シャボロと呼ぶ地方もある。
  • スコップオランダ語schop[ˈsxoːp] スホープ)は本来同義語であるが、使い分けている場合が多い
  • 同様の目的を持つ大型の土木機械(油圧ショベル)もシャベルと呼ばれる。
  • 日本JISでは足をかける部分があるものをショベル(シャベルではなくショベルと定義されている)、無い物をスコップと記されている西日本地域では、足をかける部分があるものをシャベル、無い小型の物をスコップと呼び、このJISに概ね沿った呼び名で広く使われている。しかし、東日本地域では、人力で掘るために足をかける部分のあるものをスコップと言い、JISや西日本地域の呼び方と入れ替わっている。それらの代表的なものが剣先スコップ・角スコップである。

    また、大型の物をショベル、小型の物をスコップと区別する場合もある。一般には大きさによってシャベルとスコップを使い分けており、西日本では大型のものをシャベル、小型のものをスコップと呼ぶ。逆に、おもに東日本では大型のものをスコップ、小型のものをシャベルと呼ぶ人が多い

モルタルが凍る

<人>センカ・クレフシン

  • おとなしい哀れな男。
  • 少し耳がとおい。・・・片耳を41年(独ソ開戦の年)にやられていた。
  • ドイツに捕虜になったが脱走し、また捕まって、ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)へ放り込まれた。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)では奇跡的に命拾いした。
  • カッとなってはおしまい、といのが口癖。
  • 狭いタラップの手すりを取った人。
  • 我慢強いたちで、いつも口数が少ない。人の話も聞かなければ、自分からもめったに話の仲間いりしない。だから、彼の経歴も殆ど知られていない。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)に放りこまれて、そこの地下組織のメンバーとなり、暴動をおこすために武器を持ち込んだ。その時ドイツ兵に後手にして吊るされ、棍棒でなぐられた。
  • 足のサイズが46もある大足なので、官給品のフェルトの長靴ではどれでもきついので、体や足が仕事で温まってきても一人両足をバタバタ打ち合わせている。

モルタル運び

<人>ブイノフスキイ

  • 元海軍中佐。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の下段のベッド。
  • チョッキか胸あて・・・身体検査で見つかる。
  • ラーゲルに来てまだ3か月。
  • 十昼夜の重営倉を命じられる。(監獄へ。)
  • 差し入れの小包が届かない。
  • もと艦長級なので、命令口調。
  • 食堂では、尊大なな口をきく海軍士官から尻の思い小心な一囚人に早変わりするのだ。尻の重さだけが、この先25年の監獄暮らしに耐え抜く力をつけてくれる。
  • まだラーゲル暮らしが間もないので、生きるすべを学べていない。
  • パブロ副班長にかすめとった粥をもらった。
  • 中佐はモルタルを運んでくるたび機敏になった。
  • 40歳になるかならぬかの歳。

<人>山犬のフェチュコーフ

  • ツェーザリのタバコを狙ってる。(吸いさし。)
  • 自由の身であった時分には、3人の子持ちだったが、収容されてからは子供達が離れていき奥さんも再婚してしまった。・・・だからどこからも差し入れがない。
  • 煙草の吸殻を拾い集めてきてほぐし、1枚の紙に集めていた。(ブイノフスキイに梅毒がうつると注意される。)
  • 昔はどこかの役所で大したエラ物だったらしい。車を乗り回していた。
  • ブイノフスキイ元海軍中佐が来た頃は公然と敵意をむき出していたが、中佐に思い知らされてからはおとなしくなった。
  • ブイノフスキイ中佐とは逆に、モルタル運びがのろのろさぼりはじめ、軽くしようとモッコをかしげて、モルタルをこぼしていく。・・・班長に配置がえされる。

<人>アリョーシュカ

  • バプテスト信者。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の上段のベッドの隣人。
  • お祈りを呟く。
  • 上段ベッドでシューホフと隣同士。
  • いつもこざっぱりと身ぎれい。
  • 福音書の半分が書き写されている手帳。
  • 鉄条網の向こうの朝日を見てほほえむ。
  • 日曜日になると、バプテスト信者はみんな集まって、お互いにおしゃべりしている。
  • 作業現場でもお祈りをしている。
  • ペーチカ用の石炭を運んできた。
  • おとなしいので相手は誰でも命令口調になる。
  • 班長に配置替えされた山犬のフェチュコーフの代わりに、ブイノフスキイ中佐と組んでモルタルをシューホフのもとへ運ぶ。
  • おとなしく働く人間は班の宝。
  • なにを頼んでも、嫌と言ったためしがない。

昇降機の修理

  • 修理工と電気工事係と現場監督がやってきた。
  • 修理は無理といって帰っていった。

<人>デール

  • 建設係
  • おエラ方の一人。
  • モスクワっ子。
  • ある省に勤めていたという話。
  • 石工の後ろに立って監督するつもり。
  • 技師きどりだが、技術がない。(シューホフもキルガスも嫌っている。)
  • 一度つまずきながらタラップを上ってきてチューリン班長を呼んでいる。
  • ラーゲルのジャケッツを着ているが新品でこざっぱりしていた。帽子は皮製のすばらしい品だが、一般囚人と同様に番号がついていた。
  • Б(べー)731番
  • 窓にはった屋根紙のことをチューリン班長に怒っていたが、チューリン班長と班の仲間に反対に脅され、傲慢さをうしない窓の壁紙のことは不問に付す様子。

シューホフのデムゲニョヴォ村の思い出

  • 石造の家はなく、農家は木造ばかり。
  • 小学校も、保護林から切り出した6サージェン(約12.5m)もある丸太で建てられたもの。
  • ラーゲルで石工が必要になったので、シューホフも石工になったにすぎない。

<人>アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン

  • 第104班 班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、本部の生産計画部(ペー・ペー・チエー)へ出かけ命令受領にいく。
  • 今日は、新しい苛酷な《社生団》(社会主義生活団地の略)の現場へ第104班を移されないように、話をつけにいく。(ベーコン半キロを賄賂に作業主任にもっていく、それでもだめなら1キロ。)
  • ラーゲル生活19年の男。
  • 肩幅ががっちりとした体格で大柄。
  • 冗談を言って班員を笑わせたりはしないが、食事の面倒はよく見てくれる。
  • 二度目の刑期で、中央ラーゲル局出身なので、ラーゲルのことなら何でも知っている。
  • シェーホフは同じ班ではなかったが、彼のことをウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。
  • 天然痘のため大きなあばただらけ。
  • 無駄口をたたかない人。
  • 帽子をぬいで食事するタイプ。
  • 白髪まじりの頭。
  • 父親はカーメニの富農(クラーク)。逃げ出して赤軍になったが連隊長に追い出された。(22歳で家出して2年め頃。)
  • 1938年(前年1937年とともに大粛清のあった年。)にコトラス(北方アルハンゲリスクの町)のラーゲルで昔の小隊長(10年刑期)に会い、彼を追い出した連隊長も政治委員(コミサール)も、1937年銃殺されたと聞いた。
  • 赤軍を追い出された後、レニングラードの女学生が隠してくれてウラジオストック~モスクワ間の汽車でノヴォシビルスク(西部シベリアの都市)まで無賃乗車した話が面白い。その後6人いた娘の一人に、ペチョーラ河(北方アルハンゲリスクの河)のそばで恩返しした。(1935年キーロフ事件の大量検挙でやられて、重労働ですっかりやつれていたのを裁縫工場へまわしてあげた。)・・・夜家に帰えったがその晩すぐ小さい弟を一人連れて暖かい地方のフルイゼ(中央アジアの都市)へ着き、弟を浮浪人に売った。
  • 暖発電現場の窓にシューホフとキルガスが機転をきかせてはった屋根紙のことを建設係のデールに刑事犯だから刑期延長ものだと怒鳴られる。
  • 北方のラーゲルで刑期を延長されている。(2度)
  • 建設係のデールに脅す。(班の仲間たちも応戦。)

・・・いや、森の精(レーシィ)そっくりの、頑丈な体つきだ。←センカのこと。

森の精(レーシィ)

  • レーシー(ロシア語ле́ший [ˈlʲeʂɨj]ウクライナ語лісовик)

  • スラヴ神話に伝えられる、世界各地のに住んでいる精霊の一種である。 人間にとって有害なものから、ささいなイタズラをするだけの者など様々である。

  • 真っ白な頭髪と長い髭を持ち、足まで届く頭髪と髭で体が隠れている。 森の中では樹木と同じように大きくなり、森の外では木の葉に隠れられるほど小さくなるともいわれる

  • 深く生い茂った森の中を歩いているとき、誰かの視線を感じたり後をつけられている感じがすれば、それがレーシーである可能性がある。 姿を見ようとして振り向いても彼らの方が素早いので姿を見ることはできない。

  • 森に入って来た旅人の方向感覚を狂わせ森の奥へ誘い込もうとすることがあるが、を左右逆に履いて服も後ろ前に着ればレーシーは混乱し、彼らの魔法は簡単に解けてしまう。

スラヴ神話

  • スラヴ神話(スラヴしんわ、Slavic mythology
  • 9世紀頃までにスラヴ民族の間で伝えられた神話のことである
  • スラヴ民族は文字を持たなかったため、伝えられた神話を民族独自に記録した資料は存在しない。スラヴ神話が存在した事を記す資料として、9世紀から12世紀の間に行われたキリスト教改宗弾圧の際の「キリスト教」の立場から記された断片的な異教信仰を示す内容の記述が残るのみである

    スラヴ神話は地方により様々なバリエーションがあったことが近年の研究により明らかになっている。

残業

  • モルタルを使い切るまで。
  • 班長命令。
  • 工具を返さないと工具兵に叱られる。
  • 護送兵は班長より怖い存在。遅れた者はチェックされて、営倉へぶちこまれるから。

<場>詰所

  • ひとだかりができてきた。
  • 護送兵の点呼がはじまる。(門を出ていくときは、二度勘定することになっている。)門をしめたまま一度、開けた門を出ていくところを勘定する。少しでも変と思えば、門を出たところでもう一度勘定する仕組み。

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)
  • 年があけて1951年、シューホフは年2通の手紙を書く権利をもらった。(ウスチ=イジマのランゲールでは別規則で、手紙を出したい奴はいつでもだせる。)
  • 1941年6月23日シューホフは家(テムゲニョヴォ村)を出た。
  • 家の者も年に2回手紙をよこす。
  • あと2年は収容予定。
  • 40年の星霜をへて。・・・40歳。
  • 賄賂をやったりとったりしたことがない。(ランゲールでもしったことがない。)
  • 市民権はく奪の身。
  • 腕に覚えがある職人だった。
  • 同じ班ではなかったが、アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長をウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。(信頼している。)
  • シューホフは石工職人。
  • キルガスの名前もヨハン(ロシア語のイワン)だったので、シューホフもキルガスのことをワーニャと愛称で呼んだ。お互い相手の職人として尊敬していた。
  • イワン・デニーソヴィッチはコプチックのことを可愛がっていた。(自分の息子は小さい時に死んでしまい、今家には大きな娘が2人いる。)
  • 書類によると、シューホフの罪は祖国への裏切りということになっている。(そう自白してしまった。)・・・自分は祖国を裏切るために、捕虜となり、ドイツ諜報部の任務を遂行して帰還を許された者である、と。
  • ラーゲル暮らし8年のうち、北方のラーゲルで過ごした7年。
  • 馬鹿正直な性格。8年のラーゲル暮らしでもこの性格はなおならなかった。モルタルとブロック積を最後まで丁寧にする。護送兵に犬をけしかけられても仕事の出来栄えを一目眺めずにはいられなかった。
  • ブロック積みが終わったあと、センカ・クレフシンはすぐに飛び出したが、シューホフは心配するセンカに手をふって、自分はモルタル室に取って返しコテを隠しにいく。・・・センカは待っていてくれた。
  • 話し方が舌足らず。
  • 詰所で護送兵の点呼を待っている間に、赤味を帯びた月がかけているのを見たシューホフが、古くなった月はどこへいくかとブイノフスキイ中佐に聞くのが面白い。

<人>センカ・クレフシン

  • おとなしい哀れな男。
  • 少し耳がとおい。・・・片耳を41年(独ソ開戦の年)にやられていた。
  • ドイツに捕虜になったが脱走し、また捕まって、ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)へ放り込まれた。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)では奇跡的に命拾いした。
  • カッとなってはおしまい、といのが口癖。
  • 狭いタラップの手すりを取った人。
  • 我慢強いたちで、いつも口数が少ない。人の話も聞かなければ、自分からもめったに話の仲間いりしない。だから、彼の経歴も殆ど知られていない。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)に放りこまれて、そこの地下組織のメンバーとなり、暴動をおこすために武器を持ち込んだ。その時ドイツ兵に後手にして吊るされ、棍棒でなぐられた。
  • 足のサイズが46もある大足なので、官給品のフェルトの長靴ではどれでもきついので、体や足が仕事で温まってきても一人両足をバタバタ打ち合わせている。
  • 森の精(レーシィ)そっくりの、頑丈な体つき。
  • 残業後、護送兵の点呼ぎりぎりなのにシューホフのことを待っていてくれた。
  • 大男。頭一つ半だけシューホフより大きい。頭も大きい。
  • 点呼に遅刻してきたことへの一般の連中の罵声がすごかったので、いつも黙りこくっているのに物凄い大声で怒鳴りかえしたセンカにみんな黙ってしまった。

<場>詰所

  • ひとだかりができてきた。
  • 護送兵の点呼がはじまる。(門を出ていくときは、二度勘定することになっている。)門をしめたまま一度、開けた門を出ていくところを勘定する。少しでも変と思えば、門を出たところでもう一度勘定する仕組み。
  • 人数が足りない。462/463人。五列縦隊で勘定していく。
  • 班ごとに整列させられる。空手のものが多かった。

現場から帰る時の薪運び

  • 作業終了前に囚人たちは木っ端や棒切れや屑板などを拾い集めて、ボロ切れや荒縄でしばり、持ち帰ろうとする。
  • 第一に関所は、詰所のそばに現場監督か職長の誰かが立っているかどうか。立っていれば、みんな捨てていけと命令される。 
  • たとえ各班がほんの小さな棒切れでも持って帰れば、バラックはぐっと暖かくなる。(バラック一つに当たりに1日5㎏の屑炭しか配給されない。)みんな隠して小さな屑を持って帰る。現場監督もそれくらいなら見逃してしまうから。
  • 護送兵の方は、作業現場にいる限り、決して薪を棄てろとは命令しない。護送兵も薪は欲しいが自分でははこんでいけない。これは軍服の手前というよりか、いつでも囚人を撃てるように両手で自動小銃を構えているから。
  • ラーゲルの近くへきてから、護送兵は、「この列からこの列まで薪を置け」と命令し、ちゃんとラーゲルの看守の分も、囚人の分も残す。

<人>ツェーザリ・マルコヴィッチ

  • 第104班
  • 煙草をすっている。(パイプでなく巻たばこ)
  • ありとあらゆる民族の血が混じっていた。
  • 映画監督だった。
  • 第一作も取り終えずにぶちこまれた。
  • 黒いこいひげ。(そり落とさないのは身分証明書がそうなっているから。)
  • ネルシャツ・・・身体検査で見つかる。
  • 金持ちで、月に二度差し入れの小包を受け取り、しかるべきところへ袖の下をつかっていた。だからノルマ計算係の助手として事務所の中で働くことができた。
  • 事務所にいるツェーザリは、気位が高くて、作業原場でもラーゲルでも、自分のほうから決して食堂へいかなかった。
  • 事務所で『イワン雷帝』の映画の話をしていた。
  • ぬくぬく暖まって、パイプを吸いながら事務所から出てくる。
  • ブイノフスキイ中佐としかつきあっていない。あとの誰とも腹を割って話さない。

<場>詰所

  • ひとだかりができてきた。
  • 護送兵の点呼がはじまる。(門を出ていくときは、二度勘定することになっている。)門をしめたまま一度、開けた門を出ていくところを勘定する。少しでも変と思えば、門を出たところでもう一度勘定する仕組み。
  • 人数が足りない。462/463人。五列縦隊で勘定していく。
  • 班ごとに整列させられる。空手のものが多かった。
  • 104班は全員いた。
  • 一名足りないのは、32班。(自動車修理工場へ探しにいく。)
  • いないのは色の黒い小柄なモルダビア人。

モルダビア

<人>色の黒い小柄なモルダビア

  • 32班
  • 自動車修理工場が現場
  • ルーマニアのスパイといっていたモルダビア人。(本物のスパイ)
  • 点呼の時、いなかったので32班の副班長ともうひとりの若者が探しに行く。
  • 500人もの人間を30分以上も待たしたので、全員に罵声をあびせられる。
  • К(カー)460番
  • 壁塗りの足場に這いずりあがって、副班長の目を隠れて、ぬくぬくとあたたまりながら寝込んでしまった。
  • 班長と同じ32班のハンガリー人に殴られ蹴られて、護送兵のカービン銃から月吐き放され撃たれずにすむ。

スパイ

  • スパイ名の付く者は各班に5人はいた。
  • たいていはでっちあげの偽もの。書類上だけのスパイでただの捕虜。
  • シューホフもそうしたスパイの一人。

ツェーザリ・マルコヴィッチとブイノフスキイ中佐の二人は、待っている間映画談義をしている。

  • 会話はエイゼンシュテインの映画「戦艦ポチョームキン」について。
  • ウジ虫のわいた肉は戦艦ポチョームキンの暴動において直接原因となった。
  • ・・・あの階段のところの乳母車 下へどんどん転がっていく。・・・

「戦艦ポチョームキン」 エイゼンシュテイン

戦艦ポチョムキン
Броненосец «Потёмкин»
Vintage Potemkin.jpg
ソ連での公開時のポスター

あの階段のところの乳母車 下へどんどん転がっていく

<場>詰所

  • ひとだかりができてきた。
  • 護送兵の点呼がはじまる。(門を出ていくときは、二度勘定することになっている。)門をしめたまま一度、開けた門を出ていくところを勘定する。少しでも変と思えば、門を出たところでもう一度勘定する仕組み。
  • 人数が足りない。462/463人。五列縦隊で勘定していく。
  • 班ごとに整列させられる。空手のものが多かった。
  • 104班は全員いた。
  • 一名足りないのは、32班。(自動車修理工場へ探しにいく。)
  • いないのは色の黒い小柄なモルダビア人。
  • モルダビア人が発見されたので、勘定のやり直し。・・・煙草をせびりに隊列を離れた山犬のフェチュコーフが護送副隊長に首をぶたれる。

<人>今日の護送隊長

  • 詰所で点呼して門の外に囚人を出した後にもう一度勘定する。
  • これで勘定があったら、見張りを望楼から下ろす。(遠い望楼からここまでは大変な道のり。)しんがりの囚人が現場から出て勘定があうと、その時はじめて電話で各望楼に下りる命令を出す石頭タイプ。
  • 囚人に対して兵士の数が足りないことを怖れて、見張りが戻るのを待っている。

一晩ふいになったのだ!

  • 囚人たちは、まる一時間、酷寒(マローズ)の中凍えながら突っ立っていたことより、一晩ふいになった怒りの方が大きい。
  • 「歩度を上げろ」と命令されても囚人たちは、一晩ふいになり、失うものがなくなって急ぐ気がない。

<人>ブイノフスキイ

  • 元海軍中佐。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の下段のベッド。
  • チョッキか胸あて・・・身体検査で見つかる。
  • ラーゲルに来てまだ3か月。
  • 十昼夜の重営倉を命じられる。(監獄へ。)
  • 差し入れの小包が届かない。
  • もと艦長級なので、命令口調。
  • 食堂では、尊大なな口をきく海軍士官から尻の思い小心な一囚人に早変わりするのだ。尻の重さだけが、この先25年の監獄暮らしに耐え抜く力をつけてくれる。
  • まだラーゲル暮らしが間もないので、生きるすべを学べていない。
  • パブロ副班長にかすめとった粥をもらった。
  • 中佐はモルタルを運んでくるたび機敏になった。
  • 40歳になるかならぬかの歳。
  • 英国海軍に詳しいわけ・・・まる一か月英巡洋艦に乗り込んでいた。自分の個室(キャビン)も持つ護衛艦隊に派遣され、連絡将校だった。戦後になって英国の提督から感謝のしるしに記念品が贈られてきて、十把一絡げにベンデル派何ぞと一緒にぶちこまれた。
  • Щ(シチャー)311番

ベンデル派

 

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)
  • 年があけて1951年、シューホフは年2通の手紙を書く権利をもらった。(ウスチ=イジマのランゲールでは別規則で、手紙を出したい奴はいつでもだせる。)
  • 1941年6月23日シューホフは家(テムゲニョヴォ村)を出た。
  • 家の者も年に2回手紙をよこす。
  • あと2年は収容予定。
  • 40年の星霜をへて。・・・40歳。
  • 賄賂をやったりとったりしたことがない。(ランゲールでもしったことがない。)
  • 市民権はく奪の身。
  • 腕に覚えがある職人だった。
  • 同じ班ではなかったが、アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長をウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。(信頼している。)
  • シューホフは石工職人。
  • キルガスの名前もヨハン(ロシア語のイワン)だったので、シューホフもキルガスのことをワーニャと愛称で呼んだ。お互い相手の職人として尊敬していた。
  • イワン・デニーソヴィッチはコプチックのことを可愛がっていた。(自分の息子は小さい時に死んでしまい、今家には大きな娘が2人いる。)
  • 書類によると、シューホフの罪は祖国への裏切りということになっている。(そう自白してしまった。)・・・自分は祖国を裏切るために、捕虜となり、ドイツ諜報部の任務を遂行して帰還を許された者である、と。
  • ラーゲル暮らし8年のうち、北方のラーゲルで過ごした7年。
  • 馬鹿正直な性格。8年のラーゲル暮らしでもこの性格はなおならなかった。モルタルとブロック積を最後まで丁寧にする。護送兵に犬をけしかけられても仕事の出来栄えを一目眺めずにはいられなかった。
  • ブロック積みが終わったあと、センカ・クレフシンはすぐに飛び出したが、シューホフは心配するセンカに手をふって、自分はモルタル室に取って返しコテを隠しにいく。・・・センカは待っていてくれた。
  • 話し方が舌足らず。
  • 詰所で護送兵の点呼を待っている間に、赤味を帯びた月がかけているのを見たシューホフが、古くなった月はどこへいくかとブイノフスキイ中佐に聞くのが面白い。
  • 仕事に夢中になって、医療室のことをけろりと忘れていた。

突然、囚人部隊の様子がかわる。

  • 列が乱れ、歩調がくずれると、いきなり喚声をあげて走りだした。
  • 遥か右前方の荒野に、もう一つの作業隊が黒々と見えたから。向こうも足を速めている。(機械工場の連中、全部で300人あまり。)
  • ラーゲルまで競争になる。
  • 機械工場の連中を追いこさなければならない理由・・・ラーゲルの詰所で、いつも長々と身体検査をされるから。(ラーゲルで例の密告者(犬)殺しがあってから、ナイフは機械工場で作られ、そこからラーゲルに持ち込まれた物だとおエラ方はにらんでいるから。)

機械工場の連中の特別念入りな身体検査

  • 大地が凍てつきはじめた晩秋にも、怒鳴られ靴をぬがされ靴を両手に持つ。はだしのままで身体検査をうける。
  • 最近でも酷寒(マローズ)なんかおかまいなしに、物品検査をされる。靴もぬがされる。

シューホフのまたぎき

  • 機械工場の連中は夏の頃に、バレーボールの柱を2本ラーゲルに持ち込み、その柱の中に全部のナイフを隠しておいたのだという。
  • 1本の柱に長い刃のナイフを10本ずつ。今でもそれらのナイフはラーゲルのそこここで見つかる。

シューホフはツェーザリ・マルコヴィッチに、この詰所の身体検査が終わったら、小包受領書へとんで番をとると話しかける。

  • ツェーザリ・マルコヴィッチは小包はこないかもという。
  • たとえツェーザリ・マルコヴィッチが来なくても、誰か他の者に順番を売ればいいと考えていた。
  • 一目でツェーザリ・マルコヴィッチが小包を待ちくたびれているのが分かった。

<場>ラーゲルの詰所の身体検査

  • シューホフはズボンの膝ポケットに、今日作業現場で拾った折れた手鋸(てのこ)の刃があったのを忘れていた。
  • ラーゲルへ持ち帰ろうとは思っていなかった。身体検査まであと2列。
  • こんなのこぎりの破片でも、刃物と認められれば、十昼夜の営倉になりかねない。だが靴修理のナイフになったら、もうけもので飯の種になるので、シューホフは綿入れ手袋に押し込んだ。
  • 歳よりの看守に身体検査されるとき、シューホフは神に祈った。

<人>プリャハ

  • ヴォルコヴォイ中尉の副官
  • 護送隊長からの申し送りで、モルダビア人は逃亡を企てたみなされ監獄(プール)にぶちこまれるのだ。

ラーゲルの門をくぐった夕べの点呼

  • 囚人は、一日のうちで飢え、凍え、よわりはてている。
  • ただ熱いばかりでろくな実も入っていない野菜汁(パランダー)の一杯が、旱天(かんてん)の慈雨にも等しい。

かんてんじう【旱天慈雨】

  • 非常に困ったときに、もたらされる救いの手のたとえ。長い間待ち望んでいた物事が実現することのたとえ。

<食>夕食

  • ただ熱いばかりでろくな実も入っていない野菜汁(パランダー)
  • 一気に平らげてしまう。
  • 野菜汁(パランダー)の一杯こそ、今の彼(シューホフ)には自由そのものよりも、これまでの生涯よりも、いやこれからの人生よりも、はるかに貴重。
  • せめて冷えてない熱い野菜汁(パランダー)をすすりたいものだ。冷えてしまった汁は、熱いやつの半分の値打ちもないからだ。

囚人たちの自由な時間

  • 朝6時半に作業出勤の鐘が鳴って以降、最後の点呼をして中間地帯の小さな門を通り、整列場沿いの二つの柱の間を抜ければ、もうどこへ行こうと自由。
  • だが、各班長連は作業割当係に呼び止められ、生産計画部(ペー・ペー・チエー)へ集合。

<場>小包受領所

  • 身体検査の後、シューホフは一目散にむかった。
  • チェーザリは自己の品位を落とさず、ゆっくりと反対の方へ歩いて行った。
  • ひとだかり。
  • ベニア板が打ち付けられ、その表面にボール・ペンで今日の小包受領者の名前が書きだされてる。(ラーゲルでは紙の上にものを書くことは少なく、大抵はベニア板を使う。翌日削ってまた使う。)
  • 内職稼ぎ・・・小包が届いた者の名前をベニア板で見て、整列場所で本人を待ち伏せ、すぐにその番号を教えてやる。大した稼ぎなはならなくても巻タバコ1本ぐらいにはなる。
  • シューホフは受領書沿いの行列に並ぶ。前に15人ばかり並んでいるから、後1時間以上かかる。(就寝時間すれすれ)
  • シューホフ自身はこのラーゲルへきて、自分への小包を受け取ったことはない。

看守たちの小包の点検

  • 小包の箱を手斧(ちょうな)でこじ開けて、ひっぱりだして点検する。
  • 物によっては切ったり、折ったり、さわったり、まいたりする。
  • びん詰や罐詰になっている液体類のときは、蓋を開けて、相手の素手であろうと、タオル袋であろうと、中身だけ注ぐ。・・・ビン、罐とかは渡してくれない。
  • まんじゅうや珍しい菓子やソーセージや魚の燻製の場合は、まず看守が味見する。(文句でも言おうものなら、禁制品と言って渡すことができないと言われる。)
  • 中身の検査が終わっても、小包の箱はやっぱり渡してもらえない。中身だけなんであろうと持参の袋かジャケッツの裾の中へ移しかえなければいけない。
  • 忘れもをしてももどらない。
  • シューホフは送ってくるだけ無駄になるから家族で小包分を食べた方がいいので、復活祭(バースハ)でも送ってよこすなと手紙を書いている。

復活祭(バースハ)

今週はまた日曜がつぶれるという。

  • 月に日曜が5回あれば、3回は休日で、2回は作業と相場が決まっている。

<人>理髪師と簿記係と文化教育部係(カー・ヴェー・チェー)の3人

  • 小包受領所の列に割り込んできた3人
  • この連中は、一般囚人とは違って、構外作業にも出ない、れっきとしたランゲール側の畜生。

<人>ピョートル・ミハイロヴィッチ

  • 小包受領所に入ってきたツェーザリ・マルコヴィッチと話し出した人。
  • 行列中ずっと新聞(『夕刊モスクワ』)ばかり読んでいた一風変わった眼鏡の男。
  • ツェーザリ・マルコヴィッチに新聞に掲載されていたザヴァツキイ(モスソビエト場の演出家)の初日について話していた。
  • ツェーザリ・マルコヴィッチと同じモスクワっ子。・・・早口になるとロシア語の単語がめったに出てこないので、まるでラトビア人かルーマニア人が喋っているという感じ。

早口になるとロシア語の単語がめったに出てこない

ロシア語

<場>食堂の階段

  • 人が押し寄せている。
  • フラモイと食堂主任が階段の上で見張っている。
  • 104班がいないか探すシューホフは、センカ・クレフシンの頭をみつける。
  • パウロ班長が号令をかけて104班を食堂へ入れてくれる。

<人>フラモイ

  • 食堂当番にかじりついていた。
  • びっこをたてに不具者の資格を得ているが、実は頑丈。
  • 白樺の杖を持っていて、自分の指図に従わずに食堂に入り込む者を階段から其の杖でこづく。(ちゃんと相手を選んでいる。つまり弱いものいじめ。)
  • コックと仲がいいので、大名暮らし。

<人>食堂主任

  • まるまる肥ったまむし野郎。
  • 1アルシン(約71㎝)もある肩幅の上に、かぼちゃのような頭をのせていた。
  • バネ仕掛けのようにピョンピョン歩く。
  • 番号の書いていない、白いふわふわした帽子をかぶっている。
  • アストラハンのチョッキを着ていて、胸のところに切手大の大きさの小さな番号をつけていた。(ヴォルコヴォイ中尉への申請のため)
  • 背中には小さな番号すらなかった。
  • 食堂主任は誰にも頭を下げなかったし、逆に囚人たちは彼を怖れていた。

<人>センカ・クレフシン

  • おとなしい哀れな男。
  • 少し耳がとおい。・・・片耳を41年(独ソ開戦の年)にやられていた。
  • ドイツに捕虜になったが脱走し、また捕まって、ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)へ放り込まれた。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)では奇跡的に命拾いした。
  • カッとなってはおしまい、といのが口癖。
  • 狭いタラップの手すりを取った人。
  • 我慢強いたちで、いつも口数が少ない。人の話も聞かなければ、自分からもめったに話の仲間いりしない。だから、彼の経歴も殆ど知られていない。
  • ブッフェンワルド(ナチの強制収容所)に放りこまれて、そこの地下組織のメンバーとなり、暴動をおこすために武器を持ち込んだ。その時ドイツ兵に後手にして吊るされ、棍棒でなぐられた。
  • 足のサイズが46もある大足なので、官給品のフェルトの長靴ではどれでもきついので、体や足が仕事で温まってきても一人両足をバタバタ打ち合わせている。
  • 森の精(レーシィ)そっくりの、頑丈な体つき。
  • 残業後、護送兵の点呼ぎりぎりなのにシューホフのことを待っていてくれた。
  • 大男。頭一つ半だけシューホフより大きい。頭も大きい。
  • 点呼に遅刻してきたことへの一般の連中の罵声がすごかったので、いつも黙りこくっているのに物凄い大声で怒鳴りかえしたセンカにみんな黙ってしまった。

<人>パウロ

  • 第104班 副班長
  • 起床して長靴を履いている。
  • 朝、今からパンを受け取りに行く。
  • 何か計算していた。
  • 西部ウクライナ出身。(しっかりと相手を父称呼びし、丁寧な「あなた」言葉を使う。)➡イワン・デニーソヴィチと呼ぶ。
  • 配給のパンと小さな砂糖をシューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)に渡してくれる。(パンの分量)
  • アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長に言われて一緒に事務所へ。
  • ペーチカのそばでみんながさぼらないよう見張ってる。
  • 若々しい元気一杯の若者で、まだラーゲルの色にも染まらず、ウクライナガルーシキ(団子の一種)で丸々太った好青年。
  • 森に隠れて狙撃をしたり、敵地区に夜襲をかけたこともある人。

<人>ゴプチック

  • 子豚のようにバラ色の肌をしたまだ16歳の小僧。
  • 電線用の新品のアルミ線をどこからかかっぱらってきて、イワンにスプーンの作り方を教えてくれとせがんだ。
  • イワン・デニーソヴィッチはコプチックのことを可愛がっていた。
  • 森の中に隠れていたベンデル派の連中(ウクライナ民族主義グループ)へ牛乳を運んだかどで収容所におくられた。
  • 刑期も大人なみ。
  • 仔牛のように可愛くて誰にでも人懐こいが抜け目ないところは一人前。
  • 差し入れの小包がくると、自分一人じめにして、時には真夜中に食べている。

<人>エルモラーエフ

  • シベリア生まれの偉丈夫。
  • 捕虜で10年。

104班

  • 24人

<人>パンテレーエフ

  • 第104班
  • 今朝は病欠。
  • 保安部の奴から残された。また誰かを密告する気。
  • 食堂に現れた。

<人>ヨハン・キルガス

  • ラトビア
  • 赤ら顔の肥ったラトビア
  • 大吹雪(プラーン)がこないと溜息。
  • キルガスは大工職人。
  • シューホフのことをワーニャ(イワンの愛称)で呼ぶ。お互い相手のことを職人として尊敬していた。
  • ラトビア人だが、ロシア語は母国語と同様に話す。・・・村の隣にロシア正教の非改革派の部落があったので、小さいころから覚えた。
  • 屋根ぶき用の厚紙を一巻隠していた。
  • ラーゲル暮らしはまだ2年だが、よく心得ていた。
  • 冗談なしで話をしたことがないので、班の誰からも好かれていた。
  • ランゲールじゅうのラトビア人からとても頼りにされていた。
  • 差し入れの小包は、月に二度。ランゲールの住人とも思えぬ色艶をしていた。
  • キルガスの欠点は煙草を吸わないことだとシューホフは思っている。(小包に煙草がないから。)
  • 25年の刑期。
  • 禿げ頭
  • 差し入れの小包で暮らしている。(裕福なので、配給のことなど気にしない。)
  • 夕食のパンを運ぶ。

<人>山犬のフェチュコーフ

  • ツェーザリのタバコを狙ってる。(吸いさし。)
  • 自由の身であった時分には、3人の子持ちだったが、収容されてからは子供達が離れていき奥さんも再婚してしまった。・・・だからどこからも差し入れがない。
  • 煙草の吸殻を拾い集めてきてほぐし、1枚の紙に集めていた。(ブイノフスキイに梅毒がうつると注意される。)
  • 昔はどこかの役所で大したエラ物だったらしい。車を乗り回していた。
  • ブイノフスキイ元海軍中佐が来た頃は公然と敵意をむき出していたが、中佐に思い知らされてからはおとなしくなった。
  • ブイノフスキイ中佐とは逆に、モルタル運びがのろのろさぼりはじめ、軽くしようとモッコをかしげて、モルタルをこぼしていく。・・・班長に配置がえされる。
  • 夕食の皿をもらうとすぐ立ち去った。

<人>シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)

  • 第104班
  • 決して寝過ごさず、5時の起床の鐘と同時に起きる。(作業に出る前の1時間半を自分の時間としてつかうため。内職かせぎをする。)
  • 今朝は体調不良で起きられなかった。(寒気、節々の痛み。)
  • Ш,(シチャー)、854番(黒ジャケッツの肩に当たっている白い布に記されている。)
  • 8年間のラーゲル暮らし
  • まばらな歯。・・・1943年に死に損ない、歯はその時ウスチ=イジマ(バレンツ海に注ぐベチョーラ河畔)の収容所で抜けてしまった。(病気のせいで)
  • 歯抜けのせいで、舌たらずの発音。
  • 1941年に女房と別れたきり。
  • 髭が伸び放題。10日前に風呂にはいったきり。あと3日もすれば風呂があるだろう。
  • ロワチ湖畔の野戦病院の思い出。(顎を負傷。)
  • 体温は37度。
  • パウロ班長に配ってもらったパンの半分をベッドのマットレスの小穴を大きくして、つめているノコ屑の中に隠す。隠していた糸と針で縫う。(当番の連中にぬすまれるから。)
  • バンドは取り上げられてしまったので、防寒服のうえにジャケッツをまとい縄で縛る。(特殊ラーゲルでは、皮バンドは禁止されていた。)
  • 年があけて1951年、シューホフは年2通の手紙を書く権利をもらった。(ウスチ=イジマのランゲールでは別規則で、手紙を出したい奴はいつでもだせる。)
  • 1941年6月23日シューホフは家(テムゲニョヴォ村)を出た。
  • 家の者も年に2回手紙をよこす。
  • あと2年は収容予定。
  • 40年の星霜をへて。・・・40歳。
  • 賄賂をやったりとったりしたことがない。(ランゲールでもしったことがない。)
  • 市民権はく奪の身。
  • 腕に覚えがある職人だった。
  • 同じ班ではなかったが、アンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリン班長をウスチ=イジマにいる頃から知っていた。
  • 刑法第五十二条組が、一般ラーゲルのウスチ=イジマからここ徒刑ラーゲルへ追い払われた時、シェーホフはアンドレイ・プロコーフィエヴィッチ・チューリンに拾われ、様々なことから守ってくれた。(信頼している。)
  • シューホフは石工職人。
  • キルガスの名前もヨハン(ロシア語のイワン)だったので、シューホフもキルガスのことをワーニャと愛称で呼んだ。お互い相手の職人として尊敬していた。
  • イワン・デニーソヴィッチはコプチックのことを可愛がっていた。(自分の息子は小さい時に死んでしまい、今家には大きな娘が2人いる。)
  • 書類によると、シューホフの罪は祖国への裏切りということになっている。(そう自白してしまった。)・・・自分は祖国を裏切るために、捕虜となり、ドイツ諜報部の任務を遂行して帰還を許された者である、と。
  • ラーゲル暮らし8年のうち、北方のラーゲルで過ごした7年。
  • 馬鹿正直な性格。8年のラーゲル暮らしでもこの性格はなおならなかった。モルタルとブロック積を最後まで丁寧にする。護送兵に犬をけしかけられても仕事の出来栄えを一目眺めずにはいられなかった。
  • ブロック積みが終わったあと、センカ・クレフシンはすぐに飛び出したが、シューホフは心配するセンカに手をふって、自分はモルタル室に取って返しコテを隠しにいく。・・・センカは待っていてくれた。
  • 話し方が舌足らず。
  • 詰所で護送兵の点呼を待っている間に、赤味を帯びた月がかけているのを見たシューホフが、古くなった月はどこへいくかとブイノフスキイ中佐に聞くのが面白い。
  • 仕事に夢中になって、医療室のことをけろりと忘れていた。
  • シューホフは、食堂で要領よく盆を捜し野菜汁(パランダー)を運ぶ。実の多いスープは自分と班長分にとっておく。・・・内職のおかげでツェーザリ・マルコヴィッチ分の野菜汁(パランダー)も自分のもの。

<人>背の高い老人

  • Ю(ユー)81番
  • 68班
  • 食堂でシューホフの前に座った。
  • 68班は今日、シューホフたち104班の代わりに《社生団》へまわされ、一日じゅう火の気のないところで有刺鉄線を張っていた。
  • 老人はこれまでラーゲルや牢獄にもう数えきれぬくらいぶちこまれてきたが、一度も恩赦になったことがなく、10年の刑期がきれると、またすぐ新しい刑期を申し渡されてきた。
  • 背筋がぴんとのびている。
  • 頭はつるりと禿げていて、かなり前から髪の毛を刈る必要はなくなっている。
  • 食堂内で起こっていることなど一瞥もせず、シューホフのあたまごしに虚空の一角をにらんでいる。
  • 先のかけた木のスプーンで、実のない野菜汁(パランダー)を、みながやるように顔を皿に突っ込むことなく、スプーンを高く持って口元まで運んでいる。
  • 歯は上下ともすっかり欠け落ちている。
  • その顔は消耗の色が濃かったが、敗残者のような弱々しさではなかった。
  • ひび割れた手を見れば、彼が長いラーゲル生活でも、殆ど軽労働の機会に恵まれなかったことがわかるが、それにもかかわらず、彼は一切の妥協を排してきたのだ。今も彼は300gのパンを、みんなのように汚く散らかっているテーブルの上でなく、ちゃんと洗濯のきいた布切れの上に置いて食事していた。

高潔そうな老人で、その振る舞いから貴族っぽい育ちのよささが伺えるが、これ以上は触れられていなかった。興味深いが、まだあとからもでてくるだろうか?

 シューホフは自分とツェーザリのパンを持って、食堂の外へ出た。

出口の階段は別。

  • 二人の当番が立っている。

<場>第七バラック

  • シューホフは、前にも買ったことのあるコップ1ルーブルの自家製タバコを買うつもりだった。
  • 同じものが娑婆では、3ルーブルもしていた。品によってはもっと高かった。
  • 徒刑ラーゲルではあらゆる物の値段が独特。ここでは金を貯めることができないし、持っている者も少額なので、値打がでる。
  • このラーゲルでは労働に対してビタ一文も払わない(ウスチ=イジマではシューホフも月30ルーブル貰っていた。)
  • 肉親からお金が郵送されても、そのお金は本人には渡らず、個人預金へ入れられていまう。
  • 個人預金では、月に一回売店で、化粧石鹸とかカビくさい菓子パンとか巻タバコの『プリマ』が買えるだけ。品物が気に入らなくても申請した分は買わなければいけなかった。買わなくても金はもどらない。貯金から引かれてしまう。
  • シューホフは内職でお金を稼ぐ。

巻タバコの『プリマ』

<人>第七バラックラトビア

  • ベッドの下段に横たわり、隣の男とラトビア語ではなしていた。
  • 部屋のみんなが聞き耳をたてているのでみんなが自分の話にかえるまでよもやま話をしてみせる。
  • みなは、朝鮮戦争をめぐって議論してる。中国が介入したからには、世界大戦になるならないで言い争っていた。
  • タバコをラトビア人に見せてもらう。
  • このラトビア人はけちんぼ。
  • シューホフはコップ2杯分のタバコを買う。2ルーブル紙幣を防寒服の隠し穴にかくしてある。

・・・「ひげの親爺(スターリンのあだ名。現在でも一般に広く使われている。)がお前らをあわれんでくれるだと!あいつはな、血を分けた兄弟でも信じようとはしなかった奴だぞ。お前みたいな、どこの馬の骨ともわからねえ野郎を、あわれんでたまるかい!」・・・

  • 徒刑ラーゲルのいいところは、言論の自由があるところ。(密告する者がいないから。)
  • ウスチ=イジマでは、娑婆じゃマッチがないと小声で言っただけでも営倉にぶちこまれ、新たに10年の刑期が延長された。

ひげの親爺 スターリン

<場>第九バラック

  • シューホフはタバコを自分のタバコ入れに移し替えて、急いで自分のバラックに駆け出す。ツェーザリが小包を抱えて戻ってくるところを逃したくなおから。
  • ツェーザリはすでに戻って、下段ベッドにもぐりこみほくそえんでた。
  • シューホフは身をかがめて、中佐とツェーザリのベッドの間にすべりこみ、晩飯のパンを突き出しツェーザリに話しかける。番を取っておいたから小包の分け前を貰う権利があると主張するため。(卑しい山犬のように直接的に言わなかったということ。)
  • ツェーザリが持ってきたパンを断ったので、1杯の野菜汁とパン(夜食分)がシューホフのものになった。シューホフの要求できる分け前にもかなっていたので、シューホフはツェーザリの小包の分を御馳走にあやかろうという気持ちを断ち切った。

シューホフのパン

  • 手元には400gのパンと200gのパンがあり、マットレスの中に200gのパンがある。
  • マットレスを縫い付けていてよかった。75班では、棚のものが盗まれたそうだ。

<人>山犬のフェチュコーフ

  • ツェーザリのタバコを狙ってる。(吸いさし。)
  • 自由の身であった時分には、3人の子持ちだったが、収容されてからは子供達が離れていき奥さんも再婚してしまった。・・・だからどこからも差し入れがない。
  • 煙草の吸殻を拾い集めてきてほぐし、1枚の紙に集めていた。(ブイノフスキイに梅毒がうつると注意される。)
  • 昔はどこかの役所で大したエラ物だったらしい。車を乗り回していた。
  • ブイノフスキイ元海軍中佐が来た頃は公然と敵意をむき出していたが、中佐に思い知らされてからはおとなしくなった。
  • ブイノフスキイ中佐とは逆に、モルタル運びがのろのろさぼりはじめ、軽くしようとモッコをかしげて、モルタルをこぼしていく。・・・班長に配置がえされる。
  • 夕食の皿をもらうとすぐ立ち去った。
  • バラックへすすり泣きながらもどる。口のまわりにはべっとり血がついている。また飯皿がもとで袋叩きにあったらしい。

『営倉十昼夜』

  • デニーソビッチが隠している折りたたみ式の小さなナイフのこと。
  • 営倉いきを覚悟して持っている。
  • ツェーザリにかす。

シューホフは昼間かりた同じ量のタバコをつまんで、エストニア人へ返した。

<食>チェーザリの小包

  • 棒パン(バトン)
  • バター
  • ソーセージ
  • 魚の燻製
  • お茶

<人>クルノセンキイ(ししばな)

  • 血色のいい小柄な若者。
  • 看守。
  • 中佐の始末書の催促と禁制品を私物保管庫へ持っていくことを班長に忠告しにきた
  • Щ(シチャー)311番ブイノフスキイ中佐を十昼夜独房へ連れていこうとした。

監獄

  • 104班が建てた。
  • 壁は石、床はセメント張り、ひとつの小窓もない。
  • ペーチカを焚いても、壁の氷を融かして床に水たまりをつくるだけ。
  • 寝床はむきだしの板切れ。
  • 一日300gのパン。野菜汁(バランダー)が貰えるのは3日目、6日目、9日目の三日間だけ。
  • ジャケッツは禁止。
  • 重営倉で最後までぶちこまれていれば、もう死ぬまで健康は回復しないという。結核になる。
  • もし十五昼夜、重営倉でぶちこまれていれば、死ぬだけ。

<人>バラック

  • 点呼・・・外で点呼をとる
  • 古狸の悪党。
  • 他の者を看守に売ることもすれば、相手も殴る。
  • けんかで指一本取られているので、不具者ということになっている。
  • お尋ね者のような面構え。
  • 刑事犯。
  • どういうわけか刑法第58条14項が適用され、ラーゲルへほうりこまれた。

<人>ツェーザリ・マルコヴィッチ

  • 第104班
  • 煙草をすっている。(パイプでなく巻たばこ)
  • ありとあらゆる民族の血が混じっていた。
  • 映画監督だった。
  • 第一作も取り終えずにぶちこまれた。
  • 黒いこいひげ。(そり落とさないのは身分証明書がそうなっているから。)
  • ネルシャツ・・・身体検査で見つかる。
  • 金持ちで、月に二度差し入れの小包を受け取り、しかるべきところへ袖の下をつかっていた。だからノルマ計算係の助手として事務所の中で働くことができた。
  • 事務所にいるツェーザリは、気位が高くて、作業原場でもラーゲルでも、自分のほうから決して食堂へいかなかった。
  • 事務所で『イワン雷帝』の映画の話をしていた。
  • ぬくぬく暖まって、パイプを吸いながら事務所から出てくる。
  • ブイノフスキイ中佐としかつきあっていない。あとの誰とも腹を割って話さない。
  • 小包を並べて悦にいっていたまま、点呼前に保管所へはこばなければならなかったのにちらかしたまま隠してもいなかったのであわてていた。(要領の悪いツェーザリを気の毒に思って知恵をかすシューホフ。)

《狼のお天道さん》

  • シューホフの田舎では月のことを冗談でこう呼ぶ。

陳情箱

  • ラーゲル本部の前には、封印された陳情箱が4つ置いてある。
  • 月に一度、中身は保安部の将校によって空にされる。
  • 返事を待っても、返事はない。あっても《却下》だ。

<人>アリョーシュカ

  • バプテスト信者。
  • シューホフ(イワン・デニーソヴィチ・シューホフ)の上段のベッドの隣人。
  • お祈りを呟く。
  • 上段ベッドでシューホフと隣同士。
  • いつもこざっぱりと身ぎれい。
  • 福音書の半分が書き写されている手帳。
  • 鉄条網の向こうの朝日を見てほほえむ。
  • 日曜日になると、バプテスト信者はみんな集まって、お互いにおしゃべりしている。
  • 作業現場でもお祈りをしている。
  • ペーチカ用の石炭を運んできた。
  • おとなしいので相手は誰でも命令口調になる。
  • 班長に配置替えされた山犬のフェチュコーフの代わりに、ブイノフスキイ中佐と組んでモルタルをシューホフのもとへ運ぶ。
  • おとなしく働く人間は班の宝。
  • なにを頼んでも、嫌と言ったためしがない。
  • シューホフの声に出してたたえたお祈りを聞きつけて、勧誘に来る。

シューホフのポロムニャ村の教会の坊主の話

  • ポロムニャの教区では、坊主が一番金持ち。
  • 3つの村に女が3人いて、それぞれに養育費を払っている。自分は4人目の女と世帯を持っていた。
  • 州の主教もどうしようもなかった。
  • 正教教会は福音書の教えに背いていると、アリョーシュカ。

バプテスト

2回目の点呼

  • ツェーザリ・マルコヴィッチが、ビスケットを2枚、砂糖を2かけら、ソーセージを1切れ、差し入れてくれた。
  • ツェーザリの食糧袋を上段のシューホフのベッドのマットレスの下に隠してあげる。
  • 2回目の点呼は室内。

シューホフはアリョーシュカにツェーザリからもらったビスケットを1枚あげる。

  • お人好しで、みんなを喜ばしているだけで、自分では内職稼ぎもできないから。
  • 自分はソーセージを口にほりこんで味わう。

今日一日シューホフはとても幸運だった。

シューホフの刑期まで3653日。

口ではキリストを否定しつつも、シューホフは祈ったり、仲間を見返りなしでいたわったりしているので、その実、信仰心をどこかで持っているような気がする。

 

解説

自伝

 

1950年 当時あらたに創設された政治犯だけの特別収容所へ送られた。

  • カザフスタンのエキバトゥーゼ市にあたる収容所
  • 『イワン・デニーソヴィッチの一日』のモデル
  • スターリン時代の象徴ともいうべきラーゲルの極限状況の中から生まれてきた作家。

 

シーモノフ

バクラーノフ

『静かなドン』 ミハイル・ショーロホフ