本の紹介
- 作者: ウラジーミルナボコフ,Vladimir Nabokov,若島正
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/30
- メディア: 文庫
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ストーリー紹介
「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。…」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。多様な読みを可能とする「真の古典」の、ときに爆笑を、ときに涙を誘う決定版新訳。注釈付。
*memo*
ウラジミール・ナブコフ
ロリータ
序
日付の矛盾を巡る論議
クラレンス・チョート・クラーク
- ハンバートの弁護士で私の親友で従兄
- 「ロリータ」の裁量権を被告の遺書により与えられている
私
- クラークに依頼され「ロリータ」の原稿の編集
「ロリータ 」
- ハンバートの回想記
- ヘイズ 主人公の本当の性と韻を踏む ファーストネームは本書の核心を織りなす糸と密着に絡まっているので変更できない
- H・Hの犯罪 1952年9月から10月にかけての日刊紙を調べる
- 実名を明かさないようにとの希望
ツイーズ
- ウィンドミュラーの娘 目下大学2年生
モナ・ダール
- パリで学生をしている
リタ
- フロリダのホテル経営者と最近結婚した
リチャード・F・スキラー夫人 *
- 1952年のクリスマスの日に北西部最果ての入植地グレイ・スターで出産中に死亡
- 生まれた女児も死亡
ヴィヴィアン・ダークブルーム*
- 「わたしのキュー」の作者
ウラジミール・ナブコフのアナグラム
はるかに露骨な言葉が使われているもう一冊の書物*
ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」のこと
ジョン・M・ウールジー裁判長が1933年12月6日に下した記念碑的判決
- アメリカで発禁処分が解かれたこと
試験管の嵐*
- 「コップの中の風」という英語の慣用表現のもじり
- 小さいことを大げさに言う、つまり「誇張」の意味
ブランチ・シュベルマン博士*
- Blancheはフランス語で「白」、Schwarzはドイツ語で「黒」。フロイト派をからかう時ナブコフはしばしばこういう「白・黒」の名前をつけた。
1947年 夏
1955年8月5日*
- 初版オリンピア・プレス版にはつけられていなかった日付。
- オリンピア・プレス版が出版されたのは、1995年9月。
- 「ロリータ」が現実に出版されたという事実を、作品の中にこういう形で刻み込もうとしたナブコフの意図。
- この加筆により作品内で時間的な矛盾が一点生じているようにみえる。それはどこか。
ジョン・レイ・ジュニア博士*
- 歴史上の人物に、ジョン・レイ(1627~1705)という英国の博物学者がいる。その有名な著作「創造物に顕現した神の叡智」(1691)から、作者ナブコフが小説世界の背後に超越的に存在していることがここで示唆されているという説がある。
第一部
4フィート10インチ*
- 約147㎝
靴下を片方だけはくと*
- もう片方の靴下はどこへ行ったのか、本文中から見つけ出すこと。
海辺の公園*
- エドガー・アラン・ポーの詩「アナベル・リー」の書き出し、「幾年も幾年も前のこと 海辺の王国に ご存知かも知れぬが アナベル・リーという名の乙女が住んでいた」への言及。
- 本文中の「熾天使たちがうらやんだ」という箇所も「アナベル・リー」からの引用。
- ハンバートの少女アナベル・リーとの運命的なエピソードは、このポーの詩を意図的になぞっている。
それからロリータが生まれるまでの年数は、あの夏の私の年齢にほぼ等しい*
- ハンバートは1910年生まれ。
- アナベルとの出会いは1923年の夏で、その時ハンバートは13歳。
- それから12年後の1935年1月1日にロリータが生まれる。
- 1910年 パリ生まれ
- 父親は優しくて呑気
- 人種が混ざっている
- スイス市民
- 少年時代は恵まれていた
- 少年時代父を尊敬していた
血管にはドナウ川の水を数滴ふりかけてある*
ドナウ川からの連想するのは→ヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」→「青い血」すなわち貴族の血が少し混じっているトハンバートは自称。
ハンバートの父親 ジェローム・ダン
- ヴィリエラにある贅沢なホテルの経営者
- 父と二人の祖父それぞれワイン、宝石、絹を商っていた
- 30歳の時結婚した相手が英国人女性
- 登山家
- 祖父二人はドーセット州の牧師で古土壌学、エオリアン・ハープの専門家
- よく子供と遊んだ
自然の風によってかき鳴らされる弦楽器の一種
ハンバートの母親
- とても写真映りがよかった
- ハンバートが3歳の時不慮の事故(ピクニック、稲妻)で死亡
葉はの姉 シビル伯母さん
- 父の従兄が結婚してから独かえりみなくなった女性
- 家では無給の女過的教師兼家政婦
- ハンバートの父に恋していた
- ピンク色に縁どられた碧色の目、蝋のような顔色
- 詩を書くのが好きで迷信深かった
- ハンバートが16歳の時に死亡
- 香水販売であちこち旅していた彼女の夫は、大半をアメリカで暮らし、会社を設立していた
僕の大好きなパパ モン・シェール・プティ・パパ*
- オリビア・プレスで出版されるとき、本文中にあるおびただしいフランス語を大幅に減らすようにという出版社側の要求に対して、ナブコフは絶対に譲れないと突っぱねた。
「ドン・キホーテ」
「ああ無情」
英国式の幼年学校に通学
球技
優秀な成績
学友、教師と良好に付き合い
13歳の誕生日を迎える前、(初めてアナベルに会う前)思春期スタート
ラケットやファイヴィス
- ラケットはスカッシュの原型。ファイヴィスはハンドボールに似た競技でハンド・テニスと呼ばれたこともある。
ピジョンの豪華な「人体の美」*
- 架空の著者による架空の書物。
- フランス語の俗語の俗語で女性の乳房を表す。
1923年の秋
- リヨンにある国立中学校(リセ)にいく
- 3年間の予定
あの年の夏は、父がド・R夫人とその令嬢と一緒にイタリアを旅行していて、わたしは誰に文句をいうこともできず、誰に相談することもできなかったのである。
何を?
- 人種が混ざっている
- 半分英国人、半分オランダ人
- 蜂蜜色の肌、細い腕、茶色のショートヘアー、長い睫毛、大きくてキラキラした口
- 数か月下の可愛いらしい子
- アナベルの両親はハンバートの伯母の古からの友人
- 禿で褐色のリー氏、太って白粉をまぶしたリー夫人(旧姓ヴァネッサ・ヴァン・ネス)ハンバートは二人が大嫌いだった
- アナベルは飢餓に苦しむアジアの国で看護婦になるのが夢だった、ハンバートは有名なスパイになること。
- 二人は恋に落ちた
- アナベル、発疹チフスにかかりコルフで死亡。
ヴァネッサ・ヴァン・ネス*
- ヴァネッサは「ヨーロッパアカタテハ」。この蝶は「青白い炎」にも重要な場面で登場する。
海の老人*
- ギリシャ神話における海の神の別名。
- 様々に形を変えて現れることで知られる。
- イオニア海にあるギリシャの島で、ギリシャ語ではキルケラとも呼ばれる。
- ギリシャ神話によれば、海神ポセイドンが美しい妖精キルケラに恋をして、彼女を略奪してこの島に連れていき、そこでアイノ日々を送り子供をもうけたという。
ドゥ・マゴのカフェ*
- パリの左岸にある、芸術家や文学者がよく集まったところとして知られている店。
ハヴロック・エリスが「性心理学研究」(1897~1910)で使った、ホモセクシュアルを表す言葉。
フロイライン・フォン・クルプは・・・あのカモメも*
- 作者: T.S.エリオット,福田陸太郎,森山泰夫
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 1982/03
- メディア: 単行本
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「ベンジャミン・ベイリー宛てのキーツの書簡におけるブルースト的主題」*
- 英国人ジョン・キーツが残した膨大な書簡群の中で最も有名なものの一つである
- ベンジャミン・ベイリー宛1817年11月22日付けの手紙で、想像力の働きを論じながら、キーツは懐かしの調べを耳にしたときの驚きにつけて語っている。
- つまりその曲を初めて聴いた時に抱いた思索や感情が様々とよみがえり、想像力の翼に乗って飛翔し、歌手の顔をこの上なく美しいものとして思い描くというのである。
- これは、プルーストの「失われた時を求めて」第一篇第二部「スワンの恋」において、スワンがある夜会の席でヴァイオリンとピアノの小楽節を聴いた時、突然それがヴァントゥイスのソナタの小楽節であることを思い出し、それと同時にオデットが彼に夢中だったころのすべての思い出がよみがえってくる場面に照応している。
- ナブコフは「ヨーロッパ文学講義」の中で「スワンの恋」の「小楽節」のエピソードを取り上げて論じたことがる。
失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)
- 作者: プルースト,吉川一義
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/11/17
- メディア: 文庫
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フランス オートゥイユ
1952年9月の今日
- 29年が経過した後
小牧神
ヒュー・ブロートン*
- 英国の神学者(1549~1612)
ラハブ*
ティドルウィンクス*
- 古代ローマの詩人(前70~前19)
ニンフェッットたちに声を揃えて歌わせることができた*
- ウェルギルスの「アエネイス」第二巻で、「処女たちが聖歌をいたい踊りまわった」とある一節への言及。
国王アクナーテン
- 古代エジプト第十八代王朝の王で、アメンホテプ四世とも呼ばれる。
ダンテがベアトリーチェに狂おしい恋をしたのは、彼女が9歳のころ、
ペトラルカ*がラウラちゃんに狂おしい恋をしたとき、
- イタリアの詩人(1304~1374)
ヴォークリューズ*の丘
- 南仏プロヴァンスにある地名。
リリス*
- 本来は女性の妖怪。
- 中世の頃から、アダムの最初の妻であるという説が生まれた。
- その説によれば、リリスは淫乱で悪魔と交わり無数の子供を産んだことになっている。
- ナブコフはベルリン在住時代に、地獄で魔性の女性に誘惑されるという内容のエロティックな詩「リリス」(1928)をロシア語で書いたことがある。
- 「リリス」という(Lilith)という二重のL音から判断しても、リリスが「ロリータ」の起源の一つとなっていつことは明らかだろう。
靴形をした浴槽があり、そこにつかるとマラーにでもなったような気分だが、私を刺し殺す白い首筋をした乙女はいないのだった*
- フランス革命の時代に、過激派のジャン=ポール・マラーが自宅で入浴中に、敵派閥の影響を受けた女性シャルロット・コンデに刺殺された事件への言及。
- ジヤック=ルイ・ダヴィドの名画「マラーの死」(1792)に描かれていることでも有名で、「靴形をした浴槽」という描写はその絵をふまえてのことだと思われる。
- 第一次大戦の影響で難民となった者に対して国際連盟が発行した旅券。
- 特にロシア革命によって永久にロシアを離れた大勢の人々が、この旅券を所持して主にヨーロッパで暮らすことになった。
- ナブコフはこのナンセン旅券について、自伝「記憶せよ、語れ」をはじめとするさまざまな作品で言及している。
パリには、このばかな商売をしているロシア系未亡人が、数千人もあふれていたのである*
- エドマンド・ウィルソンに宛てた書簡によれば、ナブコフは長篇第一作の「マーシェンカ」を書くとき、タクシー運転手をしているロシア系亡命人たちに取材をしたという。
誤った発音*
- nの音が余計に入ったロシア訛り。
1945年 ロシア人のタクシー運転手と出ていった妻がカルフォルニアで出産中に死亡
聖書
ディケンズのセット本
- いわば、「ロリータ」では殺人が起こることが予告されているのである。ちなみにナブコフは探偵小説の愛読者だった。
パーシー・エルフィンストーン*
- 架空の人物
前の段階で筆がすべったのに気づいたが*
- 「クワイン、ドロレス」の項目で、「出演作品」と書くべきところを「失演作品」とうっかり書いてしまったこと。
- この無意識的な書きまちがいは、ロリータの失踪を読者に予期させる伏線として機能している。
クィルティ殺しを悔いている*
原文はGuity of killing Quilty.で、「クィルティ」「ギルティ」の言葉遊びを翻訳では「クィルティ」「悔いている」のアナグラムで受けた。
離婚手続きの後ポルトガルで一冬を過ごした後アメリカ ニューヨークへ
→神経衰弱でサナトリウム→北極圏カナダ
セントラルパーク
メルヴィル海峡のピエール岬*
- ハーマン・メルヴィルの「ピエール」(1852)のもじり。
- その主人公ピエールも監獄で死亡する。
- 作者: ハーマンメルヴィル,Herman Melville,坂下昇
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1999/09
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ブレイセス*
- そんな地名は現実には存在しないが、the blazesは口語で「地獄」を表す。
メキシコ名産の白い目が描かれたなんとかいう木工品*
- 「オホス・デ・ディオス」(=「神の目」)と呼ばれる装飾品のこと。
- 当時は新婚旅行の行先としてよくメキシコが選ばれた。
コントラストの声
マレーネ・ディートリッヒを水で薄めたようなタイプ
ブラッククラブかブリッジクラブ
- 「ヴァイオリン奏者」という題名で普通知られているこの絵は、麝香をベースにした媚薬的効果を持つ香水「タブー」の広告にしばしば使われていて、誘惑する女性のイメージと結びついていた。ナブコフはその広告を「ニューヨーカー」誌で見たとある書簡で書いている。
- また、レフ・トルストイに「クロイツェル・ソナタ」と題する小説があることも注意しておきたい。
死んだ花嫁*
- これもポーの「アナベル・リー」からの借用。
1947年 日記
5月30日
- 胃腸風邪(とはなんのことだか知らないが)大流行で、
- 数日前にヘイズ家に引っ越し
6月木曜日
あの子ってキモいのよ*
- リサーチ癖のあるナブコフはわざわざバスに乗って、女子生徒たちがしゃべる言葉をこっそり採取し、それを手帳に書き留めた。この翻訳で当世風のいわゆるギャル語を使用したのは、ナブコフのひそみに倣ってのこと。
小児麻痺で死にかけて*
- 当時は小児麻痺が全米で猛威をふるい、大きな社会問題になっていた時期だった。感染がピークに達したのは1952年のことで、患者数は全米で六万人以上にもなり、三千人以上が死亡したと言われている。
- ジョナス・ソースが大量生産に成功したポリオ・ワクチンがようやく普及したのは1955年、すなわち「ロリータ」が出版された年だった。
6月金曜日
6月土曜日
6月日曜日
豊饒神 プリアーポス
6月月曜日
罪深き愉しみ*
ヴァージニアはハリー・エドガーがものにしたとき・・・*
- エドガー・アラン・ポーとその幼妻ヴァージニアを指す。ヴァージニアは結核にかかり、24歳の若さで亡きなった。「アナベル・リー」にもポーのそうした個人的体験が反映されている。
- ちなみに、ロリータのクラスメートであるジニーはヴァージニアの略称である。
「ムッシュー・ポー=ポー」*
- フランス語で幼児語の「おしり」を指す言葉popoから来ている。
6月火曜日
脚を見せちゃいけませんよ*
- ヘイズ夫人は、jambes(=「脚」)をzhambesと誤って発音している。
マドリカル*
- エリザベス朝期の英国で流行した短い恋歌の形式。
6月水曜日
6月木曜日
ピスキー*
6月金曜日
「微かな朱色の割れ目」*
- フランスの詩人ピエール・ド・ロンサールが書いたソネットの一節。
- ナブコフはロンサールの詩を数篇ロシア語翻訳したことがある。
「柔らかく苔生す丘の、中央に深紅の一筋ありて」*
6月土曜日
6月日曜日
6月月曜日
6月火曜日
6月水曜日
6月木曜日
フィルター、テッド*
「フィルター」(Falter)はドイツ語で「蝶」の意味がある。
- ナブコフはこの名前を短篇「北の果ての国」の主人公にも与えている。
薔薇のボディガードたち*
- 名簿でロリータの前後に控えている「ハミルトン、メアリー・ローズ」と「ほーねっく、ロザリン」のこと。
チャルシャフ*
- トルコ人女性が頭にすっぽりかぶるヴェール。目だけがのぞいている。
同情せずにはいられないアーヴィング*
- 名簿から判断すると、このクラスで彼だけがユダヤ人だと想像されるから。
6月金曜日
6月土曜日
ファーレン嬢*
- フランス語にはPhalene(=「蛾」)という意味がある。
6月日曜日
ボビーソックスを穿いたローラ*
- いわゆるボビーソクサーと呼ばれる、1940年に流行した、アイドル歌手に熱狂したりするティーンの女の子の典型。
- この物語が設定されている1947年には、「独身男とボビーソクサー」(邦題は「独身者と女子大生」)という映画も封切られている。「独身男」はケーリー・グラント、「ボビーソクサー」はシャーリー・テンプルがそれぞれ演じた。
The Bachelor and the Bobby-Soxerのこと
クラウゼ小体*
- 皮膚の表層部に存在する、冷感を需要する感覚器。
コールド・カッツ*
- 冷肉の薄切りにチーズを添えた料理。
- この言葉に呼応するように、ヘイズ夫人はロリータヲサマーキャンプ送りにして「冷たく切り捨て」る。
マラスキーノに漬けたサクランボと同じくらい大きな膿がついているに違いない*
- ナブコフは1943年10月に、上の歯をすっかり抜いて総入れ歯にするという治療を受けた。
- その時の様子を、エドマンド・ウィルソンに宛てた書簡の中で、「何本かは小さな赤いサクランボみたいな海がついていて、それが深紅に染まった歯もろともごっそり抜かれた」と書いている。
- つまりここでハンバートが仮病として持ち出しているのは、ナブコフの実体験である。
キャンプの女主催者 シャーリー・ホームズ「キャンプファイヤー・ガール」
6月月曜日
6月火曜日
6月水曜日
6月木曜日
彼女は1月1日に13歳になる*
- この記述から、ロリータの誕生日が1935年1月1日であることが確定
- ローマ共和政期の詩人(前84?~前54?)
詩「カルミナ」
大足のバーサ*
- シャルルマーニュ大帝の母親を指す。
- 片方の足がもう片方より長かったためにこういう仇名がつけられた。
- もちろんこのバーサ(Berthe)という名前は、女装したハンバート(Humbert)にふさわしい。
トマス・モレル牧師*
- 英国の古典学者(1703~1784)
「勝利の英雄」*
- トマス・モレルの詩「見よ、勝利も英雄の来るを」より。
- この一節はジョイスの「ユリシーズ」にも引用されたもので、レオポルド・ブルームの妻モリーを寝取る色男プレイゼズ・ボイランの登場に合わせて使われていた。
ドローム*
- ラクダのこと。
- 当時最もポピュラーな紙巻煙草のひとつだった「キャメル」を連想させる。
(たとえば、シャーロット・ヘイズ)*
- ヘイズ夫人のフルネーム
「夜驚症」*
- 深い睡眠中に突然恐怖の叫び声をあげて起き上がる症状を指す。
「やさしい膝の上でおまえを軽く抱き・・・」*
- バイロンの長篇詩「チャイルド・ハロルドの遍歴」からの引用。
- ナブコフが「ロリータ」の執筆とともに翻訳および注釈を進行させていた、プーシキンからの「エヴゲーニイ・オネーギン」は、このバイロンの長篇詩をひとつのモデルにしている。
ロード・バイロン『チャイルド・ハロルドの巡礼』〈第1編 注解〉
- 作者: 田吹長彦
- 出版社/メーカー: 九州大学出版会
- 発売日: 1995/03
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ロード・バイロン『チャイルド・ハロルドの巡礼』〈第2編 注解〉
- 作者: ロードバイロン,田吹長彦,Lord Byron
- 出版社/メーカー: 九州大学出版会
- 発売日: 1998/03
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あの歯をすぐに抜かなくては*
- タンポポ(dandelion)は語源的には「ライオンの歯」を表す。
ホルダー*
- ブラウスやドレスの全面を首の後ろや背中でゆわえて留めるようにしたストラップ。
「作家兼探検家」エドガー・H・ハンバート氏*
- エドガー・アラン・ポーの「アーサー・ゴードン・ビムの冒険」を意識しての遊び。
ピーコック、レインボーなどの詩人たち*
- レインボーとはアルチュール・ランボーを指す。
- そこから虹色→孔雀の連想で、英国詩人トマス・ラヴ・ピーコックの名前が持ち出された。
「でもその一方で、幸いにもまだー」*
- その先を「ユダヤ人はあまりいないので助かっていますよ」とジョンが続けようとしているのを見て、ジーンが話に割って入る。つまり、ジーンはハンバートがユダヤ人ではないかと思って気を使っているのである。主人公が「ユダヤ人ではないか」と周囲の人間から思われているというこのような設定は、ジョイスの「ユリシーズ」にも共通していることを思い出しておきたい。
アワーグラス湖ー私はアワー・グラス湖と勘違いしていた*
- つまり二語のOur Glass(=「私たちのサングラス」)ではなく一語のHourglass(=「砂時計」)だっった。
未来回想*
- 「現在」をこのように認識する独特の思考方法は、なぶこふ7の作品にしばしば現れる。
なんでもその話じゃー*
- ジーンがアイヴァーの甥についてのいやらしい噂話をしようとしたところで、ジョンが話を中断してしまう。代19章の終わりと対照的な構成に注意。もしここで邪魔が入らなかったら、ハンバートの運命はまったく違ったものになっていたはずだ、というのは小説全体を読み終わってから気づくことである。
ビィーヴァー・イーター*
- ロンドン塔の衛兵は、俗に「ビーフイーター」と呼ばれ、バッキンガム宮殿の衛兵はビーヴァー帽をかぶっている。
彼にはドリーと同じ年頃の、魅力的な子供がいたのだ*
職業的小説かがある登場人物に癖やら犬やらを与えると、物語の途中でその人物が現れるたびにその犬やら癖をまたぞろもちだしてしまう*
- なぶこふはそういう欠点を持つ下手な小説家の例として、英国作家のジョン・ゴールズワージーを挙げたことがある。
1947年8月15日
派手な色の、まだ生きている蛾か蝶*
- 鱗翅類の研究家でもあったナブコフとは違って、ハンバートは蛾と暢の区別がつかない。
レッピングヴィル*
- 蝶や蛾の鱗翅類はlepidopteraと呼ばれるので、レッピングヴィルの「レッピング」(Leping)には「蝶や蛾を採集する」という意味を読み込むことも可能。
あたしもなんかあんたのこと好きだけど*
- 「なんか」(soft of)といったほとんど無意味な言葉の使用に、旧世界の教養人たるハンバートはうんざりしながらも魅了され、「ロリータは・・・なんかためいきまじりに言って、なんか少し私のそばに寄って来た」と口調がうつってしまう。
道筋に沿ってずらりと並んだ数知れないモーテル*
- 1940年代では、モーテル(モーター・コート)はまだ質素な造りのものが多く、平屋のキャビンが数室並んでいるだけであったりした。
- ナブコフは妻のヴェーラが運転する車に乗り、夏には蝶の採集で全米を旅行そていた。従って、道路沿いの景色やモーテルの描写は、その時の体験がもとになっている。ただし、壁が薄くて隣室の物音が聞こえてくるようなモーテルでは執筆に集中することができず、停めてある愛車の後部座席がナブコフにとっては「ロリータ」執筆の理想的な場所だったという。
桃の割れ目*
- 英国詩人ロバート・ブラウニングの劇詩「ピッパが通る」(1841)に出てくる言葉。
- コノブラウニングの詩は「青白い炎」でも言及されている。
「これは私の悪ふざけ」*
- ハンバートは語り手としての特権を活用して、このように他人の発話まで勝手に変形してしまうことがよくあるので注意が必要。
「どこがキスして悪い?」・・・「変じゃ、それじゃないのを教えてくれ」*
- 「キスしてどこがわるい?」および「それじゃ、変じゃないのをおしえてくれ」というのを間違えた、いわゆるマラプロピズム。
「またそのうち」フェットニンは答えた
- ニンフェットのこと。マラプロピズムでおとしてる。
血昇理、脈打知・・・*
- 原文はラテン語もどきのいわゆるマカロニック・ラテンでできた混成体。
- ここではおおよその意味を映した訳文に偽万葉仮名を混入することで処理した。
ジャン=ジャック・ハンバート*
- フランスの啓蒙思想家ジャン=ジャック・ルソーになぞられた名前。これがある意味でハンバートにふさわしいのは、ルソーが「告白」(1770)および教育論「エミール」(1762)の著者であるからだ。また人間の本性と社会との関係についてのルソーの議論は、その本性のままに行動することが社会的な法律によって禁じられているところから来るハンバートの苦悩を理解するうえで有益だろう。
ウィーンのご加護によりまだちゃんと付いているかと下を向きながら*
- ジークムント・フロイトにちなむ。
よくそんな名前の女がいるものですね*
- ミス・ビアードの「ビアード」とは「あごひげ」を表す言葉。
眠りは薔薇とか、ペルシャ人も言ってますからな*
今から四十年前のこと、手製のパラシュートを装着してエッフェル塔から飛び降りようとした仕立屋みたいに、瀬戸際で身体をこわばらせていた*
- 実話にもとづく。オーストリアの仕立屋フランツ・ライヒェルトが、職業と趣味を合体させて、外套と組み合わせたパラシュートを作った。そして1912年2月24日に、大勢の見物人の前で、そのパラシュートを付けてエッフェル塔から飛び降りた。ところが案に相違してパラシュートは開かず、彼はそのまま墜落して地面に激突し、即した。この模様はフィルムに記録されており、それを見るとライヒェルトは脚立を足台にしてエッフェル塔の欄干に上がってから、飛び降りるまでに明らかに何度か巡察して身体をこわばらせている。おそらくナブコフはこの記録映画を観たことがあるのだろう。ただここで注意しておきたいのは、この事故がおこったのは1912年で、「今から40年前」という「今」とは1552年、すなわちハンバートがこの手記を綴っている時点であり、物語られている時点の1947年ではないという事実である。
サッポー*
- 古代ギリシャの女性詩人。レスボス人。少女たちとの恋愛を詩にのテーマにした。
シュワブのドラッグストア*
- サンセット大通りにあった有名な店。30年代から50年代にかけて繁盛した。この店には映画人がよくたむろしていたため、さまざまな伝説が生まれた。
第二部
パリサイ人的なパロディ*
- すなわち偽善的なもの。
原初的音景を耳撃する*
- フロイト的な「原初的風景の目標」が、視覚から聴覚に変えられている。
フロベール風の言い方だと「私たちは知った」*
シャトーブリアン風の木々*
フランスの作家フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンはアメリカ旅行の体験をもとにして、「アタラ」(1801)でアメリカの自然を描いた。この「アタラ」はナブコフの「アーダ」において重要なサブテクストの一つになっている。
非ラオディケア的特徴*
- 「ヨハネの黙示録」第三章には、ラオディケアの教会が信仰に関して「冷たくも熱くもなく、なまぬるい」と述べられていることから、英語のLaodiceanには「なまぬるい」という意味がある。その逆で「非ラオディケア的」なのだから、ここでは「ひどく冷たいかひどく熱いかのどちらかで、程よい温度にはならない」という意味でつかわれていることになる。
君は憶えているだろうか、ミランダ*
男女のカップル四組がスクエアになって踊るフォークダンス。トラディショナルなアメリカのスクエアダンスの形式は、1930年代から40年代にかけて全米に広がった。
サミーとかジョーとかエディとかトニーとかペギーとかガイとかパティとかレックス*
- ジュークボックスから流れてくるこうした歌声の主は、それぞれサミー・ケイ、ジョー・スタフォード、エディ・フィッシャー、トニー・ベネット、ペギー・リー、ガイ・ミッチェル、パティ・ページ。だだしレックスに相当する歌手はいない。
- こうした歌手の名前を、ナブコフは食堂に置かれたジュースボックスからカードに書き留めていた。
ハイカン・ダインズ*
- 当時旅行ガイドやグルメ本を書いていた人気があったダンカン・ハインズをからかった名前(「ダインズ」Dinesとはいわば「食事男」)。彼の第一作「食の冒険」(1935)が何度も版を重ねたのは、幹線道路沿いの施設が急成長を遂げたことがその背景にある。彼は車を募り、版を改めるごとにそれを活かした点で、読者参加型のガイド本としてはパイオニア的な存在だった。
ポローニアス*
- 作者: W.シェイクスピア,William Shakespeare,松岡和子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/01/01
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- 作者: ウィリアムシェイクスピア,William Shakespeare,福田恒存
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/09/27
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マン法*
- 売春その他の「不道徳な目的」で、女性を他州もしくは国外に連れ出す事を禁じた法律で、1910年に制定された。正式名称は「合衆国白人奴隷交易法」だが、制定の立役者である下院議員ジェイムズ・ロバート・マンの名前取って俗にこう呼ばれている。特に問題となる女性が18歳以下の場合は、一万ドル以下の罰金刑あるいは10年以下の懲役刑が科せられる点で、最も刑が重い。なお、ここでハンバートが言及している新聞記事の、「中年の背徳者が・・・九歳の女の子を不道徳的な目的で他州に連れ出し」た事件については、516ページの注釈参照。
第二級強制猥褻罪*
- 被害者の女性が14歳以下の場合に適用される。
他の39人の連中*
- ロリータのクラスメートの数も39人だった。
- フランスの古典派風景画家(1600~1682)
1947年8月~1948年8月までハンバートとロリータ狂った旅
- 英国の小説家(1867~1933)
1900年に出たベデカーのガイドブックでは
世界最大石筍を誇る洞窟は、南東部の三州が一族再会を果たしている場所にあり*
- これはおそらく、ヴァージニア、ケンタッキー、テネシーの三州にまたがるカンバーランド・ギャップ国立歴史公園内にある、ギャップ洞窟を指すものと思われる。
- ここにある高さ19m、周囲10mの石筍が当時は世界最大と考えられていたが、その後1952年にアラバマ州のグラントにあるカシードラル洞窟で発見された、「ゴリアテ」という石筍に世界記録を譲った。
ブルー・リックスの戦いを記念する花崗岩の尖塔*
詩「樹木」の作者*
- ジョイス・キルマー(1886~1918)を指す
ジョージア州沿岸どこかの島にある。およそ手の届かない「億万長者の村」が・・・
- 1925年にカンザス州トペカに設立された病院。
- とりわけナブコフが「ロリータ」をはじめとする作品で何度もからかいの対象にした、集団精神療法で知られる
白い蠅*
- ハンバートは知識不足で蠅だと思っているが、ナブコフ自身が説明しているように、これ実際にはユッカの受粉を助ける「ユッカガ」と呼ばれる蛾の一種である。
ワイルド・ビル・なんとか・ロデオ*
- 正しくはワイルド・ビル・ヒコック・ロデオ
灰色の蜂鳥*
これもナブコフの言によれば、蜂鳥ではなく「スズメガ」
ラシアン・ビルという悪党が70年前に色彩兼欄に縛り首になった。
20回目のヘルズ・キャニオン
死火山にあるR・L・スティーヴンスンの足跡*
- 「ジギル博士とハイド氏」などで知られるスティーヴンスンは、アメリカ人女性ファニー・オズボーンと出会い、彼女を追ってアメリカに渡り、1880ねんに結婚した。そのとき新婚旅行を過ごしたのがカルフォルニアのセント・ヘレナ山である。そこは現在スティーヴンスン記念州立公園になっているが、彼の足跡は残っていない。
- 作者: R.L.スティーヴンスン,R.L. Stevenson,Robert Louis Stevenson,海保眞夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1994/11/16
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- サンフランシスコに実在する教会。Mission Doloresは「ドロレス大作戦」とも読める。
ロシア渓谷州立公園
ノースダコタ州 フランス人公爵が建てた城
- サウスダコタ州ミッチェルにある観光名所。
- 建物の中にはトウモロコシで作られた壁画などが展示されている。
「髭の濃い女性も当社の広告を読んで今では独身の悩みも解消」*
- 当時、アメリカの幹線道路沿いによく見られた、「パーマ・シェーヴ」と呼ばれるシェーヴィング・クリームの広告看板の一例。
インディアナ州の動物園*
- インディアナ州エヴァンズヴィルにあるメスカー・パーク動物園を指す。
連絡船〈シティ・オブ・チェボイガン〉号*
- リンカーンが大統領候補になるまで、妻のメアリーとともに17年間住んでいた家。イリノイ州スプリングフィールドにある。
あいつのファーストネームと同じ名前がついた町*
- クレアを指す。
褐色の青年がうずくまり・・・身悶えさせられるだろう(ボードレール)*
- いずれも、シャルル・ボードレールの「悪の華」に収められた詩「朝の薄明」から引用
このコーチは・・・ハレムよろしくボールボーイたちをまわりにはべらせていた*
- ここでモデルになっているのは、全米選手権で7度、ウィンブルドンで3度、男子シングルスで優勝したアメリカのテニス選手ビル・ティルデンである。
- ティル・ディアンは女性にはまったく関心を示さず、ボールボーイたちと親子的な関係を求めた。そして1940年には、未成年の男子に猥褻な行為をはたらこうとしたかどで二度逮捕されている。
偉大なるゴベール*
パット・ボール*
- テニスの前進となるゲーム。
- サーヴはアンダーハンドで打つ。
- 現在行われている、スカッシュに似た競技の「パット・ボール」とは異なるので注意。
ミルク・バー*
だらしないボビーソックス姿で、頬骨が高くぎくしゃくした動作をする女の子の、とてもうまく描けている漫画*
- 1943年から新聞に連載されていた、ハリー・ヘニングセンの「ペニー」という漫画を指す。
ウェヌス*
- 愛の女神
プッシュボール*
- 両軍に分かれてボールを押しあうゲームに使用されるボール。ふつう人間の背丈くらいの大きさがある。
ロアリング渓谷*
サイレント映画の時代から西部劇の舞台としてよくでてくる、金鉱町のある場所。カルフォルニアとコロラドにこの名前を付けた谷があるが、特にカルフォルニアのロアリング渓谷はフンボルト(Humboldt)郡にある。これは果たして偶然だろうか?
ヨーロッパの胸壁*
- アルチュール・ランボーの詩「酔いどれ船」からの引用。
「リンバロストの乙女」*
「若草物語」
- 作者: ルイザ・メイ・オルコット,Louisa May Alcott,松本恵子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1986/12/23
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「ヴァケーション」*
1947年8月~1948年8月までの1年間 10000ドル
老ガストン・ゴタン
わたくしたちはうちの女性とが黴臭い古書に埋没するよりも、周囲の生きた世界と自由に意思伝達することを願っております*
- 日常生活に直結したコミュニケーション重視の教育方針を強調するプラット女史の熱弁を読んでいると、思わず吹き出したくなると同時に、それが今のわたしたちの世の中とそっくりなのに驚かざるをえない。つまり、わたしたちの世界はすでに「ビアズブレー化」しているのである。ナブコフは未来予知能力があったのであろうか?
ミス・レスターと・・・ミス・ファビン*
- 「レスター」と「ファビン」を二人合わせると「レズビアン」。ナブコフ一流の悪ふざけ。
瞑想にふけるアンドレ・ジッドや、チャイコフスキイ、ノーマン・ダグラス
他にも二人の有名な英国人気作家*
- ナブコフがここに実名を挙げるつもりだったのは、W・サマセット・モームとW・H・オーデンだったらしい。
ハロルド・XーX
ミッシス・タイユロールが・・・*
- 「ミッシス・タイユロール」はミス・テイラーという名前をそのままフランス語式に発音したため。
うってつけの「宝島」
- 作者: スティーヴンソン,佐々木直次郎,稲沢秀夫,Robert Louis Stevenson
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/04/03
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ホイスラーの「母」*
- アメリカ人画家ジェイムズ・マクニール・ホイスラーの代表作のひとつで、正式な題名は「灰色と黒色の配合ー画家の母親」と呼ばれる。古き良き時代のアメリカの価値観wp体現する母親像だと受け取られることもよくある。
アルゴス*
- ギリシャ神話に登場する、百の目を持つ巨人。
彼女のお母さんは有名な女優で、飛行機事故で亡くなられたそうですが*
- 1942年1月に、映画女優キャロル・ロンバートが飛行機事故でなくなっている。
その父親はプロヴィデンスで衛生的な夜を過ごしている*
- ロード・アイランド州のプロヴィデンスは、当時マフィアの温床として悪名が高く、赤線地帯でもあった。
オーパル・なんとか
- 恥ずかしがり屋
- 不恰好
- 眼鏡をかけたにきびだらけの子
- いじめられているくせにドリーにべったり
リンダ・ホール
- 学校でテニスのチャンピオン
- ドリーは週2回はシングルスの試合をしていた
- 家にはこない
- ニンフェット認定
エイヴィス・チャップマン
- でっぷり
- 足が毛深い
エヴァ・ローゼン
- フランスからやってきた難民
- 目立ってかわいい子ではない
- 思春期の身体つき
- ためらいがちな眼差し
- 高い頬骨
- 銅色のロリータに似たちやちやした髪
- きめ細やかな乳白色の顔立ち
- ピンクの唇
- 白っぽいまつげ
- ニンフェット認定
モナ・ダール
- 野卑に官能的な美人
- ドリーより1歳上
- よく遊びに来る 演劇の科目に熱中していた春学期
(一人を除いて、言うまでもなく名前はすべて近似である)*
- 実名が挙げられているその一人とは誰か、ハンバートはなぜそうしたのか、考えてみること。
「じゃじゃ馬ならし」
ボール・ザックっていう作家*
- バルザックの読み違え
尊敬するピアス博士*
- 当時、家庭医学書として延々と版を重ねていた、「医学の常識」(1895)の著者R・V・ピアス博士を指す。
- ただこの書物は、ピアス博士が開設していた診療所で治療を受けてすっかり元気になったとか、ピアス博士が開発して特許を取った万能薬の効き目がすばらしかったというような、読者からの感謝のお便りが満載されていて、今の目で見れば怪しげな自己宣伝に満ちた奇書だとしか映らない。
自分勝手な冗談を楽しんでいて、たとえば担任教師たちの名前の最初の文字を入れ替えたりする*
- 「ホマー先生」と「カール先生」でこのジョークを試してみること
そうでしたわね、14歳でした*
- この場面は1948年12月のことなので、実際にはこの時ロリータの年齢は13歳。
- このように、読者の誤解を誘うような箇所が他にもあるので注意。
「疑惑の狩人」*
- ブラッド女史の記憶違い。実際には「魅惑の狩人」
ゴールド先生
公爵亭のウォーカーさんのお嬢さん二人
ムーア学長の姪御
レドコック先生
カトラー博士
メキシコの下層階級が使う言葉で便所を表す*
- ロリータの書いた言葉は、おそらくcacaだろう
- 英国の肖像画家ジョシュア・レノルズの、幼い女子を描いた有名な作品。アメリカの女性作家イーディス・ウォートンに同名の長篇小説がある
- 作者: イーディスウォートン,Edith Wharton,大社淑子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/09
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ベイカーの「演劇の技法」*
- イェール大学教授のジョージ・ピアス・ベイカーが1919年に著した演劇論。当時よく読まれた。
ミス・レスター
イルザ・トリストラムスン 女医
- アメリカ画家(1892~1942)
- 代表作「アメリカン・ゴシック」はとくに有名
ピーター・ハード*
- アメリカの画家(1898~1954)
フレデリック・ウォー*
- アメリカの画家(1861~1940)
ローマ神話で狩猟の女神
リチャード・ローの「ヘンデルとグレーテル」とかドロシー・ドーの「眠れる森の美女」とか*
- アメリカの裁判では、匿名の原告をリチャード(あるいはジェイン)・ローと仮称し、匿名の被告をジョン(あるいはジェイン)・ドーと呼ぶならわしになっている。
モーリス・ヴァーモントとマリオン・ランペルメイヤー*
- いずれも架空の人物
ルノルマン*
- フランスの劇作家アンリ・ルネ・ルノルマン(1882~1951)
- 作者: メーテルリンク,Maurice Maeterlinck,堀口大学
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/03/22
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英国の静かな夢想作家たち*
- 作者: J・M・バリー,F・D・ベッドフォード,James Matthew Barrie,石井桃子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1972/04/01
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- 作者: ルイス・キャロル,河合祥一郎
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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ミス・エンペラー*
フロベールの「ボヴァリー夫人」に出てくるピアノ教師がマドモワゼル・ランペルー(Lempereurすなわち「皇帝」)なので。
1マイル=1.609344 ㎞
「兎風邪」
電話機械とその不意打ち好きな神*
- いわゆる「デウス・エクス・マキーナ(機械仕掛けの神)」のもじり。虚構作品において、作者にとって都合のいい突発事が起こり、物語が収束に向かうことをこう呼ぶ。このでんわ版ともいえる手法をナブコフはしばしば意識的に用いており、決定的な場面で電話が鳴る作品の例としては、短篇では「記号と象徴」、長篇では「アーダ」があげられる。「ロリータ」でも、第一部で物語の急展開を促す電話が鳴る場面を、読者はきっとご記憶のことだろう。
ハイド氏*
- ロバート・ルイス・スティーヴンスンの「ジギル博士とハイド氏」(1886)にちなむ
- 作者: R.L.スティーヴンスン,R.L. Stevenson,Robert Louis Stevenson,海保眞夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1994/11/16
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ピム氏はピッパが飲み物をすするところを眺めた*
- A・A・ミルンの劇「ピム氏が通る」(1919)とロバート・ブラウニングの詩「ピッパが通る」への言及
私は崇高なるダブリン市民のオーモンド作品にいつも惚れ惚れしてしまうのだった。*
- ジェイムズ・ジョイスの「ダブリン市民」と「ユイシーズ」への言及
- 「ユリシーズ」の第11挿話はオーモンド・ホテルが舞台になり、寝取られ亭主のブルームが熕悶する姿が描かれている
さあ、ホップ、ホップ、ホップだ、レノーレ*
- ドイツの詩人ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーの詩「レノーレ」(1773)への言及
- 亡霊となって現れた恋人が、レノーレを馬に乗せて疾走する場面にでてくる
「アパラチア山脈」
事前の熊皮をまとって颯爽としている移民の山男*
- シャトーブリアンの詩「移民の山男」(1806)への言及
ゴールドスミスの虎*
- 英国作家オリヴァー・ゴールドスミスが、長詩「廃村」(1770)の中で、アメリカにはいないはずの虎を登場させてしまったことへの言及
キササゲの木陰にいるインディアンを夢想した。
- キササゲとは梓(し)の木のこと
「I」で始まる三つの州*
ロッキー山脈の分水嶺のウェイスに着くまで・・・
- 隊商宿。回廊でつながったロの字型の建物で、その中央には中庭がある。
フランスの探偵小説で、手掛かりが実際にイタリック体で書かれてある作品
- モーリス・ルブランのあり探偵小説
- 「怪盗ルパン」シリーズのことだろうか?ズバリを書かないということは違うのか。
しかしマクフェイトの手口はそんなものではない
- マクフェイト
ペガサスの看板が出ているガソリンスタンド*
- モービル石油を指す
貝殻の看板が出ているところ*
- シェル石油を指す
みなさまのご家庭並みに清潔なお手洗いが自慢だとか*
- 1930年代の中頃までは、幹線道路沿いのガソリンスタンドにある便所は不衛生なものが多かったが、30年代の終わりには顧客獲得競争のために清潔な便所を提供するところが増えだした。道には「登録済みお手洗いあり」の看板が立ち、内装もきれいで、石鹸とタオルを完備し、女性や子供も安心して使用できる便所が次第に一般的になった。
チェスナット・コート
低俗なイタリア喜劇に出てくる「ベルトルド」*
- ジュリオ・チェザーレ・クローチェ(1550~1609)が書いた連作中に登場するキャラクターで、醜男。
「けだるい愛の恍惚感」*
- ロンサール「恋愛詩集」(1552)に出てくる言葉
「リュイゼッタ」とよばれる安物の貯金箱で、アルジェリアあたりでよく売っていて、
コルト
セウスの花火*
- 雷のこと
漫画に出てくるグロテスクな探偵「顎十郎」*
- テレビ番組にもなった有名なキャラクターである
- 顎の角ばった探偵ディック・トレーシーが想定される
赤いコンヴァーティブル
バッスル*
- 19世紀に流行した、腰当をつけて尻を高く見せるドレスのこと
おお、ゆるやかに走れ、夜の馬よ!*
- 英国の劇作家クリストファー・マーロウの「フォースタス博士」(1604)からの一節。
おお、ゆるやかに走れ、悪夢よ!*
- 「悪夢」(nightmare)は「夜の馬」(night mare)でもある
ソーダ郡区で、人口(ホップ)1001人*
- 幹線道路の標識には、Soda Pop.1001と表示されていた。これを続けて読めば「ソーダ・ホップ」となることを見つけて、ハンバートがおもしろがっている
メサ*
- アメリカ南部に見られる独特の岩石丘
ジェイムズ・ジョイスのある一筋*
- 「フィネガンズ・ウェイク」が出典
- 作者: ジェイムズ・ジョイス,柳瀬尚紀
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2004/01/07
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ウェスト郵便局とエルフィンストーン郵便局*
- 「ウェイス郵便局」(PO Wace)の頭文字を取るとPOWすなわち「捕虜」で、「エルフィンストーン郵便局」(PO Elphinstone)を同様に処理すればPOEすなわち「ポー」
それに「キル・ティ」ってー舌がもつれそう!*
- フランス語のナンセンス詩の一節「そして必ずそこに連れて行ってもらいたまえ」に、「キル・ティ」、すなわち「クィルティ」が紛れ込んでいる。このことから、モナが秘密のメッセージを伝達する、いわば共犯者的な役割をはたしていることもわかる
エルフィンストーン
メルモス*
- 架空の車の名前
- チャールズ・マチューリンのゴシック小説「放浪者メルモス」(1820)より
「ヘッダ・ガブラー」*
- イプセンが1890年に出版した戯曲
「菩提樹の恋」*
- ユージン・オニールの「楡の木陰の欲望」(1924)のもじり
- ナブコフはしばしばオニールをからかいの対象にしている
- ちなみに、ナブコフの両親は、結婚の約束をした坂道の思い出の場所に、後になって菩提樹を記念に植えた。だからこの場所は、ナブコフが両親のロマンスを永遠のものにしようとした、ひそかな植樹なのかもしれない
「桜の園」*
- チェーホフが1904年に発表した戯曲
ネット・リタム*
- ビル・ティルデンはテニス選手を主人公にした小説を書いていたが、その時使った筆名がNed Litamを逆に読めばTidenの名前が浮かび上がる
ドロームダリー*
デキュジスかボルマン*
これこそ・・・アメリカ式の表現を使えば、それなのだ*
- This is it.という口語表現。「来るべきものが来た」というニュアンスを表す。この表現はナブコフのお気に入りで、最晩年の作品である「透明な対象」にも死の瞬間を描く結末で使われている
サテチュロス*
- ギリシア神話に登場する半人半獣の守の精
ホセ・リッザラベンガはカルメンを連れてアメリカに逃亡する計画を立てていたのだ*
- 作者: プロスペール・メリメ,Prosper M´erim´ee,工藤庸子
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 1997/11/14
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カルメン/トリスタンとイゾルデ/サムソンとデリラ (中公文庫―マンガ名作オペラ)
- 作者: 里中満智子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/12/01
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誤謬(ごびゆう)
異性好みの魔王*
「ミラー」*
- 鱗粉の多い、夜蛾科の蛾のこと
「テニス」-その著者のヘレン・ウィルズ*
- 実在の人物による実在の書物。
ポンデローサ・ロッジ
デザット・ニュース*
- ユタ州で発行されていた実在の新聞。現在ではデザレット・モーニング・ニュースと名前をかえている
哀れな青髭。あの残酷な兄弟だち*
- シャルル・ペローの童話「青髭」で、青髭の7番目の妻になった女性は殺されかける前に二人の男兄弟に助けを求め、姉のアンヌをその見張りに立てた。そして駆け付けた竜騎兵と近衛兵の兄弟は、青髭の胸を一突きにして殺害した。「姉アン」というメアリーの言葉からこの「青髭」物語を連想したハンバートは、共謀する女たちの側ではなく、青髭の側にどうじょうしている。
おまえはもう私を愛していないのか、我がカルメンよ?*
- メリメ「カルメン」から引用
ゼムフィーラ語*
- ロシアんp詩人アレクサンドル・プーシキンの長詩「ジプシー」(1824)に登場する女性ゼムフィーラの造語
- 「ジプシー」は物語がメリメの「カルメン」によく似ていて、青年アレコが自由を求めてジプシーの一団に加わり、その首長の娘であるゼムフィーラと恋に落ちるが、奔放なゼムフィーラは別の若者に心を移し、それを知ったアレコはゼムフィーラと若者を殺害するという筋書きである
聖人だなんて・・・*
- ロバート・ブラウニングの詩「スペイン僧院の独白」のパロディ
N・ペティッット、ラルース、イリノイ州
- Petit,Larousseの部分をつなげて読むと、フランスの小辞典として有名な「プティ・ラルース」になる
- イリノイ州にラルースという地名は存在しない
グラシアーノ・フォーブソン博士、ミランドーラ、ニューヨーク州*
ケルクパーク島*
- Quelquepartはフランス語で「どこが」の意味
ウンディーヌ嗜好症*
- ウンディーヌとは水の精霊。そこから転じて「ウンディーネ思考症」とは、女性が放尿するのを見て興奮を覚える男性のことを指している
A・パーソン・ポーロック、英国*
- 英国詩人サミュエル・テイラー・コールリッジが、詩「クブラ・カーン」創作のきっかけとなった夢を見ていたとき、ポーロックから来た男の訪問によってその夢を妨げられたという有名な逸話にもとづく。ナブコフは「ヘント・シニスター」の創作過程で、その小説に「ポーロックから来た男」という課題をつけたことがある
アーサー・レインボー・・・「青い船」の著書・・・「酔いどれ鳥」で有名な「モリス・シュメッテルリンク」
- アルチュール・ランボーの「酔いどれ船」とモーリス・メーテルリンクの「青い鳥」を混ぜ合わせたもの
- シュメッテルリンクはドイツ語で蝶を指す
D・オルゴン、エルマイラ、ニューヨーク州*
- モリエールの喜劇「タルチェフ」(1664)で、金満家オルゴンの妻がエルミール。
- エルマイラはニュヨーク州に実在す
- リチャード・シェリダンの喜劇「悪口学校」(1777)に登場する人物の一人がサー・ハリー・バンパー。シェリダリンはワイオミング州に実在する地名
フィニアス・クィンビー、レバノン、ニューハンプシャー州*
- 心霊治療の実践者として知られるフィニアス・クィンビー(1802~1866)は、ニューハンプシャー州のレバノンに生まれた。
キツラー博士、エリクス、ミシシッピ州*
- キツラーとはドイツ語で「クリストフ」を指す。エリクスとは女神を信奉する集団で、地中海シチリア島の町エリチェにあるヴィーナス神殿(現在は跡地)では巫女たちが売春行為に近い儀式を行っていた。ミシシッピ州にはエリクスという地名はじつざいしない。
N・S・アリストフ、カタジェラ、ニューヨーク州*
ジェイムズ・メイヴァー・モレル、ホクストン、英国*
- ジョージ・パーナード・ショーの劇「キャンディダ」(1894)に出てくる主要人物の一人がじぇいむず・メイヴァー・モレル牧師。ロンドンを舞台にしたこの劇で、言及されているロンドンの地名の一つが「ホクストン」である。ただし、ハンバートが台帳で見つけた「ホクストン」はHoaxtonと綴られていて、「インチキ」(hoax)の匂いをただよわせている。
- 「ジュネーヴ」と同じ綴りの「ジニーヴァ」という町がニュヨーク州に存在する。ただしこの記載をハンバートは、スイスの市民権を持っているという情報が相手に漏らされた証拠だと解釈した
ルーカス・ピカドール、メリーメイ、ペンシルヴァニア州*
ウィル・ブラウン、ドロレス、コロラド州*
- ドロレスという町はコロラド州に実在する
ハロルド・ヘイズ、トゥームストーン、アリゾナ州*
- 「墓石」を意味するトゥームストーンという町はアリゾナに存在する
ドナルド・クィッックス、シエラ、ネヴァダ州*
テッド・ハンター、ケイン、ニューハンプシャー州*
- Ted Hunter,Cane,NHをアナグラムで並べ替えれるとEnchanted Hunterすなわち「魅惑の狩人」になる
敵の筋道を通ってビアズレー到着
リガー・モーティス*
- Rigor Mortisとは「死後硬直」の意味
- ビアズレー大学の美術教師
- ビアズレー校に二度ほど講演したことがある青年
- 城愛好家
- 独身
もとボクサーの私立探偵
消え去ったドロレス(ドロレス・ディスパリユ)*
ミュケーナイ期
年齢5300日*
- ロリータが生まれた1935年1月1日から疾走した1949年7月4日(独立記念日)までの日数を計算すると、ちょうど5299日になる
デラレナインダヨ、と椋鳥も啼く*
- ロレンス・スターンの「感傷旅行」(1768)からの引用
- 語り手のヨリックはパリを旅行した時、鳥籠の中で「デラレナインダヨ」と繰り返す椋鳥の姿を見て強い印象をうける
彼女はロリータの年齢の二倍で、私の四分の三だった*
- 1950年時点で、ロリータは15歳、ハンバートは40歳。従ってリタは30歳という計算になる
リタ
- 30歳
- ひどく華奢
- 髪は黒
- 青白い肌の大人
- 体重105ポンド
- 魅力的に対称のくずれた目をしている
- 急いでスケッチしたような骨張った横顔
- しなやかな背中にはきわめて魅力的な腰のくぼみ
- おそらくスペイン人かバビロニア人の血が流れていたのではないかと思っている
- 頭が弱い
トイルズタウンとブレイクの間にある、「タイガーモス」と看板が出た、夜の森に黒々と萌えている酒場*
- 英国詩人ウィリアム・ブレイクの有名な詩「虎」(1794)の一節「虎よ!虎よ!夜の森に赤々と燃え」のもじり
1950年の夏~1952年の夏まで
- 薄暗い2年間
- リタと一緒に各地をまわった
- ドイツ初期ロマン派の中心的批評家(1772~1892)
ヘーゲル*
- ドイツの哲学者(1770~1831)
サン・ハンバーティーノ*
- 架空の地名
タタール*
グレインボール
記憶の女神ムネモシュネ*
- ナブコフは自伝「記憶よ、語れ」を当初「ムネモシュネよ、語れ」という題にしようかと考えていたことがある
ミーミル*
- 北欧神話に登場する、知恵の泉を守る巨人。
- この泉を飲むと、過去と未来を知ることができる
1951年~1952年6月まで
- ニューヨーク
- キャントリップ大学に1年間招聘される
思い出よ、思い出よ、私にどうしろと言うのだ?*
- フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌの詩❝Nevermore❞から引用
近くに教会あり*
グレナディン*
- ザクロのシロップ
若き獣としての芸術家の肖像*
- ジェイムズ・ジョンズ「若き芸術家の肖像」(1916)のもじり
- 作者: ジェイムズジョイス,James Augustine Aloysius Joyce,丸谷才一
- 出版社/メーカー: 集英社
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「真昼の暴動」*
- 原題はBrute Force
- ジュールズ・ダッシン監督、バート・ランカスター主演の脱獄もの
真昼の暴動 1957年映画パンフレット ジュールス・ダッシン監督 バート・ランカスター イヴォンヌ・デ・カルロ アン・ブライス
- 出版社/メーカー: 月映書店
- メディア: おもちゃ&ホビー
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「失われた心」*
- 原題はPossessed
- カーティス・バーンハート監督、ジョーン・クロフォード主演のフィルム・ノアール
オーメン・フォスタム*
- Omen Faustumとはラテン語でLucky Omenの意味
- すなわち、実際の煙草としては「ラッキー・ストライク」を連想させる
ペルシャのガブガブ鳥*
骨壺*
- じっさいはゴミ箱をさす
前ロリアン紀*
- ドロレスに出会う前の時期
- ギリシャ神話に登場する盗賊で、つかまえた人間をベッドのサイズに合うようにその足を伸ばしたり斬ったりした
1952年9月下旬
- 作者: W.シェイクスピア,William Shakespeare,松岡和子
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- 作者: ウィリアムシェイクスピア,William Shakespeare,福田恆存
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- 作者: シェイクスピア,バラエティアートワークス
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エマ*
- 作者: ギュスターヴ・フローベール,山田ジャク
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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二人はインドへシヴァらく新婚旅行に行く予定。
- インドに暫く・・・の間違いなのか、インドだからシヴとかけているのか、それともただの誤植なのか謎。
ドリー(ミセス・リチャード・F・スキラー)
- 結婚して妊婦になったドロレス・ヘイズからの手紙に書かれていた
- 手紙の日付は1952年9月18日、今は9月22日
- コールモント局留
- ヴィーナス誕生の絵かな?赤毛かな?
ウィーンの呪術師*
- フロイトを指す
ジュノー*
キュー
サドのジュスチーヌ*
- 「美徳の不幸」の主人公
違う暮らしをしようじゃないか、僕のカルメンよ、二度と離れ離れにならないところへ行って暮らそう*
カルメン、僕と一緒に来ないか?*
- これもメリメの「カルメン」からの引用
斑のホプキンス*
- 英国詩人ジェラード・マンリー・ホプキンスの詩「美しき斑」にちなむ
ムリネ*
- フランスのアルプ=マリティム県にある村
- 標高500~2000m
G・エドワード・グラマーという男の話*
- これは実話であり、G・エドワード・グラマーおよび彼が殺害した妻のドロシーはいずれも実名。1952年9月2日付けの「ニューヨーク・タイムズ」紙に出た記事を、ナブコフはほとんどそのままで引用している
ツルゲーネフの小説*
- ツルゲーネフの幻想的な中篇「まぼろし」(1864)を指す
- この中編の語り手は、夜ごとに現われる女のまぼろしと共に大空を飛翔し、マッジョーレ湖のベッラ島から聞こえてきた、開いた窓から流れる女性の美しい歌声に惹きつけられる
フランク・ラーサルという50歳の機械工がサリー・ホーナーという11歳の女の子に対して1948年にやったこと*
- 実話に基づく。1950年3月に、2年近く行方不明になっていたサリー・ホーナーという13歳の女の子が、カルフォルニア州サンノゼで発見されて無事に保護され、彼女に同行していた52歳の機械工フランク・ラーサルが誘拐容疑で逮捕された。二人はその2年間のあいだ全米を転々としており、性的関係を結んでいたという。地方紙にしか載らなかったこの事件をナブコフが読んでいたことは間違いなく、ハンバートとロリータの2年にわたる全米逃避行がこの現実に起きた事件を直後に反映しているだけでなく、テクストの細部においても新聞記事を巧妙に活用している、というのがナブコフ研究者アレクサンドル・ドリーニンの説
クレア・クィルティ
ビアズレーのモルナー・クィルティ医師
- 歯科医
- クレアの叔父
パーキントン付近のグリム・ロードにあ先祖の家
夜驚荘(インソムニア・ロッジ)*
- 「夜驚症」のこと
パンチ*
- 「パンチ・アンド・ジュディ」の人形に出てくるキャラクター。このクィルティ殺しのシークエンスが、いっそうグロテスクで残酷な喜劇に見えてくる
女は女、しかしカポラルは煙草*
- 英国作家ラドヤード・キプリングの詩「婚約者」(1890)の有名な一行「女はただの女にすぎないが、うまい葉巻は煙にもなれる」のもじり。
- カポラルはフランス煙草の銘柄
詩的正義*
- 文学作品で、善が最終的に報われ、悪が処罰されるという約束事を指す
- ただしこの場面では、ハンバートが詩によってクィルティを裁くという意味も含まれている
なぜならおまえは罪人を逆手に取ったから・・・*
明日、また明日、そしてまた明日と借りまくろう*
- 作者: シェイクスピア,SHAKESPEARE,木下順二
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- 作者: W.シェイクスピア,William Shakespeare,松岡和子
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ヴァブリッサ夫人(妙な名前だ)*
- 「ヴィブリッサ」Vibrissaとは猫などのひげを指す
エルクラニータ*
- 南米産の麻薬
バグラチオン島*
- 架空の地名
- 帝政ロシアの将軍で、ナポレオン戦争のときに活躍したピョトール・イワノヴィッチ・バグラチオン(1765~1812)にちなむ
メラニー・ワイス*
- Melamieはギリシャ語の語源で「黒」を表し、Weissはドイツ語で「白」。
バルダ海*
- 架空の地名
間欠泉オールド・フェイスブル*
- イエローストーン国立公園にある有名な間欠泉
使徒トマスのふるまいにも一理ある*
- ここでヘーゲルの弁証法におけるテーゼとアンチテーゼが相当するのか、それがどのように高次の次元で止揚(アウフヘーベン)されるのか、考えてみること
- 睡眠療法の開拓者であるフランツ・アントン・メスマー(1743~1815)にちなむ
「ロリータ」を書きはじめたのは56日前で*
- 「ロリータ」で議論の一つになっている記述
- ジョン・レイ・ジュニア博士による序には、ハンバートが1952年11月16日に獄中で死亡したとあり、その日付けから56日を逆算すると、ハンバートの逮捕はいくら遅くてもその年の9月22日となる。ところがその9月22日は、スキラー夫人となったロリータから手紙が届く日に当たり、本文中の記述を追えば物語の最後でハンバートが逮捕される日付の9月25日とは3日間のずれがある。いったいどちらが正しいのか?
- いま仮に、すべての数字が正しいとすると、導かれる結論は一つしかない。それはロリータの手紙が届いてからの出来事は、現実に起こったものでなく、ハンバートの作った虚構だという読み方である。一見すると突拍子もないように見えるこの異説は、ナブコフ研究者のあいだでは俗に「修正派」と呼ばれ、「ロリータ」を論じるときに無視できないほどの勢力をふるっている。
絶滅したオーロクス*
- アルタミラの壁画に描かれた野牛の種族
- 1627年に絶滅した
「ロリータ」と題する書物について
ロリータと題する書物について*
- この作者によるあとがきは、1957年に「ロリータ」の抜粋が「アンカー・レヴュー」というアメリカの文芸誌に掲載されるときに付けられたもので、その後1958年のアメリカでの初版をはじめとするほとんどの版で収録されている
1939~1940年のはじめ
- パリにて「ロリータ」のかすかな鼓動を感じた
- 植物園の猿が科学者によって訓練して木炭で檻の格子の絵を描いたという新聞記事よりインスピレーション
- 文字状の繫がりは無かったが、それがこの小説の原型に結実して、30ページほどの長さの短篇小説ができた。
↑短篇小説の内容
- 短篇小説はロシア語で(1924年からずっと長篇小説はロシア語で書いていた)
- 主人公は中欧生まれ
- 名前のないニンフェットはフランス人
- 舞台はパリとプロヴァンス
- 主人公は少女の病気がちの母親と結婚し、その母親が死に、ホテルの一室で孤児をものにしようとする企てが失敗してから鉄道に身を投げる
- 主人公の名前はアルチュール
- 戦時中のある夜に友人たちに朗読したことがある
- 本人は気に入っていなかったので、1940年にアメリカに渡ってしばらくしてから原稿を破棄した
新聞記事*
- あるインタービューでナブコフは、この記事をたぶん「ぱり・ソワール」紙で見たと思う、と述べているが、そのような記事はこれまで発見されてないので、ナブコフの作り話だった可能性も充分ある
原稿を破棄した*
- 実際には、この原稿は1964に発見され、1985年に息子のドミトリイ・ナブコフによる英訳版がThe Enchanterというタイトルで出版された。邦訳題名は「魅惑者」
1949年ごろ
- ニュヨーク州中部のイサカに住んでいた時、この主題を扱い直して英語で長篇小説を練った
- ナブコフ50歳
ジャニータ・ダーク*
- 火刑になったジャンヌ・ダルク
毎年夏になると、ナブコフは妻と蝶採集に出かける
- 夜の間や曇りの日に「ロリータ」執筆再会
コロラド州テリュライド*
- 「ロリータ」の結末で、ハンバートが谷間の町からわきあがる子供たちの声を聴いたのは、このテリュライドでのナブコフの実体験がもとになっている
1954年の春
- 原稿の清書終了
- 出版社探しにかかる
- 最初は匿名で出版する条件だったが思い直す
1955年の春
- 校正刷りに目を通す
- ナブコフはそれ以来「ロリータ」を再読したことが無いと言ってる
リケイデス・スブリヴェンス・ナブコフ*
- ナブコフがテリュライドで採集したシジミ蝶の新種
読みたくなった本
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- 作者: トマスブルフィンチ,Thomas Bulfinch,大久保博
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カルメン/トリスタンとイゾルデ/サムソンとデリラ (中公文庫―マンガ名作オペラ)
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- 作者: W.シェイクスピア,William Shakespeare,松岡和子
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