パイドン―魂の不死について (岩波文庫) 文庫 – 1998/2/16
プラトン (著), Plato (原著), 岩田 靖夫 (翻訳)
パイドン――魂について (光文社古典新訳文庫) (日本語) 文庫 – 2019/5/14
プラトン (著), 納富 信留 (翻訳)
- ペロポネソス戦争において致命的な働きをしたアルキビアデスや、三十人政権の主導者であったクリティアス等と付き合いがあり、彼らを教育した師であるとみなされていたソクラテスも、その糾弾・排除対象の一人とされた
ソクラテスの弁明・クリトン(プラトン) (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1964/1/1
プラトン (著), 久保 勉 (翻訳)
ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫) (日本語) 文庫 – 2012/9/12
プラトン (著), 納富 信留 (翻訳)
イリアス〈上〉 (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1992/9/16
ホメロス (著), Homeros (原著), 松平 千秋 (翻訳)
イリアス〈下〉 (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1992/9/16
ホメロス (著), Homeros (原著), 松平 千秋 (翻訳)
ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1994/9/16
ホメロス (著), 松平 千秋 (翻訳)
ホメロス オデュッセイア〈下〉 (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1994/9/16
ホメロス (著), 松平 千秋 (翻訳)
ディオニュソス: 大空の下を行く神 (叢書・ウニベルシタス (371)) (日本語) 単行本 – 1992/7/1
マルセル・ドゥティエンヌ (著), 及川 馥 (翻訳), 吉岡 正敞 (翻訳)
酒の神ディオニュソス―放浪・秘儀・陶酔 (講談社学術文庫) (日本語) 文庫 – 2003/6/1
楠見 千鶴子
ギリシア・ローマ神話辞典 (岩波オンデマンドブックス) (日本語) オンデマンド (ペーパーバック) – 2018/11/13
高津 春繁 (著)
古代ギリシア遺跡事典 単行本 – 2004/9/1
周藤 芳幸 (著), 沢田 典子 (著)
バッカイ――バッコスに憑かれた女たち (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 2013/5/17
エウリーピデース (著), 逸身 喜一郎 (翻訳)
ギリシア神話 (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1978/6/16
アポロドーロス (著), 高津 春繁 (翻訳)
アイスキュロス I ギリシア悲劇全集(1) (日本語) 単行本 – 1990/7/1
アイスキュロス (著), 久保 正彰 (翻訳), 橋本 隆夫 (翻訳)
アイスキュロス II ギリシア悲劇全集(2) 単行本 – 1991/1/1
伊藤 照夫 (翻訳), 西村 太良 (翻訳), 池田 黎太郎 (翻訳), 岡 道男 (翻訳)
ギリシア悲劇〈1〉アイスキュロス (ちくま文庫) (日本語) 文庫 – 1985/12/1
アイスキュロス (著), 高津 春繁 (翻訳)
ギリシア悲劇〈2〉ソポクレス (ちくま文庫) 文庫 – 1986/1/1
ソポクレス (著), 松平 千秋 (翻訳)
ギリシア悲劇〈3〉エウリピデス〈上〉 (ちくま文庫) 文庫 – 1986/3/1
エウリピデス (著), 松平 千秋 (翻訳)
ギリシア悲劇〈4〉/エウリピデス〈下〉 (ちくま文庫) 文庫 – 1986/5/1
松平 千秋 (翻訳)
- エロス
神統記 (岩波文庫 赤 107-1) 文庫 – 1984/1/17
ヘシオドス (著), 廣川 洋一 (翻訳)
オリュンポスの神々―マンガ・ギリシア神話〈1〉 (中公文庫) (日本語) 文庫 – 2003/11/1
里中 満智子 (著)
- アナンケ・・・アナンケーの名前を書いたノートルダム大聖堂の落書きは有名になり、ヴィクトル・ユーゴーの小説に霊感を与えた
ノートル=ダム・ド・パリ(上) (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 2016/5/18
ユゴー (著), 辻 昶 (翻訳), 松下 和則 (翻訳)
ノートル=ダム・ド・パリ(下) (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 2016/6/17
ユゴー (著), 辻 昶 (翻訳), 松下 和則 (翻訳)
国家〈上〉 (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1979/4/16
プラトン (著), 藤沢 令夫 (翻訳)
国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8) (日本語) 文庫 – 1979/6/18
プラトン (著), 藤沢 令夫 (翻訳)
- 『パイドロス』・・・饗宴の姉妹編
パイドロス (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1967/1/16
プラトン (著), 藤沢 令夫 (翻訳)
ソクラテスの弁明・クリトン(プラトン) (岩波文庫) (日本語) 文庫 – 1964/1/1
プラトン (著), 久保 勉 (翻訳)
ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫) (日本語) 文庫 – 2012/9/12
プラトン (著), 納富 信留 (翻訳)
- ヨーロッパでタブー視され、偏見を脱して、現代における学問的な研究の出発点・・・ドーヴァー(本訳の底本の校訂者)
古代ギリシアの同性愛 (日本語) 単行本 – 2007/12/1
K.J. ドーヴァー (著), Kenneth James Dover (原著), 中務 哲郎 (翻訳), 下田 立行 (翻訳)
- K.J. ドーヴァーの研究に影響をうけ、パイでラスティア研究が本格化し当時の実際の姿が、明確になってきた・・・哲学者ミシェル・フーコー『性の歴史Ⅱ快楽の活用』
快楽の活用 (性の歴史) (日本語) 単行本 – 1986/10/1
ミシェル・フーコー (著), Michel Foucault (著), 田村 俶 (著)
オデュッセイア/魔の海の大航海 [DVD]
アーマンド・アサンテ (出演), クリストファー・リー (出演), アンドレイ・コンチャロフスキー (監督)
ヘレン・オブ・トロイ [DVD]
ロッサナ・ポデスタ (出演), サー・セドリック・ハードウィック (出演), ロバート・ワイズ (監督)
<人>プラトン
- プラトン(プラトーン、古代ギリシャ語: Πλάτων、Plátōn、羅: Plato、紀元前427年 - 紀元前347年)
- 古代ギリシアの哲学者
- ソクラテスの弟子にして、アリストテレスの師に当たる
- プラトンの思想は西洋哲学の主要な源流であり、哲学者ホワイトヘッドは「西洋哲学の歴史とはプラトンへの膨大な注釈である」という趣旨のことを述べた
- 『ソクラテスの弁明』や『国家』等の著作で知られる
- 現存する著作の大半は対話篇という形式を取っており、一部の例外を除けば、プラトンの師であるソクラテスを主要な語り手とする
- 青年期はアテナイを代表するレスラーとしても活躍し、イストミア大祭に出場した他、プラトンという名前そのものがレスリングの師から付けられた仇名であると言われている
- プラトンは、師ソクラテスから問答法(弁証法)と、(「無知の知」や「行き詰まり」(アポリア)を経ながら)正義・徳・善を理知的かつ執拗に追求していく哲学者(愛知者)としての主知主義的な姿勢を学び、国家公共に携わる政治家を目指していたが、三十人政権やその後の民主派政権の惨状を目の当たりにして、現実政治に関わるのを避け、ソクラテス死後の30代からは、対話篇を執筆しつつ、哲学の追求と政治との統合を模索していくようになる。
- この頃既に、哲学者による国家統治構想(哲人王思想)や、その同志獲得・養成の構想(後のアカデメイアの学園)は温められていた
- 40歳頃の第一回シケリア旅行にて、ピュタゴラス学派と交流を持ったことで、数学・幾何学と、輪廻転生する不滅の霊魂(プシュケー)の概念を重視するようになり、それらと対になった、感覚を超えた真実在としての「イデア」概念を醸成していく。
- 帰国後、アカデメイアに学園を開設し、初期末・中期対話篇を執筆。
- 「魂の想起(アナムネーシス)」「魂の三分説」「哲人王」「善のイデア」といった概念を表明していく。
- また、パルメニデス等のエレア派にも関心を寄せ、中期後半から後期の対話篇では、エレア派の人物をしばしば登場させている。
- 後期になると、この世界そのものが神によってイデアの似姿として作られたものであるとか、諸天体は神々の「最善の魂」の知性(ヌース)によって動かされているといった壮大な宇宙論・神学的描写が出てくる一方、第一回シケリア旅行時にシュラクサイのディオンと知り合ったことを縁として、僭主ディオニュシオス2世が支配するシュラクサイの国制改革・内紛に関わるようになったことで、現実的な「次善の国制」を模索する姿勢も顕著になる。
プラトンの作品
- 主にソクラテスの姿を描く。
- イデア論、魂の想起説、「哲人王」思想を展開。
- イデア論に関する発展的・吟味的内容を扱う。「自然」「宇宙」論へとより一層踏み込む。現実的な「次善の国制」も模索。「哲人王」に代わり「夜の会議」を提示。
- 『饗宴』(きょうえん、古希: Συμπόσιον、シュンポシオン、英: Symposium)
- プラトンの中期対話篇の1つ
- 副題は「エロース(ἔρως、erōs)について」
- 物語の語り部
- ソクラテスの弟子
- (Apollodorus of Phaleron)
- <弱虫>というあだ名で呼ばれている
- アテナイ近郊の漁村パレロン(ファレロン区)出身のソクラテスの友人・崇拝者。激情家として知られ、ソクラテス臨終の際には大声で泣き喚いた様が『パイドン』に描かれている
回想
<人>アリストデモス
- 53歳頃
- アテネの哲学者
<人>ディオティマ
- ソクラテスにエロスの道を伝授したマンティネイアの女性
<人>アルキビアデス
- アテネの政治家
- 30代半ば
- 容姿端麗な名家の子息にして、政治・軍事指導者
- ペロポネソス戦争では主戦論を展開し、ちょうど本作回想部の設定年代(紀元前416年)の翌年である紀元前415年、ニキアスの和約を破り戦争再開、その後亡命生活を繰り返すなど波乱の人生を送る。
- 彼の師と看做されていたことが、ソクラテスが告発される一因となった(『ソクラテスの弁明』)
- 初期対話篇『プロタゴラス』にも登場
プロローグ
<場>ファレロン区
デモス
- 古代ギリシアのポリスを構成する組織(希: δήμος)。デーモスとも。通常「区」と訳す。
<人>グラウコン
- アポロドロスにアガトン邸で催された饗宴の話を聞きたいという友人
- 友達の友達が、フォイニクスからあやふやな話を聞いた
<人>フォイニクス
- フィリッポスの息子
- グラウコンの友達の友達
- フォイニクスは、アリストデモスに饗宴の話を聞いた
<人>アガトン
- アルケラオス1世(希:Ἀρχέλαος Α΄、英:Archelaus I)
- 紀元前413年から紀元前399年にかけて在位したマケドニア王国のバシレウスである
- マケドニアの商業、軍事、行政において抜本的な改革を施した有能な君主として知られている
- 彼が暗殺されるまでに、マケドニア王国は強力な国家へと変貌していた
- トゥキュディデスは、歴代の国王の誰よりもマケドニアの軍事インフラを強固にしたとアルケラオス1世を賞賛している
- ギリシア南部のポリス文化を積極的に受容し、ディオンのオリンピア祭を創始したことでも有名である。
- 彼はマケドニアの首都をアイガイからペラへと移し、そこにギリシアの著名な詩人、悲劇作家(アガトーンやエウリピデス)、音楽家、画家(ゼウクシス)を招いた
- マケドニアのディオンにてゼウスとムーサイを称えるオリンピア祭を創始し、ギリシア中のアスリートや音楽家がその競技祭に参加するべく集まった。
- アルケラオスはまた、古代オリンピックとピューティア大祭に参加し、戦車競技において優勝したとされている。しかし、優勝者リストに彼の名前がなく、これを疑問視する学者もいる
<時>アガトン邸で饗宴があった時期
- アポロドロスやグラウコンがまだ子供だった頃
- アガトンが、最初の悲劇作品を上演して、優勝した時
- アガトンと合唱隊の人たちが、神様に感謝を捧げる式典を催した翌日
第一章 うたげのはじまり
- アリストテレスを宴に誘った時の、ソクラテスのシャレ
- 古典ギリシャ語では、「優れた人の宴」と「アガトンの宴」が同じ発音
- ソクラテスはことわざをしゃれでもじり、招かれていないアリストデモスをアガトンの宴会に誘おうとした
<人>ホメロス
- ホメーロス(古代ギリシャ語: Ὅμηρος、Hómēros、羅: Homerus、英: Homer)
- 紀元前8世紀末のアオイドス(吟遊詩人)であったとされる人物を指す。ホメロスとも。
- 西洋文学最初期の2つの作品、『イーリアス』と『オデュッセイア』の作者と考えられている
- 「ホメーロス」という語は「人質」、もしくは「付き従うことを義務付けられた者」を意味する
- 古代人はホメーロスを「詩人」(ὁ Ποιητής、ho Poiêtếs)というシンプルな異名で呼んでいた
- 今日でもなお、ホメーロスが実在したのかそれとも作り上げられた人物だったのか、また本当に2つの叙事詩の作者であったのかを断ずるのは難しい
- それでも、イオニアの多くの都市(キオス、スミルナ、コロポーンなど)がこのアオイドスの出身地の座を争っており、また伝承ではしばしばホメーロスは盲目であったとされ、人格的な個性が与えられている。しかし、彼が実在の人物であったとしても、生きていた時代はいつ頃なのかも定まっていない。
- もっとも信じられている伝説では、紀元前8世紀とされている。
- また、その出生についても、女神カリオペの子であるという説や私生児であったという説などがありはっきりしない。
- さらに、彼は、キュクラデス諸島のイオス島で没したと伝承されている。
- 当時の叙事詩というジャンルを1人で代表するホメーロスが古代ギリシア文学に占める位置は極めて大きい。
- 紀元前6世紀以降、『イーリアス』と『オデュッセイア』はホメーロスの作品と考えられるようになり、また叙事詩のパロディである『蛙鼠合戦』や、ホメーロス讃歌の作者とも見做されるようになった。
- 主にイオニア方言などからなる混成的なホメーロスの言語(フランス語版)は紀元前8世紀には既に古風なものであり、テクストが固定された紀元前6世紀にはなおのことそうであった。両叙事詩は長短短六歩格(フランス語版)(ダクテュロスのヘクサメトロス)で歌われており、ホメーロス言語はこの韻律と密接に結び付いている。
- 古代において、ホメーロスの作品に与えられていた史料としての価値は、今日では極めて低いものと見做されている。このことは同時に、西洋において叙事詩というジャンルを確立した文学的創造、詩としての価値をさらに高めた。
<場>アガトン邸
<人>エリュクシマコス
- アリストデモスがアガトン邸でアガトンに勧められた食事の席の隣の席の人
ディオニュソスが勝敗を判定してださるでしょう
<神>ディオニュソス
- 酒と演劇の神で、バッコスともいう
- ディオニューソス(古希: ΔΙΟΝΥΣΟΣ, Διόνυσος, Dionȳsos)
- ギリシア神話に登場する豊穣とブドウ酒と酩酊の神である。
- この名は「若いゼウス」の意味(ゼウスまたはディオスは本来ギリシア語で「神」を意味する)
- オリュンポス十二神の一柱に数えられることもある
- 聖獣は豹、虎、牡山羊、牡牛、牡鹿、蛇、イルカ、狐、ロバ
- 聖樹は葡萄、蔦であり
- 先端に松笠が付き葡萄の蔓や蔦が巻かれたテュルソスの杖、酒杯、豊穣の角もその象徴となる。
- 日本語では長母音を省略してディオニュソス、デオニュソスとも呼ぶ。
- 別名にバッコス(古希: Βάκχος, Bakkhos)があり、ローマ神話ではバックス(Bacchus)と呼ばれ、豊穣神のリーベルと、エジプトではオシリスと同一視された
エリュクシマコスのお題
- エウリピデスの悲劇『メラニッペ』の引用
- パイドロスの不満の話・・・エロスを褒めたたえる歌作った詩人がいない、ヘラクレスのような者たちへの賛美なら、散文で書いているというのに、最も優れたソフィストであるプロディコスのようにね
- エロス賛美
<人>エウリピデス
- アテネの悲劇詩人
- 古代ギリシャ語: Εὐριπίδης、Euripídēs
- 紀元前480年頃 - 紀元前406年頃
- 古代アテナイのギリシア悲劇における三大悲劇詩人の1人
- エウリーピデースと長母音で表記されることもある
- 現代にも大きな影響を及ぼしている
- 代表作は『メデイア』、『アンドロマケ』など
- アッティカのプリュア区(デーモス)に裕福な父親ムネサルコスと母親クレイトの間に生まれる
- この両親に関してはアリストパネスを始めとする喜劇作家たちによって貧しい商人だとか野菜売りだとか言われているが、ビザンツ時代には既に研究者によって否定されている。エウリピデスが当時としては稀な蔵書家であり、哲学者アナクサゴラスによる高度な教育を受けていることも、中傷を否定する根拠の一つになる
- 紀元前455年に『ペリアスの娘たち』などからなる四部作でディオニュシア祭に最初の出場を果たしたが、それから初の優勝を得るまで14年もかかっている
- 50年間に及ぶ芸歴の中で92の作品を書き22回の上演をしたとスーダ辞典に伝えられているが、優勝は生前に4回、死後に1回、合わせて5回だけであった。しかし、それをもってエウリピデスが同時代人からの評価を受けていなかったとは言えない。むしろ、『蛙』に表れているように、賞等を決める保守的な層に嫌われたことが大きな原因であると言うべきだろう
- 紀元前408年に『オレステス』を上演した後、マケドニア王アルケラオス1世に招かれてその宮廷へ赴いた。マケドニアの最重要神域であるディオンの劇場で、「バッコスの信女」や「アルケラオス」を上演した
- 紀元前406年のディオニュシア祭の直前、マケドニアからエウリピデスの訃報が届くと、彼の長年の好敵手であったソポクレスは上演前の挨拶で弔意を示した
- 性格は厳しく非社交的、哲学的な新思想の持ち主で「舞台の哲人」と呼ばれ、当時の市民としては珍しく公職に就かず軍務にも服したことがなかった。結婚生活にも問題があった。二人の妻を持ったが、二人ともが不貞を働き、古代においてはそれによって女嫌いになったと言われた
- 作風は、 同時代のソポクレスと対照的に、革新的で新思考的
- 様式面では既に縮小傾向にあった合唱隊の役割をさらに小さくしたこと、それに伴って俳優が短い文章によって応酬する場面を多く用いたこと、そして「機械仕掛けの神」を多用したことが特徴
- 「機械仕掛けの神」は、これに類するものを含めると現存する19篇のうち11篇で用いられている。
- しかし、しばしば批判されるように、物語の収拾がつかなくなってこの仕掛けに頼ったのではないことは、各作品を見れば明らかである。観客がそれを待ち望んでいたためだけにそれを出現させることもあったという
- 内容面では、作品の主題を神話から取りながらも、その行動においてはもはや神々や英雄というより市井の人間のような人物を描き、細やかな心理描写を得意とした。これは後の新喜劇につながる特徴でもある。エウリピデスの女性の描写は有名で、『アルケスティス』で貞淑の鑑を書いたかと思えば『ヒッポリュトス』ではパイドラが淫乱に過ぎると非難され、『メディア』においては激烈な怒りに動かされる女性と、様々な性質を深く考察して書いている
- 一方で筋書きについては、時には明らかな破綻をも露呈するほどの冒険をしており、ここには新たな可能性の追求を妥協をし得ない学究的な性格が表れている
- 様々な革新を行ったエウリピデスであるが、同時に愛国的な作品も多い。『ヘラクレスの子供たち』や『救いを求める女たち』では直接にアテナイが舞台とされているし、『ヘラクレス』や『メディア』においてもアテナイの英雄が作中において救済者的な役割を果たしている
メラニッペ
- アイオロスの母あるいは恋人。
- アルタイアーとオイネウスの娘で、メレアグリデスの一人。彼女は、兄弟メレアグロスの死後、アルテミスによってほろほろ鳥に変えられた。
- アレースの娘で、ヒッポリュテーの妹。ヘーラクレースは彼女を捕らえ、彼女を自由にする代わりにヒッポリュテーの帯を要求した。ヒッポリュテーはこれに応じ、ヘーラクレースはメラニッペーを解放した
<神>エロス
- 愛の神
エロス
- エロース(古希: Ἔρως,Erōs)
- ギリシア神話に登場する恋心と性愛を司る神
- ギリシア語でパスシオン則ち受苦として起こる「愛」を意味する普通名詞が神格化されたものである
- 日本語では長母音を省略してエロスとも呼ぶ
- ローマ神話では、エロースには、ラテン語でやはり受苦の愛に近い意味を持つアモール(Amor)またはクピードー(Cupido)を対応させる
- クピードーは後に幼児化して、英語読みでキューピッドと呼ばれる小天使のようなものに変化したが、元は、髭の生えた男性の姿でイメージされていた
- 古代ギリシアのエロースも同様で、古代には力強い有翼の男性あるいは若々しい青年であり、やがて、少年の姿でイメージされるようになった
- エロースの象徴は弓矢及び松明である
- ヘーシオドスの『神統記』では、カオスやガイア、タルタロスと同じく、世界の始まりから存在した原初神 (Greek primordial deities)である。崇高で偉大で、どの神よりも卓越した力を持つ神であった。またこの姿が、エロースの本来のありようである
- 後に、軍神アレースと愛の女神アプロディーテーの子であるとされるようになった
- またエロースはアプロディーテーの傍に仕える忠実な従者とされる
- 古代においては、若い男性の姿で描かれていたが、西欧文化では、近世以降、背中に翼のある愛らしい少年の姿で描かれることが多く、手には弓と矢を持つ(この姿の絵は、本来のエロースではなく、アモールあるいはクピードーと混同された絵である)
- 黄金で出来た矢に射られた者は激しい愛情にとりつかれ、鉛で出来た矢に射られた者は恋を嫌悪するようになる
- エロースはこの矢で人や神々を撃って遊んでいた。ある時、アポローンにそれを嘲られ、復讐としてアポローンを金の矢で、たまたまアポローンの前に居たダプネーを鉛の矢で撃った。アポローンはダプネーへの恋慕のため、彼女を追い回すようになったが、ダプネーはこれを嫌って逃れた。しかし、いよいよアポローンに追いつめられて逃げ場がなくなったとき、彼女は父に頼んでその身を月桂樹に変えた(ダプネー daphne とはギリシア語で、月桂樹という意味の普通名詞である)。このエピソードが示す寓意は、強い理性に凝り固まった者は恋愛と言う物を蔑みがちだが、自らの激しい恋慕の前にはその理性も瓦解すると言う事である
- ヘレニズム時代になると、甘美な物語が語られるようになる。それが『愛と心の物語』
- 地上の人間界で、王の末娘プシューケーが絶世の美女として噂になっていた。母アプロディーテーは美の女神としての誇りからこれを嫉妬し憎み、この娘が子孫を残さぬよう鉛の矢で撃つようにエロースに命じた。
だがエロースはプシューケーの寝顔の美しさに惑って撃ち損ない、ついには誤って金の矢で自身の足を傷つけてしまう。その時眼前に居たプシューケーに恋をしてしまうが、エロースは恥じて身を隠し、だが恋心は抑えられず、魔神に化けてプシューケーの両親の前に現れ、彼女を生贄として捧げるよう命じた。
晴れてプシューケーと同居したエロースだが、神であることを知られては禁忌に触れるため、暗闇でしかプシューケーに会おうとしなかった。姉たちに唆されたプシューケーが灯りをエロースに当てると、エロースは逃げ去ってしまった。
エロースの端正な顔と美しい姿を見てプシューケーも恋に陥り、人間でありながら姑アプロディーテーの出す難題を解くため冥界に行ったりなどして、ついにエロースと再会する。この話は、アプレイウスが『黄金の驢馬』のなかに記した挿入譚で、「愛と心」の関係を象徴的に神話にしたものである。 - プシューケーとはギリシア語で、「心・魂」の意味
- プシューケーとの間にはウォルプタース(英語版)(ラテン語で「喜び」、「悦楽」の意。古典ギリシア語ではヘードネー)と言う名の女神が生まれた
- ヘーラクレース (古希: Ηρακλής, Hēraklēs)
- ギリシア神話の英雄、ギリシア神話に登場する多くの半神半人の英雄の中でも最大の存在
- のちにオリュンポスの神に連なったとされる
- ペルセウスの子孫であり、ミュケーナイ王家の血を引く
- 幼名をアルケイデース(Ἀλκείδης, Alkeidēs)といい、祖父の名のままアルカイオス(Ἀλκαῖος, Alkaios)とも呼ばれていた
- 後述する12の功業を行う際、ティーリュンスに居住するようになった彼をデルポイの巫女が 「ヘーラーの栄光」を意味するヘーラクレースと呼んでからそう名乗るようになった
- キュノサルゲス等、古代ギリシア各地で神として祀られ、古代ローマに於いても盛んに信仰された
- その象徴は弓矢、棍棒、鎌、獅子の毛皮
- ローマ神話(ラテン語)名は Hercules (ヘルクレース)で、星座名のヘルクレス座はここから来ている。 英語名はギリシア神話ではHeracles(ヘラクリーズ)、ローマ神話ではHercules(ハーキュリーズ)。イタリア語名はギリシア神話ではEracle(エーラクレ)、ローマ神話では Ercole(エールコレ)。フランス語名はギリシア神話では Héraclès (エラクレス)、ローマ神話では Hercule (エルキュール)という。なお、欧米ではローマ神話名の方が一般的に用いられている。
- 日本語では長母音を省略してヘラクレスとも表記される
- ヘーラクレースはゼウスとアルクメーネー(ペルセウスの孫に当たる)の子
- アルクメーネーを見初めたゼウスは、様々に言い寄ったが、アルクメーネーはアムピトリュオーンとの結婚の約束を守り、決してなびかなかった。そこでゼウスはアムピトリュオーンが戦いに出かけて不在のおり、アムピトリュオーンの姿をとって遠征から帰ったように見せかけ、ようやく思いを遂げ、1夜を3倍にして楽しんだ。アルクメーネーは次の日に本当の夫を迎え、神の子ヘーラクレースと人の子イーピクレースの双子の母となった
- アルクメーネーが産気づいたとき、ゼウスは「今日生まれる最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」と宣言した。それを知ったゼウスの妻ヘーラーは、出産を司る女神エイレイテュイアを遣わして双子の誕生を遅らせ、もう一人のペルセウスの子孫でまだ7か月のエウリュステウスを先に世に出した。こうしてヘーラクレースは誕生以前からヘーラーの憎しみを買うことになった
- ヘーラクレースの誕生後、ゼウスはヘーラクレースに不死の力を与えようとして、眠っているヘーラーの乳を吸わせた。ヘーラクレースが乳を吸う力が強く、痛みに目覚めたヘーラーは赤ん坊を突き放した。このとき飛び散った乳が天の川(galaxyは「乳のサイクル」Milky Wayは「乳の道」)になったという
- 一説にはアルクメーネーはヘーラーの迫害を恐れて赤ん坊のヘーラクレースを城外の野原に捨てた。ゼウスがアテーナーに命じて、ヘーラーを赤ん坊の捨てられた野原に連れて行くと、アテーナーは赤ん坊を拾い、赤ん坊に母乳を与えるように勧めた。赤ん坊の来歴が知らされていないヘーラーは哀いに思い、母乳を与えた。最後にアテーナーは不死の力を得た赤ん坊をアルクメーネーの元へ返し大切に育てるよう告げる。 これを恨んだヘーラーは密かに二匹の蛇を双子が寝ている揺り籠に放ったが、赤ん坊のヘーラクレースは素手でこれを絞め殺した
- ヘーラクレースはアムピトリュオンから戦車の扱いを、アウトリュコスからレスリングを、エウリュトスから弓術、カストルから武器の扱いを、リノスから竪琴の扱いを学んだ。しかしリノスに殴られた際ヘーラクレースは激怒し、リノスを竪琴で殴り殺してしまう。
- そしてケンタウロス族のケイローンに武術を師事して、剛勇無双となった。キタイロン山のライオンを退治し、以後ライオンの頭と皮を兜・鎧のように身につけて戦うようになる。
- ヘーラクレースは義父アムピトリュオンが属するテーバイを助けてオルコメノスの軍と戦い、これを倒した。クレオーン王は娘メガラーを妻としてヘーラクレースに与え、二人の間には3人の子供が生まれた。しかし、ヘーラーがヘーラクレースに狂気を吹き込み、ヘーラクレースは我が子とイーピクレースの子を炎に投げ込んで殺してしまった。正気に戻ったヘーラクレースは、罪を償うためにデルポイに赴き、アポローンの神託を伺った。神託は「ミュケーナイ王エウリュステウスに仕え、10の勤めを果たせ」というものだった。ヘーラクレースはこれに従い、本来なら自分がなっているはずのミュケーナイ王に仕えることになった
- 「ヘラクレスの選択」といえば、敢えて苦難の道を歩んでいくことをいう。
- 当時のギリシャ世界で活躍していた進歩的知識人のこと
- (古希: Σοφιστής、ソピステース、英: Sophist)
- ペルシア戦争(紀元前492年 - 紀元前449年)後からペロポネソス戦争(紀元前431年 - 紀元前404年)ごろまで、主にギリシアのアテナイを中心に活動した、金銭を受け取って徳を教えるとされた弁論家・教育家
- ギリシア原語に近い読みはソピステースである。「sophistēs」という語は「sophizō」という動詞から作られた名詞で、「智が働くようにしてくれる人」「教えてくれる人」といった意味がある
- 代表的なソフィストにはプロタゴラス、ヒッピアス、ゴルギアス、プロディコス等がいる
プロディコス
- ケオスのプロディコス(古希: Πρόδικος ο Κείος'、英: Prodicus of Ceos、紀元前5世紀頃)
- 古代ギリシアの哲学者、言語学者。ソフィストの第一世代にあたる
- エーゲ海のケオス島に生まれ、外交使節としてアテナイにやってきた
- 彼は同世代のプロタゴラスと同様に、高額の授業料をとって生徒に学術を教えていた。ただし、プロタゴラスの場合は修辞学や文体の教育が主だったのに対して、彼の場合は言語学(言語哲学)に重きを置いていた
- 現在、プロディコスの著作はほぼ失われ、その断片と他者からの言及だけが残されている
- 彼の言語学に関して、プラトンは『クラテュロス』や『プロタゴラス』などの対話篇の中で言及し、彼が名辞の厳格な区別・使用にうるさかったことを揶揄的に描いている。しかし他方で、彼をソクラテスの友人として好意的に描いてもいることから、プロディコスとソクラテスの間には親和性や関心があったことが伺える
- 言語学以外に関しては、クセノポン『ソクラテスの思い出』の中で、ヘラクレスの教育をめぐる倫理学的な寓話の作者として言及される
- また、神々とはすなわち人間が自然の有益さに対して見出したものに過ぎない、という無神論的な思想を説く断片もある
- プロディコスの真髄は言語学であったにもかかわらず、そのことは後世しばしば忘れられた。例えばガレノスは、プロディコスが医学用語の形成に貢献したという点で、彼を自然を論じた人物の一人として扱っている。また『スーダ辞典』では、プロディコスは言語学者ではなく「自然哲学者ならびにソフィスト」として記載されている
- 愛と美の女神
-
アプロディーテー(古典ギリシア語:ΑΦΡΟΔΙΤΗ, Ἀφροδίτη, Aphrodītē)またはアプロディタ(アイオリス方言:ΑΦΡΟΔΙΤΑ, Ἀφροδιτα, Aphrodita)
-
愛と美と性を司るギリシア神話の女神
-
オリュンポス十二神の一柱
-
美において誇り高く、パリスによる三美神の審判で、最高の美神として選ばれている
-
また、戦の女神としての側面も持つ
-
アプロディーテーは、生殖と豊穣、すなわち春の女神でもあった
-
プラトンの『饗宴』では純粋な愛情を象徴する天上の「アプロディーテー・ウーラニアー(英語版)」と凡俗な肉欲を象徴する大衆の「アプロディーテー・パンデーモス(英語版)」という二種類の神性が存在すると考えられている
第二章 パイドロスの話
ヘシオドス
- ヘーシオドス (希: Ἡσίοδος, Hēsíodos)
- 古代ギリシアの叙事詩人
- 紀元前700年頃に活動したと推定
- 『神統記』や『仕事と日』(仕事と日々)の作者として知られる。
- 1939年からギリシャで発行されていた旧50ドラクマ紙幣に肖像が使用されていた
『神統記』
- 『神統記』(しんとうき、希: θεογονία, テオゴニアー、英: Theogony)
- 紀元前700年頃の古代ギリシアの詩人ヘーシオドス作の叙事詩
- ダクテュロスのヘクサメトロス(長短短六脚韻)1022行からなる
- 冒頭の記述からヘーシオドスの処女作とされ、30代前半の作品と推定される
- 原題の「テオゴニアー」は「神々の誕生系譜」を意味する
- 原初の混沌=カオスからの世界の創造、神々の系譜とその三代にわたる政権交代劇を描き、ギリシア神話の宇宙観の原典とされる
- 特徴として、ゼウス政権の正統性、無謬性を強調する事(そのためティーターノマキアーやプロメーテウスの説話に若干矛盾が生じている)、女神ヘカテーを強く賛美している事などがある
- 作品中には後世の挿入と見られる箇所もあり、965行から後を、元来は別の作品(『女傑伝』)であったと推定する研究者もいる。
- 作者はまず前置きとして詩神ムーサへの賛歌から始め、オリュンポスの諸神と歴史を語り起こす。そしてオリュンポスの始まりと神々の誕生、ウーラノス - クロノス - ゼウスの三代にわたる政権交代劇を説き起こす。
原初の神々
最初に カオス(混沌)が生じた。その次にガイア(大地)とタルタロス(冥界)、そして エロース(愛)がともに誕生した。カオスからは エレボス(幽冥)と ニュクス(夜)が生まれ、両神が交わってニュクスは ヘーメラー(昼)と アイテール(清明な大気)を産んだ。
これらの原初の神々からは、人間のありようをめぐる概念の擬人化・神格化とも言える多数の神々が生まれたと、ヘーシオドスはうたう。ニュクスからは、夜の子供に相応しい、ヒュプノス(眠り)やオネイロス(夢)、またタナトス(死)やネメシス(復讐)、運命の三女神らが生まれている。
ティーターンの誕生
ガイアは独力でウーラノス(天空)とポントス(海)を生んだ。ガイアはウーラノスを夫とし、数多くの巨人や神々を次々に生んでいく。まずティーターン十二神を生んだ。すなわち、オーケアノス(大洋)、コイオス、クレイオス、ヒュペリーオーン(光明)、イーアペトス、テイアー、レアー、テミス(審判)、ムネーモシュネー(記憶)、ポイベー、テーテュース、そして末子の狡猾なクロノス(農耕)が生まれた。
またガイアは一つ目の巨人キュクロープス(ブロンテース、ステロペース、アルゲース)を生んだ。彼らキュクロープスはいずれも雷に関する名を持ち、のちにゼウスに雷を与えたという。そして五十頭百手の巨人ヘカトンケイル(コットス、ブリアレオース、ギューゲース)を生んだ。
クロノスとその子
ウーラノスはガイアとの間に生んだティーターン神族を恐れ、大地の体内に押し込めていた。しかしガイアはそれを怨みに思っていた。ガイアは鎌を用意して子供たちに渡し、一矢報いる策略を練った。ある夜、ウーラノスがガイアに覆い被さると、末子のクロノスがウーラノスを鎌で去勢し、切断された男根を放り投げた。ウーラノスの男根からは原初の美の女神アプロディーテーが生まれた。
クロノスはレアーとの間に光り輝く子供たちを生んだ。ヘスティアー、デーメーテール、ヘーラー、 ハーデース、 ゼウスらの兄弟である。しかしクロノスは、父ウーラノスとガイアから、自分の子供に打ち倒されるであろうとの予言を受けており、それを恐れたクロノスは生まれた子供たちを飲み込んでいった。しかし、ゼウスだけはレアーからガイアに渡され、大地に隠されて岩を身代わりとし、難を逃れた。長い隠遁ののちゼウスは成長し、クロノスを打倒して兄弟たちを助け出した。
カオス
ガイア
- ガイア(古希: Γαῖα)、あるいはゲー(古希: Γῆ[2])
- ギリシア神話に登場する女神
- 地母神であり、大地の象徴と言われる
- ただし、ガイアは天をも内包した世界そのものであり、文字通りの大地とは違う存在である
- ヘーシオドスの『神統記』によれば、カオスから生まれ、タルタロス、エロースと同じく世界の始まりの時から存在した原初神である
- ギリシア神話に登場する神々の多くはガイアの血筋に連なり、また人類もその血を引いているとされ、母なる女神としてギリシア各地で篤く崇拝された
- 未来を予言する能力を持つ女神であり、デルポイの神託所はアポローンの手に渡る前に元々ガイアのものであった
- さらに、地上のあらゆる事がその上で行われることから、誓言の神でもある
- ローマ神話におけるテルースに相当する
<人>アクシレオス
- 紀元前5世紀の神話作家
<人>パルメニデス
- 紀元前5世紀のエレア出身の哲学者
- パルメニデス(古希: Παρμενίδης、羅: Parmenidēs 紀元前500年か紀元前475年 - 没年不明)
- 古代ギリシアの哲学者
- 南イタリアの都市エレア出身、エレア派の始祖
- アナクサゴラスの弟子・クセノパネスに学んだとも、ピュタゴラス学派のアメイニアス(Ameinias)に師事したとも伝えられる
- 名門の家柄であり、祖国エレアのために法律を制定したともいわれる
- クセノパネスやエンペドクレスにならって、詩の形で哲学を説いている。その中でも教訓詩『自然について』が断片として現存する
少年愛(パイでラスティア)
- 愛の対象となる少年と、少年を愛する成人男性の関係が念願に置かれている
「神が英雄たちのある者に、<力を吹き込む>」
ぺリアスの娘アルケスティス
- 誰かのために喜んで死ねる例
<人>アルケスティス
- ギリシャ神話に登場するアドメトス王の妻
- 夫の死の運命を避けるために、自らが身代わりになる
アルケスティス
- ギリシア悲劇
- 『アルケスティス』(アルケーススティス、希: Ἄλκηστις, Alkēstis)は、エウリピデスによるギリシア悲劇
- 死期が迫ったテッタリア地方ペライの王アドメートスが、アポローンの好意によって身代わりを出せば命が助かることとなり、最終的に妃のアルケースティスが身代わりとなって死ぬが、ヘーラクレースが彼女を救い出すという神話を題材とする
- 紀元前438年のディオニューシア祭で
『クレタの女たち』
『テレフォス』
『プソフィスのアルクマイオン』
の三部作に続くサテュロス劇の代わりに上演され、二等賞を得た - エウリピデスの現存する作品の中では最も古いものと目されるが、それでも作家が50歳に近いころのものであるから、全体としては中期の後半あたりに属すると言える
- 軟弱な振る舞い
- オルフェウスは、アルケスティスのようにエロスのために死ぬ道を選ばずに、生きたまま冥府に入ろうとした
<人>オルフェウス
- ギリシャ神話に登場する竪琴の名手
- オルペウス(古希: Ὀρφεύς, Orpheus, フランス語: Orphée)
- ギリシア神話に登場する吟遊詩人であり、古代に隆盛した密儀宗教であるオルペウス教の始祖とされる
- 日本語では、オルフェウス、時にフランス語での発音の影響から、オルフェとも表記される
-
アポロドーロスによれば、ムーサイのひとりカリオペーとオイアグロスの子として、ただし名義上の父親はアポローン神として、オルペウスは生まれたとされる
-
またオルペウスの父はトラーキア王であったともされ、グレイヴズはオイアグロスをトラーキア王としている
-
竪琴の技はアポローンより伝授されたともいう。その技は非常に巧みで、彼が竪琴を弾くと、森の動物たちばかりでなく木々や岩までもが彼の周りに集まって耳を傾けたと言われる。
-
ストーリー
冥府下り
オルペウスの妻エウリュディケーが毒蛇にかまれて死んだとき、オルペウスは妻を取り戻すために冥府に入った。彼の弾く竪琴の哀切な音色の前に、ステュクスの渡し守カローンも、冥界の番犬ケルベロスもおとなしくなり、冥界の人々は魅了され、みな涙を流して聴き入った。ついにオルペウスは冥界の王ハーデースとその妃ペルセポネーの王座の前に立ち、竪琴を奏でてエウリュディケーの返還を求めた。オルペウスの悲しい琴の音に涙を流すペルセポネーに説得され、ハーデースは、「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という条件を付け、エウリュディケーをオルペウスの後ろに従わせて送った。目の前に光が見え、冥界からあと少しで抜け出すというところで、不安に駆られたオルペウスは後ろを振り向き、妻の姿を見たが、それが最後の別れとなった
アルゴー探検隊
オルペウスは、イアーソーン率いるアルゴー船探検隊(アルゴナウタイ)にもヘーラクレースらとともに加わった。人間を歌で誘惑し殺害する女魔物セイレーンに歌合戦を挑み一座を鼓舞、無事に海峡を渡った。このとき、ただ1人テレオーンの子ブーテースのみが誘惑に負けて命の危機に陥ったが、アプロディーテーが彼を奪ってリリュバイオンに住ませた
オルペウスの死
妻を失ったオルペウスは女性との愛を絶ち、オルペウス教を広め始めた。ディオニューソスがトラーキアに訪れたとき、オルペウスは新しい神を敬わず、ただヘーリオスの神(オルペウスは、この神をアポローンと呼んでいた)がもっとも偉大な神だと述べていた。これに怒ったディオニューソスは、マケドニアのデーイオンで、マイナス(狂乱する女)たちにオルペウスを襲わせ、マイナスたちはオルペウスを八つ裂きにして殺した
マイナスたちはオルペウスの首をヘブロス河に投げ込んだ。しかし首は、歌を歌いながら河を流れくだって海に出、レスボス島まで流れ着いた。オルペウスの竪琴も、レスボス島に流れ着いた。島人はオルペウスの死を深く悼み、墓を築いて詩人を葬った。以来、レスボス島はオルペウスの加護によって多くの文人を輩出することとなった。また、彼の竪琴はその死を偲んだアポローン(一説にはアポローンの懇願を受けたゼウス)によって天に挙げられ、琴座となった。
ティティスの息子のアキレウスの場合
- オルフェウスと対照的に、アキレウスには栄誉を与え、彼を<祝福された人々が住む島>に送っている
- 母親から知らされた、ヘクトルを殺せば自分も死ぬとわかっていながら、自分を愛してくれたパトロクロスのために戦った
- ホメロスの「イリアス」第9巻410~416行、第18巻78~96行
- トロイア戦争において、アキレウスは、親友パトロクロスの敵討ちのために、敵将ヘクトルを討った
<人>アキレウス
- ギリシャ神話に登場する英雄
<祝福された人々が住む島>
- 英雄たちの魂が死後に住むという伝説の地
- アキレウス(Ἀχιλλεύς、ラテン語: Achilles)
- ギリシア神話に登場する英雄で、ホメーロスの叙事詩『イーリアス』の主人公である。ラテン語ではアキレス
- プティーアの出身で、プティーア王ペーレウスと海の女神テティスとの間に生まれた。アイアコスの孫にあたる。スキューロス島の王リュコメーデースの娘デーイダメイアとの間にネオプトレモスをもうけた
- トロイア戦争にはミュルミドーン人を率いて50隻の船と共に参加し、たった一人で形勢を逆転させ、敵の名将を尽く討ち取るなど、無双の力を誇ったが、戦争に勝利する前に弱点の踵を射られて命を落とした。足が速く、『イーリアス』では「駿足のアキレウス」と形容される
<人>アイスキュロス
- アイスキュロス(ギリシア語: Αισχύλος, Aischylos, 紀元前525年 - 紀元前456年)
- 古代アテナイの三大悲劇詩人のひとりであり、ギリシア悲劇(アッティカ悲劇)の確立者
- 代表作はオレステイア三部作
第三章 パウサニアスの話
パウサニアス
女神が二人いることは確かな事実です
- アフロディテの出自をめぐっては、2つの伝承が存在した
- 優れた人物に身をゆだねることは美しく、自制心のない人物に身をゆだねることは醜い
<神>ウラノス
- ガイアから生まれ、最初に世界を支配した神
<神>ゼウス
<神>ディオネ
- ウラノスとガイアの娘
<俗のアフロディテ>
- 「俗の(パンデモス)」という言葉は、もともとは「すべての民衆に崇拝されている」という意味だが、「世俗的」という」意味もあり、パウサニアスは後者の意味を解している
俗の(パンデモス)
<俗のエロス>と<天のエロス>
アリストゲイトンの愛と、ハルモディオスの信愛の情が強固になった時、専制君主の支配は終焉をむかえたのですから
<人>アリストゲイトンとハルモディオス
- ハルモディオス ?~前 514
- アリストゲイトン ?~前 514
- 古代ギリシア,アテネの貴族,民主政の推進者
- イシストラトスの子でアテネの僭主ヒッピアスとその弟ヒッパルコスをパンアテナイアの祭りのときに暗殺することを計画した (前 514) が、ヒッパルコスを殺しただけで失敗
- ハルモディオスはただちに殺され、アリストゲイトンは捕えられて処刑された
- ヒッピアスの圧制はかえって強まったが、やがて追放 (前 510) され、そのときになって2人の行為は高く評価されるようになり像が建てられた
第四章 エリュクシマコスの話
パウサニアスは話を終えた。(パウサニウー・パウサメヌー)
レトリック
- レトリック(レートリケー)の意味
レトリック(レートリケー)は、現代日本においては「修辞学」と訳され、単に言葉を飾り立てるだけの技術ばかりが注目されがちだが、アテナイをはじめとする古代ギリシャにおける元々の意味は、議会、法廷、公衆の面前などにおいて、聴衆を魅了・説得する、あるいは押し切るための、実践的な「雄弁術」「弁論術」「説得術」であり、アリストテレスがこの書で論じているのも、まさにその意味でのレトリック(レートリケー)である。 - なお、このレートリケー(弁論術)は、元々はシケリアの法廷弁論として発達したものであり、その創始者・大成者は、コラクス及びその弟子のテイシアスとされる
エリュクシマコス
- エロスには二種類あるというパウサニアスの分類は正しいと思う
- 医術を出発点として話をはじめる
- 肉体というものは、二種類の欲求(エロス)を持っている
- 健康な部分に生まれる欲求(エロス)
- 病気の部分に生まれる欲求(エロス)
- パウサニアスが言った、「優れた人物に身をゆだねることは美しく、自制心のない人物に身をゆだねることは醜い」ことだが、体についても同じことが言える
- 体育と農業
- 音楽
- 私達はじっさいに調和の取れた人達の要求に従うべき、そうすれば、いまだに調和の取れてない人達も、より調和的になるだろう
- 調和のとれた人達の欲求(エロス)を守るべき・・・このようなエロスは美しき天のエロスであり、天のムーサに由来するエロス
- 歌のムーサに由来するエロス・・・俗のエロス
私達の[医術の]始祖アスクレピオスは、このような制反対の部分の間に、[互いに求め合う]欲求(エロス)と調和を生み出す知識を発見し、私達の医師の技術を編み出した
- アスクレーピオス(古希: Ἀσκληπιός, Asklēpios)
- ギリシア神話に登場する名医である
- ラテン語ではアイスクラーピウス(Æsculapius / Aesculapius)という、長母音を省略してアスクレピオス、アスクラピウスとも表記される
- 優れた医術の技で死者すら蘇らせ、後に神の座についたとされることから、医神として現在も医学の象徴的存在となっている
- ユーロ導入まで発行されていたギリシャの旧10000ドラクマ紙幣に肖像が描かれていた。 WHO(世界保健機関)のマークにある杖はこの杖由来である
- アスクレーピオスはアポローンとコローニスの子
- コローニスはテッサリアのラピテース族の王プレギュアースの娘で、アポロンは一羽のカラスを使いとしてコローニスとの連絡係にしていた。
- このカラスは言葉を話し、その羽は純白だった。
- あるとき、カラスがコローニスの浮気を告げたために、怒ったアポローンはコローニスを矢で射殺した。
- このカラスの報告は道草を食っていた言い訳に付いた嘘だったという説と、カラスがうっかり者で早とちりをしたという説がある。
- いずれにしても、アポローンはカラスを罰して言葉を取り上げ、白い羽を真っ黒に変え、天空に曝して償わせた。このカラスの姿が現在のからす座である。
- 一説には、からす座のすぐ近くにコップ座があるにもかかわらず、そのくちばしは永遠にコップの水に届かないという。コローニスは身ごもっていることを告げて死んだため、アポローンは胎児を救い出してケンタウロスの賢者ケイローンに養育を託した。この胎児がアスクレーピオスである。
- ケイローンのもとで育ったアスクレーピオスは、とくに医学に才能を示し、師のケイローンさえ凌ぐほどであった。
- やがて独立したアスクレーピオスは、イアーソーン率いるアルゴー船探検隊(アルゴナウタイ)にも参加した。
- その医術の技はますます熟達し、アテーナーから授かったメドゥーサの右側の血管から流れた蘇生作用のある血を使い、ついに死者まで生き返らせることができるようになった。
- アスクレーピオスはカパネウス、リュクールゴス、アテーナイ王テーセウスの息子ヒッポリュトス、テュンダレオース、ヒュメナイオス、ミーノースの子グラウコスらを蘇らせたという。
- 冥界の王ハーデースは、自らの領域から死者が取り戻されていくのを“世界の秩序(生老病死)を乱すもの”とゼウスに強く抗議した。
- ゼウスも、人間が治療の術を獲得して互いに助け合いをすることをよしとしなかったためこれを聞き入れ、雷霆をもってアスクレーピオスを撃ち殺した。だが、アスクレーピオスは功績を認められ、死後天に上げられてへびつかい座となり、神の一員に加わえられることとなった。
- 逆に収まらなかったのは子を殺されたアポローンであった。
- ゼウスに対して直接の非難はできなかったため、アポローンはゼウスの雷霆を作っていた巨人族で一つ目のキュクロープスたちを腹立ち紛れに皆殺しにしたという。
- アポローンはゼウスに罰せられ、ペレースの子でテッサリアのペライの王アドメートスのもとで羊飼いとして家畜の世話をさせられたという。
ヘラクレイトスもそのようなことを言おうとしているようだ
- 『<一なるもの>は、自分自身と合致していないのに、自分自身と調和している。それはまるで、弓や竪琴が生み出す調和のようなものだ』
- ヘラクレイトスの断片51での主張を敷衍(ふえん)したもの。<一なるもの>(すなわち、統一された宇宙)は、対立的な要素間の緊張にようって調和が保たれているという、彼の哲学が表明されている。
敷衍(ふえん)
- おし広げ、行き渡らせること。転じて、わかりやすい言葉で詳しく説明すること。「―して説明する」
<人>ヘラクレイトス
- 紀元前6世紀のエフィソスの哲学者
教養教育
- 当時の教養教育(パイディア)は、読み書き、音楽、体育の三本の柱からなっていた
ムーサ
- 音楽や学芸をつかさどる九柱の女神のこと
- 天のムーサは天文をつかさどり、歌のムーサは歌と踊りをつかさどる
第五章 アリストファネスの話
しゃっくり止まった
喜劇詩人なので、頭で笑いをとろうとしてエリュクシマコスに注意されている
- エロスが持つ力の話
- 太古の昔の人間の姿
- 人間には3つの性別があった・・・男性と女性と第三の性(男性と女性をあわせもつ性)<アンドロギュノス>
- それぞれの人間の体は球体をしていて、背中も脇腹も丸かった。手は4本あり、足も同じく4本あった。そして、丸い首の上には、瓜二つの顔が2つついていた。一つの頭の性反対の側に、2つの顔があったのだ。耳は4つ、生殖器は2つ。
第三の性(男性と女性をあわせもつ性)<アンドロギュノス>
- この性別じたいは消滅してしまった
- <アンドロギュロス>は太古の昔には、一つの種族だった
- 姿も名前も、男性と女性という2つの性が一緒に合わさってできていた
- 人を侮辱するための言葉としてのこっている
<アンドロギュノス>
- <アネル>(男性)と<ギュネ>(女性)という二つの言葉を合成して作られている
- <アンドロギュノス>という言葉は、そもそも、「女のような(めめしい)男」という意味を持っている
ホメロスは、エフィアルテスとオトスが天に昇って神々を攻撃しようとした話を伝えているが、それは、かの太古の人間たちの話なのだ
かつて神々は、巨人族を雷で打ち、その種族を消滅させたことがあった
- ギガンテス
- ウロノスがクロノスによって男根を切断されたとき、ガイアに滴(した)った血から生まれた巨人のこと。
- ゼウスを主とするオリンポスの神々との戦いに敗れ、消滅した
- 弓術、医術、占術、音楽などをつかさどる神
ヘパイトス
- 鍛冶の神
アルカディア地方の人々が、スパルタ人によって二つに引き裂かれたようにね
アルカディア地方
第六章 アガトンの話
アガトン
- エロスは神々の中でひときわ幸福
- なぜなら、ひときわ美しく、ひときわよい神だから
- エロスがひときわ美しい理由・・・エロスは神々の中でひときわ若く、永遠に若い
- パイドロスへの反対意見・・・エロスがクロノスとイアペトスより古いという点には同意しない
- ヘシオドスとパルメニデスへの言及・・・その事件は、エロスではなくアナンケによって生じた
- エロスは、あらえるもののうち最も柔らかいものの中を歩き、住む・・・神々と人間たちの性格と心を住処にしてるひときわ繊細な神
- しなやかな姿をしている・・・優美さ
- エロスの徳・・・正義、節度、勇気、知恵
クロノスとイアペトス
- どちらも、ウラノスとガイアの子
アナンケ
- 必然をつかさどる女神
その事件は、エロスではなくアナンケによって生じた
- ヘシオドス『神統記』176行以下によれば、クロノス神は、父ウラノスの男根を大鎌で去勢したが、自分も同じように息子に倒されることを恐れたクロノスは、息子たちを次々と飲み込んでしまう
アナンケ
- アナンケー(古希: Ἀνάγκη, Anankē)
- ギリシア神話の女神で、運命、不変の必然性、宿命が擬人化されたもの。
- ローマ神話では「ネケシタス」(Necessitas)と呼ばれる。
- アナンケーはアドラステイアーやモイライの母とされることもある。
- アナンケーが崇敬されるようになったのは、オルペウス教が創始されてからである。
- アナンケーの名前を書いたノートルダム大聖堂の落書きは有名になり、ヴィクトル・ユーゴーの小説に霊感を与えた。
- 木星の衛星アナンケの由来ともなっている
- ヴィクトル=マリー・ユーゴー(仏: Victor-Marie Hugo[4]、1802年2月26日 - 1885年5月22日)
- フランス・ロマン主義の詩人、小説家。
- 七月王政時代からフランス第二共和政時代の政治家。『レ・ミゼラブル』の著者として著名。
- 1959年から1965年まで発行されていた5フラン紙幣に肖像画が採用されていた。
- 日本での「Hugo」の表記は、「ユーゴー」と「ユゴー」が併用されている
アナンケーの名前を書いたノートルダム大聖堂の落書きは有名になり、ヴィクトル・ユーゴーの小説に霊感を与えた
- 「ノートルダム・ド・パリ」
- 彼がふとノートルダム大聖堂へ行ったとき、壁の隅に「ANAΓKH」(アナンケ)と落書きされたのを見つけたそうです。ギリシャ語で「宿命」を意味
- その落書きが次に大聖堂へ行ったときには消えていたそうです。上から塗られたか削られたかしてなかったことにされていました。それを見たユゴーは”どんな人がどんな思いで書いたのか””どんな宿命なのか”思いを巡らせたようです。
ホメロスは、アーテーが女神であり、繊細であると言っているのです
アーテー
- 迷妄の女神
この女神の足は繊細だ。なぜなら、大地を踏まずに近づいて、人々の頭の上を渡り歩くのだから
アーテー
- アーテー (古希: Ἄτη, Ātē) は、ギリシア神話の女神
- 元は破滅、愚行、妄想を表すギリシア語で、道徳的判断を失わせ盲目的に行動させる狂気の神格化である。
- ホメーロスではエリスの娘、ヘーシオドスではゼウスの娘である。
- ゼウスが、ペルセウスの最初の子孫に支配権を与えると誓うことで、ヘーラクレースに権利を与えようとしたところ、エウリュステウスが先に生まれてしまったため、誓言を勧めたアーテーは責任を取らされ、地上の、のちのイーリオンに落とされ、帰ることを禁じられた。こうしてアーテーが人間の間で暮らすことになったために、人間は愚行を繰り返す様になったという。
<国の王たる法律>にうたわれているように
- ゴルギアスの弟子のアルキダマスの言葉
エロスには<戦の神アレスさえ太刀打ちできない>といいます
アレス
アレス
- アレースもしくはアーレース(ΑΡΗΣ、Arēs、Ἄρης, Ārēs)
- ギリシア神話に登場する神で、戦を司る
- ゼウスとヘーラーの息子
- オリュンポス十二神の一柱
- アイオリス方言ではアレウスもしくはアーレウス(Ἄρευς、Areus)とも。
- 日本語では長母音を省略してアレスとも呼ばれる
- ローマ神話のマールスと同一視され、火星とも結びつけられた
- 聖獣はオオカミ、イノシシで聖鳥は啄木鳥、雄鶏。聖樹はトネリコ。
- 本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された
- 「城壁の破壊者」の二つ名がある。
- 戦争における栄誉や計略を表すアテーナーに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す
- その性格も粗野で残忍、かつ不誠実であったとされる。
アレスがエロスを虜にしたのではなく、逆に、エロスがアレスを虜にした・・・それはアフロディテへの恋(エロス)であったといわれています
たとえ<これまで詩心を持ったことがない>としても、エロスが触れると、誰もが詩人になるのです。
- エウリピデス『ステネボイア』(断片662N)
アテナは機織において・・・
アテナ
- 知恵や工芸の女神
祭礼、合唱、供儀は、当時の主要な公共的宗教儀式であった
第七章 ソクラテス、アガトンと対話する
じっさい、話を聞いていて、ぼくの頭にゴルギアスの姿が思い浮かんできた
ぼくは、さながらホメロスの描く一場面のような目にあってしまったんだ。つまり、アガトンは話の最後のところで、恐るべき<ゴルギアスの首>をぼくの話に向かって投げつけ、ぼく自身をもの言わぬ石に変えようとしているんじゃないか・・・
- 英雄オデュッセウスは、冥府で、女神ベルセポネがゴルゴン(見られた者を石に変えてしまう三姉妹の怪物)の首のような恐ろしいものを自分に差し向けてくるのではないかと恐怖した(ホメロス『オデュッセイア』第11巻33~63行)
- ソクラテスは、<ゴルゴンの首>を<ゴルギアスの首>ともじり、自分が置かれた状況を、この話になぞられている
つまり、<舌は誓ったが、心は誓わなかった>ことになる。
- エルリピデス『ヒッポリュトス』612行
ヒッポリュトス (エウリピデス)
- 『ヒッポリュトス』(希: Ἱππόλυτος, Hippolytos、羅: Hippolytus )
- 古代ギリシアの悲劇詩人エウリピデスによるギリシア悲劇の1つ
- エウリピデスは『ヒッポリュトス』を二作品上演しているが、現存しているのは二作目の『(花冠を捧げる)ヒッポリュトス』であり、一作目の『(顔をおおう)ヒッポリュトス』は断片のみが現存している。
- なお、セネカはこの一作目を元にローマ悲劇『パエドラ』を著している。
- アテーナイ王テーセウス、彼のアマゾーンとの間の息子ヒッポリュトス、そしてテーセウスの後妻パイドラーが、愛憎に翻弄される様をトロイゼーンの王宮前を舞台に描く。
- 紀元前428年の大ディオニューシア祭で上演され、優勝している
- あらすじ
- セリフ
- 第一に、エロスとは、なにかのエロスである
- 第二に、そのなにかとは、自分に欠けているもののことである
- 二つを前提にして、先に話したアガトンの意見を論破した
第八章 ソクラテスの話
- マンティネイアから来たディオティマという女性から聞いた話
- ディオティマは、[エロスに関する]事柄をはじめとして、様々な事柄に精通する賢者
- 例えば、疫病の流行は、10年もの間、食い止めたのは、彼女がアテネの人々に疫病予防の儀式をおこなわせたから
- エロスは、人間と神の間にある存在、偉大なる精霊(ダイモン)なのだ
- ボロスとぺニアの息子としてエロスのもつ性格
- エロスはいつも貧乏・・・母親ぺニア
- エロスは美しいものやよいものを虎視眈々と狙っている・・・父親ポロス
- エロスは知恵と愚かさの間にいる
- まとめ・・・エロスは、よいものを永遠に自分のものにすることを求めている
- エロスは、単に美しいものを求めているわけではなく、美しいものの中で、生み、子をなすことを求めている
- エロスが子を生むことを求めるのは、死をまぬがれぬ人間にとって、生むという営みは、永遠と不死に預かる手段だから
- エロスは不死を求めている
- 心の中に子供を宿す・・・知恵をはじめとする様々な徳、国と家を治める知恵<節度>、<正義>という名で呼ばれる
<場>マンティネイア
疫病の流行
- 紀元前430年のアテネでの疫病大流行
精霊(ダイモン)
- ダイモンとは、神をはじめとする超自然存在の総称であるが、ここでは神と人間の中間に位置する霊的存在をさす
<神>メーティス
- 知恵の神
<神>ポロス
- メーティスの息子
- 機知と策略の神
<神>ぺニア
- アフロディテの誕生日の宴に来た、物乞いの女
- 貧乏神
- ゼウスの園で、酔いつぶれて寝ているボロスと寝て、エロスを身ごもる
<食>神酒ネクタル
- 神々が飲むとされている酒
- このころワインはまだ作られていない
出産の場には、この二柱の女神が立ち現れると考えられていた
<神>モイラ
- 運命を司る神
<神>エイレイチュイア
- 出産を司る神
美(カロネ)
- 美を神格化したもの
<人>コドロス王
- アテネのコドロス王は、自分が死ななければ敵が勝利するであろうという神託が下されたことを知り、変装して敵地に赴き、戦死した。
- その結果、王権は息子たちに引き継がれたという
<人>リュクルゴス
<人>ソロン
- アテネの立法家
- あらえる法律の生みの親
第九章 アルキビアデス登場
<人>アルキビアデス
- 酷く酔っぱらって、アガトンの家にやってきた
- 蔦と菫で分厚く編まれた花輪を頂き、頭にたくさんの勝利のリボンを巻き付けていた
勝利のリボン
- コンテストの優勝者の頭に結ばれるリボン
プシュクテル
- 水で薄めるまえの生ワインを冷やすための大きな容器のこと
8コテュレー
- 1コテュレーは、0.27ℓ
- 8コテュレーで、2ℓ強
<一人の医者は、幾人もの素人に値する>わけですからね。・・・
第十章 アルキビアデスの話
アルキビアデス
- ソクラテスの賛美
- ソクラテスの本当の話
- シノレスやサテキュロスのマルシュアスに姿が似ている
- 意地悪な人
- マルシュアスよりも驚嘆する笛の演奏家・・・マルシュアスは口が発する力によって人々を魅了したが、そのためには楽器を使わばけれならかった。ソクラテスは、楽器を使わずに、言葉だけで同じことを成し遂げる
- ぼくはソクラテスの言葉を聞いて、コリュバンテスの音楽を聞く人たちよりすごい状態になる・・・胸が高鳴り、涙があふれる
- ぼくはソクラテスに対してだけ自分を恥じる
- ソクラテスは美少年が大好きで、いつも美少年に付きまとい、めろめろになっている
シノレス
- ディオニュソス神の従者で、半人半獣の山野の精
サテキュロスのマルシュアス
- シノレスと同様の山野の精
- マルシュアスはサテキュロスの一人で、笛の名手
あなたは意地悪な人だ
- シノレスやサテキュロスの粗野な性格になぞられたもの
オリュンポス
- 笛の名手で、マルシュアスの弟子
コリュバンテス
- 女神キュベレに仕える神官たち
- 音楽と舞踊によって神がかりになる
- アテネの政治家
セイレーン
- 上半身は」女性、下半身は鳥の怪物で、美しい歌声で人間を魅了して命を奪う
<黄金製のものを青銅製のもとと>交換しようと・・・
自分のこの外着をソクラテスにかけてあげた
<時>冬
外着
- ヒマティオン
- 服の上に羽織る上着
そいてぼくは、この人の擦り切れた外套にもぐりこみ、横になった。
外套
アイアスが[敵の]武器を寄せ付けない・・・
アイアス
- トロイア戦争の英雄の一人
- 堅固な盾で戦った
ポテイダイアの戦い
<この忍耐強い男が、さらにいかなることをなし、そして耐えたか>
<場>デリオン
<人>ケラス
<ふんぞり返って、あちこちに目をやり>
- アリストファネス『雲』362行
ブラシダス
- スパルタの優れた将軍
ネストル
アンテノル
<人>カルミデス
<人>エウテュデモス
- ディオクレスの息子
- ソクラテスの弟子であった人物と思われる
エピローグ
アルキビアデスの真の目的
- ソクラテスとアガトンの仲を引き裂くこと
サテキュロスとシノレスの劇
- 悲劇や喜劇と共に祭典で上演された演劇「サテキュロス劇」のこと
ぼくの下手に来て、横になってくれ
<場>リュケイオン
- アテネにあった体育場
解説
対話篇
物語の中に、高度な哲学的考察を有機的に溶け込ませ、完成された哲学物語
- 20歳ころ、ソクラテスの弟子になる
- 28歳の時、ソクラテスの刑死(紀元前399年)
- この事件が転機となり、プラトンはアテネを逃れて各地遍歴→哲学、初期作品群
- 40歳を過ぎた頃、学園アカデメイア開設(紀元前387年)→研究、教育活動
- 60歳の時、シシリー島のシラクサに赴き、政争に巻き込まれる
饗宴
- プラトンが、40~50代の頃の作品(40代後半)
- 紀元前380年前後
- 中期作品の1冊
中期作品の頃のプラトン(50代)
饗宴の物語の背景
- 悲劇詩人アガトンが最初のコンテストで優勝した時
- 実際にあった出来事
- アガトンは、紀元前416年1月に、ディオニュソス神を祀るアテネの祭典(レナイア祭)での悲劇コンテストで優勝している
- プラトンが作品を執筆した時期から遡ること30数年前、プラトン11歳頃の歴史上の出来事を創作している
プラトンはどうしてこの時代を題材にえらんだか
- この時代、アテネは、ライバル国スパルタと戦争さなか(ペロポネソス戦争)
- この年の冬、アテネはイタリアのシシリー島に遠征し、スパルタの友好国シラクサを攻略することを企てる(結果大失敗、アテネが戦争に負けるきっかけになる)
- 本作の登場人物の一人、アルキビアデスがアテネの民会に戦争の方針を説き、アテネ軍の指揮官の一人に任命され、紀元前415年の夏に遠征へ出発するが、敵国スパルタに寝返る
- アルキビアデスが寝返った理由・・・アテネでの行状は非常に悪く、酒の席で色々な不品行、ヘルメス神の石柱像事件
- ヘルメス神の石柱像事件・・・アルキビアデスが遠征に出発する少し前、アテネ街中に置かれたヘルメス神の石柱像が、酔っ払い集団に壊されるという事件
- 実際にはアルキビアデスの士業だという証拠はないが、多くの人々はそう信じた。アルキビアデスの身の潔白が証明できないまま、遠征に出発する。また、彼は他にも宗教的な冒涜罪で訴えられていたので、帰国するのは危険と考えた
- 本作の登場人物、パイドロスとエリュクシマコスがアルキビアデスと共にヘルメス神の石柱像事件で訴えられている。また、宗教的冒涜罪では、パイドロスが共に訴えられている。(本作の登場人物は、アルキビアデスと深く関わり合いのある人物達)
- アテネは紀元前404年にスパルタに降伏
- 独裁政権(30人政権)により、民主制が廃止
- 小アジアに逃れたアルキビアデスは、刺客により暗殺される
- 独裁政権は間もなく崩壊し、民主制は復活するが、アテネの国力は失われ、衰退えいく
- そんな時代の中、ソクラテスは裁判にかけられ刑死する
- アルキビアデスの行動は、ソクラテスの裁判に関係がある
- ソクラテスが告発されたの罪状(4つある)中の一つが、若者を墜落させた罪
- 『ソクラテスの弁明』・・・ソクラテスの裁判を描いたプラトンの作品
- ソクラテスとアルキビアデスの親密な交際
- ソクラテスに対する少年愛の憶測と批判は、プランクトンが活躍する時代にも存在していた
- ポリュクラテスという人物が書いたというソクラテスに対する告発演説が流布・・・ソクラテスが墜落させた人物として、アルキビアデスとクリティアス(プラトンの親戚で、30人政権のメンバー)が槍玉に挙げられている(真実か不明)
- プラトンと同時代人で、ソクラテスの弟子であるクセノフォンは、この告発演説を意識して、ソクラテスを擁護しようとしてる
- ソクラテスの弟子達は、このような告発からソクラテスを守る必要があった
- プラトンも、ソクラテスを擁護するために、ソクラテスの哲学的活動の姿を描き出し、その意味を示そうとした
古代ギリシャの饗宴
饗宴
- シュンポシオン
- 共に酒を飲むという意味
- 古代ギリシャにおける重要な社会的風習
- 起源は明確でないが、紀元前8世紀にさかのぼることのできる風習
- ローマ期末まで続く
- 古代ギリシャの男性にとり重要な意味をもつもの
- この風習の原型は、民主制が発達する以前の、一部実力者達によって社会が動かされた時代にあったと推測
- 本作の舞台、紀元前5世紀の民主制の社会でも、饗宴は男性市民の社交の場として盛ん
- 本作では祝勝会、祝い事のパーティ
- 当時の男性は自分の妻など、女性をこのようなおパーティにつてれ来る習慣がなかった
- パーティに華を添えるための女性は臨席していた・・・本作登場の笛吹き女とよばれる芸妓の定番(ヘタイラと呼ばれる娼婦など)
- 男たちのパーティは、アンドロン(男部屋)と呼ばれる男性専用の部屋で行われた
- 部屋の壁沿いにクリネ(寝椅子)が並べられた・・・奇数個数(7、9、11個)
- 本作の饗宴では、おそらく7つのクリネが並んでいた
- クリネの席順・・・最も下手のクリネが末席
- 本作での演説合戦は、上席から末席に向かい、反時計廻り・・・左から右へ(エビ・デクシア)
- 左から右へ(エビ・デクシア)・・・饗宴で、料理が給仕され酒が廻される順番
- 本作では、パイドロスが上席に、順に演説・・・パイドロス、幾人か(2~3つのクリネには、無名氏)、パウサニアス、アリストファネス(しゃっくりでエリュクシマコスに順番を代わってもらう)、エリュクシマコス、後から来たアリストデモスはエリュクシマコスと同じクリネに横になった(アリストデモスの演説は物語の中では、順番を無視されてない)
- アガトン、ソクラテス・・・ソクラテスは、アガトンと同じクリネに横になっている
- 物語終盤で登場したアルキビアデスは、アガトンとソクラテスの間に横になる
- 席順は、客の格付けではない
- 宴会の座長(シュンポンアルコス)・・・饗宴の席では宴会の座長が籤や拍手で選ばれ、宴会の仕切りをした
- 本作では座長を決めるシーンがないが、エリュクシマコスが実質的に宴会の進行い切っている
- 最後は、乱入してきたアルキビアデスにその座を奪われる
- 饗宴の進行・・・食事、神々に御神酒を捧げる、賛歌を歌う、その後座長の指示でワインと水を混合する
- ワインと水の混合・・・当時はワインを水で薄めて飲むのが普通。ワインをそのまま飲むのは野蛮な行為
- ワインと水の混合比率は様々
- 召使が、クラテルと呼ばれる容器に生のワインを入れ、水と混ぜ合わせる
- 冷やしたい場合は、プシュクテルと呼ばれるワイン冷却用の容器に生のワインを入れて冷やした
- 本作では、アルキビアデスがこのプシュクテルを、ワインを飲むための容器として使っている
- クランテル(ワインと水の混合)を次にオイノコエという容器に移し、キュリクスと呼ばれる、足と取っての付いた底の浅い酒盃に召使が注いでまわる
- 酒を飲みながら、余興や会話を楽しむ
- 本作では、伝統的な羽目をはずした饗宴ではなく、静かで知的な会をエリュクシマコスが提案し、笛吹き女を追い出し異質なシュンポシオンがスタートする
ギリシャ時代のエロス
- 通常のギリシャ神話・・・エロス神は、アフロディテとアレスの子、若い神
- ローマ時代でもこのイメージが顕著・・・エロスはクピド(キューピッド)と呼ばれ、つばさと弓矢を持ち、矢の力で人を恋に陥れる、美しい子供や少年
- 本作では、アガトンの演説に顕著なイメージ
- パイドロスの演説では、ヘシオドスを典拠にして、エロスは最も古い神の一人と主張・・・より古い事大には一般的
- エロス神の特徴的なこと・・・神話の中では脇役
- 恋愛に密接なエロス神・・・エロス賛美=恋愛賛美
- 古代ギリシャの愛の表現する言葉・・・エロス、フィリア、アガペー
- エロス・・・主として異性間、同性間の性的な愛を意味する
- フィリア・・・人間間のより静かな情愛を意味する(肉親間や友人間など家族愛や友情)
- アガペー・・・広く好意を表す概念、性愛もふくまれる(キリスト教の愛の理念を表す言葉として知られているが、ギリシャ時代にはない)
- パイでラスティア(少年愛)・・・古代の性風習(成人男性と成人前の少年が性的関係を結ぶもの)、古代ギリシャ・ローマ世界に広く普及していた風習
- ヨーロッパでタブー視され、偏見を脱して、現代における学問的な研究の出発点・・・ドーヴァー(本訳の底本の校訂者)
- ドーヴァー(本訳の底本の校訂者)・・・古代ギリシャのパイでラスティアの実体を学問的に研究、1978年にその成果を出版『古代ギリシャの同性愛(新板)』(邦訳)
- この研究に影響をうけ、パイでラスティア研究が本格化し当時の実際の姿が、明確になってきた・・・哲学者ミシェル・フーコー『性の歴史Ⅱ快楽の活用』
- 古代ギリシャのパイでラスティアは、ホモセクシュアリティとは異なる・・・両者の関係は規則に厳しく縛られる
- 少年が成人すれば解消し、結婚していく
- 本作でのアガトンとパウサニアスの関係は明らかに例外的(同性愛に近い関係)
- パイでラスティアは、教育的機構